2着だったソングラインが5着に終わった2つの大きすぎる不利(2022ヴィクトリアマイル)
池添騎手はスタートの引いた判断を敗因と語っているが、それはあくまでもソングラインが1着が取れなかった理由であってソングラインが3着からハナ+ハナ差の5着に終わったことを述べたものではないと思っている。
スタート直後、普通にスタートできた池添騎手に「行く」「行かない」という2つの選択肢が与えられた。そして池添騎手はソダシとレシステンシアが飛ばしてハイペースになると考えた上で「行かない」選択をしたはずだ。
結果的にハイペースどころかスローペースに近いゆったりとしたペースになったことでソダシが勝ち池添騎手の選択は不正解となったので冒頭のコメントになったと思われるが、それとソングラインが複勝圏内を確保できなかったこととは別だと思っている。
ソングラインにはレース中2つの不利があった。
それを解説していきたいと思う。
①3コーナーでの躓きで取りたかったポジションが取れなかったこと
尊敬するぐらい素晴らしい競馬観をお持ちの金色のマスクマンさん(@keiba_maskman)がレースのポイントとして3コーナーを上げられており、筆者もこのレースの分かれ目が3コーナーだったと思っている。
ただソングラインがファインルージュの後ろを取りたかった理由は「カーブの遠心力を使いアンドヴァラナウトを横から圧をかけてファインルージュの外に進路を作る」という意図があったからと思われる。
しかしポジションを取りに行った瞬間、ソングラインが躓いた。
その結果アンドヴァラナウトの外から蓋を閉められてしまって、ソングラインの選択肢が我慢しつつ内に進路を採るしかなくなってしまった。
前の馬との距離が近すぎて脚が当たったのかもと言われているが、池添騎手にとってはそれだけしても絶対に取りたかったポジションを取れずにレースプランニングが壊れてしまったのは間違いない。
それが池添騎手の第一の誤算。
②最後の直線でファインルージュが躓いたことで取りたかった進路を取れなかったこと
②はパトロールビデオを見ると分かりやすい。
①で致命的に見えたソングラインだが直線を向いた途端モーゼのように目の前に進路が開く。当然池添騎手とソングラインはその進路を進もうとする。
他方外を見るといい状態の芝の進路を取りたい馬でごちゃついていて、ポジショニング確保で各馬がせめぎ合いをしていることが分かると思う。
そんな時にファインルージュが内に向かって躓いた。
内に体重がかかっているファインルージュは外には出せず進路を内に採るしかない。開いている道は1つ。ソングラインが採ろうとしている場所だけ。
ファインルージュはそこを目指す。ソングラインも目指したがファインルージュが間に合った。ソングラインは更に内に進路を向けるしかない。
偶然とはいえ、そこで池添騎手の第二の誤算が発生する。
ゴール前内から5~6頭分の芝は既に荒れている状態。
池添騎手が始めに目指した進路が芝が荒れていないギリギリのラインだったのだが、その進路をファインルージュに取られた結果、芝が荒れている内を通る選択肢しか残されていなかった。
それがゴール前でファインルージュが伸びたのと対照的にソングラインの伸びが止まってしまった理由だと思われる。
レシステンシアがハイペースで飛ばさなかったおかげでソダシにとっては楽な競馬になった。対照的にペースに恵まれなかった上に2つの不利があったソングラインは5着に敗れた。
しかしソングラインは2つの不利がなければ、ソダシには勝てなくても2着はあったと思っている。
勿論競馬は結果が全て。たらればを言ったところで結果は変わらない。
レーシングアクシデントも毎レース存在する。そしてそれが実力以上に影響を及ぼして着順を左右することも日常茶飯事で発生する。
しかし結果と実力がイコールとも限らない。そこに競馬の面白さがある。