ワールドトリガー感想 248話 ジャンプSQ1月号
カナダ人の期待に答えたボディブローが、寝る前まで効いているジャクソンと半崎の寝室から。
自分の限界に挑戦し続けている男、半崎のフォローで明かされる𝓣𝓮𝓽𝓼𝓾𝓳𝓲 𝓐𝓻𝓪𝓯𝓾𝓷𝓮の師匠っぷり。
定期的にメニューを作り与えていたらしいが、目の前で最初に伝えた目標時間の数字を書き換えていた。なんて情の感じない機械のような冷たいフィードバックなんだ。
ダルさの向こう側へ今回も挑んだであろう男は空いた口が塞がらなかった。
珍しい表情で笑う。
目的意識の高さに付随したメンタルのふてぶてしさにA級の雰囲気を感じさせる。けっこう碌でもないとも言うが。
実の所、その半崎を喜んで迎え入れたリーダーとしては、事あるごとに「ダルい」と呟くその態度を不満と捉えていたようで……
言語化の雑さを猛省するあの言動がすんごいわかる~ってなった。
「いやもう何言っても言い訳だな!」とか「うわ~~~死にてぇ~~~~~」って言葉選びが、大人びて見えるワートリキャラにしては年相応のものを感じさせてほっこりする。
結局若村が「気にするな」とフォローしてんのがいいよね……!
ヒュースと笹森の珍しい組み合わせで居残り?若村のメンタルを最後まで気遣う敵国の軍人。
改めて若村の臨時隊長に選ばれた理由を二人で考察していた。
これまでの話の中で個人的に思いついた理由としては、『隊の運用ノウハウ顕在化のための隊長経験無しかつB級のサンプル』かなと思っていた。
言い方が悪いけど要するに『能力も経験も未熟な例』として抜擢されたのではないかという。
中々上層部も伸び悩む17歳の男の子に酷な役割を与えるよなとは思う……
ヒュース曰く、「訓練生を引き上げるための教官要員」だと。
その発想は無かったな~とは思いつつ、『それは他の隊員でもいいのでは?例えば同じ隊の三浦もそこまで変わらない属性なのでは?』とも思った。
若村でなければならない理由として「教官にするため」はなんかあんまり腑に落ちなかった。
B級上位まで経験しているのに、チーム戦術がからっきしという珍しい男であることは確か。
トリオンの才能と個人技はあるけどチーム戦術は未熟という『修の反対の属性』のキャラだよね。
普段の訓練での真面目さや評判から白羽の矢が立ったのか、可愛がられっぷりから人格も優れてるし、一応隊長として耐えれる器として見出されたのかもしれない。
環境試験もついに6日目を迎え、A級の面々が若村ヒュースの会話を振り返る。
雪丸は映画のブラッド・ピットばりにいつ見ても何か食ってるな。
修に対して興味ありそうな風でなんか興奮する。こいつ読み切りの主人公のスターシステムかつ、修の武器であるレイガストを二刀流しているという、情報だけで垂涎物のキャラなんで、一刻も早く新旧主人公絡め!と思っているから、もうこの文字列のやり取りだけでえらい量のドーパミンが出ますよ。
こないだ誕生日を迎えていた天羽はやたらと若村に厳しいが、BBFのステを見る限りコイツも銃手なのかな?その繋がりで親しげ?なのかも。
表を知らないと裏をかけない、っていうのは当にそうで、チェスとか将棋も定石を叩き込んでから最適な戦術を都度判断して繰り出していくんだろうし、若村はまだまだ基礎の段階というか駒の動き方がわかってるぐらいのレベルだったんだろうな……
ヒュースに対しては概ね加点、若村にはかなり厳し目の意見を含んだ減点の嵐でなんだか自分もしょんぼりしてしまった。
特にA級でも自他に厳しく実力結果を重んじる系は『今の評価』として減点、恐らく苦労したであろうヤツらはその行動に対し『未来への期待』として加点気味だった。
特にさぁ!真木理佐さぁ!言葉キツくない!?人にアドバイスしてもらうことを「努力」にカウントしてそう!?
無料で他人の時間を使っておいて身についてないんだから余計にマイナス!??意思薄弱で自分に甘い???全部こっち刺さってるって!
これまでの若村に対する攻撃は、大なり小なり自己投影している俺へのダメージとなるため、今回の口撃は多大なる損害を心に与えていたわけですよ。
『同じ遠征に行く仲間としての評価』として減点は理解できるし、実際それが今の役割だし、言っていることも正論であると思うけど、言葉選びがどうにも好きになれないな~このキャラ。
雑に試されてるから雑に評価してやろうと思っているのか、はたまた素であんな感じなのか。
若村に対してやたら辛辣だから、実際に絡みがあったからなのかなとも思う。
あと加古さんね、この人は才能ある人間が好きを公言しているので、若村はまぁその対極な訳だから厳しくなるのも理解できるんだけど。
頑張ってもダメだったら悲しいのは皆そうじゃない?それでも良くしていこうとして今ヒュースに聞いてる訳じゃんか。
同じ隊の双葉という最年少A級天才少女も若村を無才能と断じていて涙。
「才能あるK」として香取も勧誘した経緯がありそうだけど、そのへんでなんか一悶着あったりなかったりなのかな?関係ないか。
現状を評価して減点している側は「できない人」に対する理解が欠けて見えてしまう。
ヒュースの例で言うと逆に教官に向いてない人達というか、故に若村が教官向きであるとも言えるんだろうなぁ。
繰り返しになるけど、今の評価、「遠征につれていきたい人」としての評価で今後のボーダーを考えたものではないし、それがA級の仕事だろうからそれが間違いだ!とは全然思っていない。
A級の評価を上層部も評価しているから、彼らもまた試されているのだ。
佐伯は言語化がうまくできないだけで、こいつも苦労を蔑ろにされたくなくて噛みついていっているんだろうな。
里見もやたら他の評価に共感し傷ついているし、二人共銃のトリガーを使う苦労人らしいから、若村に対する発言は我が身のものと感じるんだろうな。
苦労人といえば、どうでもいいけど期待をこめて+1っておもろいな楽天のレビューかよ。
ここで眠たい目の有能とっきーが親からの助言を口にする。
ここで急に差し込まれる侵攻後の一コマが刺さる……急にぶっこんでくるんだよなこの漫画。
行先のゴールは決めるけど目指すのはベストスコアってすごくいい言葉だよね……
他人と比べても、高すぎる理想と比べても苦しいばっかりだから、過去の自分と戦いたいとは自分も常々思っている。
親御さんの教訓かと思いきや、侵攻の後無気力になることを避けるための方針だったようで。
学習性無力感なんて言葉が現実にもあって、要するに「自分なんかなにやってもダメなんだ……」となってしまう状態。
侵攻後自分たちの財産、大切な人、あらゆるものが奪われた直後だからそうなってもおかしくなかったけど、賢明な親御さんのお陰で作中屈指のサポーターになっててホント良かったよとっきー。
自分を鍛える理由にできるなら負の感情も役に立つ、のとこで迅と三輪の二人が差し込まれてるのがなんかこう含蓄があるよな……
迅なんか常にその負の感情に晒されてるだろうに……
修のトリックを解き明かした古寺6番隊は、混成ユニットのカラクリにも気づく。
自分以外の駒も混ぜて連携するって割と普通に思いつきそうなもんだなと思ってたけど、気づくのが結構遅かったな。
A級二人の悔しがり方もそれぞれで面白い。木虎はヒントに気づけず悔しがる、古寺の反応がまた面白くて、悔しがるどころか「先人の足跡を踏めた時成長を感じる」ってポジティブでいい視点だよなぁ。
課題の処理速度がかなり上の方なので、戦闘シミュで遅れをとっても1位を狙えるのが強みが活きてる感じでいい。
カナダ人のトリオン工学即レスで驚きの若村隊。
分担課題に注力するため30分で戦術を仕上げてきたメガネを擁する諏訪隊。
30分!?こいつ戦術を丸投げしてもたったそれだけで仕上げてくんのかよ。
若村と修、同じ汗をかいているメガネ同士なのに得体の知れなさや頼もしさにここまで差が出て見えるのも、個人の才能や経験が必要とされない試験内容ならではだなと思った。
修は遠征に行くのに値する能力を持っている、それを際立たせるためのキャラが若村なのかなとは思っていたんですが、めちゃくちゃ話数割いて課題の整理がなされた訳だから、ホント頑張ってほしいんだよ俺は若村お前!
試練を与える上層部と厳しいA級ガールズ、何より無能を受け止められない自分に負けるな!
できないことに対する評価、乗り越え方、当事者の反応。
『課題を乗り越える』ことに対する姿勢だけでとても読み応えのある話でした。
次号は悲しみの休載……はやく長時間戦闘試験も見たい……