ワールドトリガー感想 246・247話 ジャンプSQ11月号
若村と修の違い 続・カナダ視点から
実力実力と言っているが、じゃあつまるところ実力って一体なんなのさ?という疑問からヒュースの口から出た例え話はまさかの鯛焼き屋
ミデンに来てから捕虜のクセに美味い飯をたらふく召し上がっていた男は経験から物事を語るようで
実力があるってことは、作ったたい焼きがうまいってことだ
これがまた芯を食っていてわかりやすい解説である
そして修にはたい焼きを作るのではなく「売る能力がある」と、つまり修の評価ポイントはチームへの貢献度ということ
ヒュースが修を評価してんのがなんか嬉しい
国の情報は明かさないがチームに入れたら協力してやる!という無茶苦茶な要求を通してみせたり、実際加入後の運用によってB級2位の目標を達成してるわけだからこの評価も当然なのかもしれない
上記の問いに対する答えは「結果を最善に近づける力が実力」
遊真の勝負強さもこれで説明できそうな気がする、状況の変化を結果に繋げるスピードの速さ、対応力
模擬戦での勝率は村上に劣るけど、実戦ではきちんと勝ち抜いている
訓練だけで培ったものと、命のやりとりを通した実戦経験で身についたものに差があるとするならばコレなのかもしれない
じゃあ修との結果に差がついたのはなぜ?という新たな疑問が出るけど
前回、前々回にほぼ書いた通りの「明確な目標と期限設定」だった
ここでヴィザの受け売り、期限がないと失敗を正しく認識できない、すごくわかりやすい良い言語化だよなぁ
失ったものを確認することで失敗を認識できる、期限がないと成功判定を無限に先送りできてしまう
まだ何も失ってないと思い込む、失われる時間の重みに目をつむる、これが足踏み
ヴィザの口から出てくるあらゆる言葉すべてが全身に突き刺さるぜ…
師匠から戒められた記憶を喋っていることからヒュースも通ってきた道なんだなと思いつつ、ここまで真摯な師弟関係ならアフト勢撤退時の名残惜しそうなヴィザのセリフにもまた深みが出てくる
修には足踏みの余裕がそもそもなかった、遠征選抜RTAしか道が無かったのだ
でも、遊真と出会うまでの修は今の若村とそんなに変わらない状態だったような気がする
千佳を守るためにボーダーに入るという目標を達成して以来そのまま
訓練してたんだかどうだか分からないが、少なくともレイガストにシールドモードがあるということすら知らなかったあの頃
若村が求めていたものは 自分を変えてくれる即物的な「何か」
あるかわからないそれを探している間にも、時間の重みで他と差がついていく、正に足踏み
止まっていたのか?に対して、「オレにはその割合が大きく見える」と返すヒュースの言葉選びがまた良いんだ
条件が違うから中身を真似れない、故に得るものがない
じゃあどうやって強くなるのか?の方法の一つとして「香取隊を抜ける」
でもカトリーヌは若村が調子悪いといじけるぐらいチーム大好きっ子だから現実的には難しそう
隊員の強さをヒュースによる客観と照らした自己認識のズレ
ここで個人戦における上限の基準として登場し、チーム戦はよく知らんから外された男太刀川がおもろい
ヒュースが対戦した中で一番強い個人だからなんだろうな
若村の中で香取の強さの認識がめちゃくちゃズレてんのいたたまれないよ
しれっと言ってるけどチーム戦全部見たってマジかよヒュース
若村のチーム戦における実力は何とC級、原因は香取葉子その人である
思い返すと香取頼りの戦い方だし、周りからも同じような認識であるという描写が度々あった
エースが引っ張りすぎた結果、隊員が積むべきチーム戦の経験がスルーされてしまっていたという説明は確かになるほど
そもそもエースが強すぎるだけでB級上位までいけんのやばすぎるっていうか
玉狛も当初はその方針で遊真主軸のチーム戦略だったが、R3で壁にぶつかり、R4で叩きのめされ方向転換を余儀なくされた経緯があったことを考えると
カトリーヌのポテンシャルがヤバすぎる訳だが、それでも当人の口からトップ層の壁は分厚いとまで言わせるトップアタッカー達、とりわけ軍事国家のエリートにまで一目置かれるアゴヒゲ二刀流大学生は改めて一体何なんだ
お前クソ雑魚だぞと暗に言われてしまい、文字通り足元が崩れ落ちる若村に自己投影する俺
自己評価が0か100かになってしまうのわかるわ~~~~
「実力を正しく認識しろ」なんて痛いほど分かってるけど、それがさぁ!難しいんだよなぁ!
若村が気づいた「自分自身の無能」、それと向き合うのがまぁ~キツイ!
期限を作らず、でかい目標を立てて、それっぽい努力さえしてれば永遠に可能性を感じられるんだよな!
傷つきたくないから、自分を守りたいから、自分のこと嫌いになりたくないからこういう考えに無意識のうちになっていく
これもう人間の防衛本能だと思うんだよな、防衛機制と呼ばれる心の作用「逃避」
いわゆる自己肯定感というやつが低い人は、認知が歪んでいてこの白黒思考になりがちだなんてそういう類の本によく書いてあったりする
香取に向かって言った、「一度でも壁にぶつかってから言いやがれ!」が自分にものすごい勢いで返ってきて、心の臓を抉るとは当時の若村には想像っもできなかっただろう
香取はめちゃくちゃ器用でなんでもできるのに比べて自分は…という劣等感を感情のままぶつけていただけだったなんて
壁がでかすぎるから実力が通用せず外に答えを求めるようになる……心当たりがありすぎる
じゃあどうすりゃいいんだよ!?という問いに「小さく刻んで積み上げろ」とカナダ人、これが努力なんだと
これも所謂ビジネス書などによく書いてある方法論、デカい目標は細かく分けて期限をつけろ!
思い返せば今の若村の壁ぶち当たりを、当の修も経験していたように思う
自分の実力で勝てるなんて思い上がってんじゃねぇ!(意訳)
無駄な努力に時間を費やしてんじゃねぇぞ!(意訳)と木虎にケツを叩かれていた
今更ながら、その時頭を下げる修に蜘蛛の糸を授ける木虎って仏なんじゃないか?
その糸を登りきり、B級2位まで駆け上がったなんて今にしてみれば大分出来すぎな物語である
宣言通り凹ませた若村に言葉を尽くすヒュースがまたいいんだ
自分の経験である、自転車に乗れなかったこと、箸をうまく使いこなせなかったこと、そしてそれらを若村は当たり前にできているということ
これらは訓練次第でできなかったことができるようになるという事実をはっきり示している
できるようになったその事実を忘れるな、積み上げた努力がお前の自信になるんだと
いや~ありがとうヒュース、ほんと刺さる俺に
この目の前にいる気を使って喋っているカナダ人は、よくよく考えると一度攻めてきた敵国の軍人なのに、そいつに「努力して自信つけな!」って励まされてる若村の構図がなんかおもろいな
ヒュース的には国に帰る為に必要な大して心の動かないやり取りなのかもしれないけど、相手の心理的負荷を考えて言葉と選んで助言してるのなんか良い
真面目な若村の人柄がそうさせるのだろうか、ヒュースも気質的に自分と似てる奴だと思っているのかもしれない
若村の良い所を一つ上げるならこの人格かもしれない、まぁ香取にブチギレてたのは置いとくとして
改めて、敵であったミデン人との交流というこの状況を本質的に作り出した、異世界との架け橋を体現する陽太郎とかいうお子様はやはり只者ではないのかもしれない……さすが雷神丸の腹を触れるだけの事はある……
若村の足りないものを埋めるにはものすごい時間がかかりそうで、言われていた通り今の試験に役立つのかちょっとわからないけど
心理的なブレイクスルーは間違いなくあっただろうから、俺達の若村麓郎にこれからも期待
ところで麓郎って名前美しいよね、どうでもいいけど
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