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アフターデジタル2な世界

みなさん、こんにちは、大手町くずろうです。

今日は、「アフターデジタル2(UXと自由)」という本を紹介します。この本は、昨年ベストセラーとなった「アフターデジタル(オフラインのない時代に生き残る)」という本の続編です。著者は、UXデザインコンサルティング会社(株式会社ビービット)の藤井さんです。


ちなみに、この本には、DXとUXという略語が激しく出てきます。ともに「X」なのですが、かたやトランスフォーメーションの「X」でもうひとつはエクスペリエンスの「X」です、笑。

裏表紙に、「DXの目的はなぜUXなのか?」とあります。つまり、「デジタルトランスフォーメーションの目的は、なぜユーザエクスペリエンスなのか?」ということです。この本は、この問いに対する答えを238ページも使って丁寧に解説してくれています。著者は中国に住んでいらっしゃるようで、中国のアフターデジタル型産業構造についても豊富な事例を紹介してくれています。

アフターデジタルとは何か?

さて、アフターデジタルとは何か?ということですがこれは「もはやオフラインだけという世界は存在せず、リアルをデジタルが包括する世界」です。

アフターデジタルの世界では、Webサイト、スマホアプリ、SNS、リアル店舗など顧客と多くの接点をもち、そこから行動データを得て、それをUX、つまりユーザエクスペリエンス、つまり顧客体験に活用していくというサイクルを継続していくことが大切になってくるといっており、これを本書ではバリュージャーニーと呼んでいます。

これは、製品でなく体験を売るという変化であり、バリューチェーンからバリュージャーニーへの変化です。どういうことかというと、製品提供までの価値提供であるバリューチェーン型から、製品提供からはじまる体験全体を価値提供するバリュージャーニー型への変化です。

産業構造の変化が起きる!

これにより、産業構造の変化も起きます。例えば、中国ではすでに産業構造が変わってきているようです。これは、これまで産業構造の頂点にいたメーカーが下請けになる、というような変化です。WeChatやアリペイのような決済プラットフォーマが最上位で、支払い情報を広く握り、その下に、各セクターのサービサーがいて、圧倒的な顧客体験を提供することで、それぞれの領域で深いデータを握り、その下にメーカーがいるという構造です。

日本でもメーカーはものすごい脅威を感じているだろうな、と感じます。それゆえ、トヨタも、モビリティカンパニーへの変革を目指しているわけですね。

中国の電気自動車メーカーのNIO

さて、みなさん、ここで質問ですが、中国の電気自動車メーカーのNIOという会社をご存知でしょうか?

この会社の紹介が、つまり「バリュージャーニーというのはこういうことだ」という説明として非常にしっくりきました。

NIOというのは、テスラキラーといわている会社であり、テスラとの差別化としてこんな自らを表現しているそうです。「テスラは鍵を渡すまでが仕事、NIOは鍵を渡してからが仕事」。つまりEVを売っているのではなく、EVのある生活を売っているわけです。

どういう生活か。

例えば、電気自動車のペインポイントといえば、やっぱり充電です。私も電気自動車を買いたいと思いましたが、ここが原因で、結局ガソリン車にしてしまいました。でも、NIOは、アプリで呼べば充電カーがきてくれて買い物している間に充電が完了している、みたいな電力のデリバリーサービスがあるみたいです。また、ステーションにいけば充電は3分だそうです。これは、電池パックごと変えてくれるみたいです。これにより、「充電」というペインポイントを、ゲインポイント化しています。
そのほか、会員制のラウンジやSNSなどもあり、同じ所得水準であるNIOユーザのコミュニティを形成し、NIOのあるライフスタイルが活発に投稿されることで、さまざまな行動データを取得し、それをさらなる顧客体験に還元しています。
これが、つまり裏表紙に書いてあった「DXの目的はなぜUXなのか?」のひとつの参考事例です。

余談ですが、NIO創業者のウィリアム・リーは大気汚染で真っ白に染まった中国の空を見て、「電気自動車で空を青くする」と決意し、Blue Sky Comingというスローガンをかかげ、このスローガンをNIOの中国語名の社名にしたとのことです。

「SIビジネス」のバリュージャーニー

翻って、私、大手町くずろうは、いわゆるITコンサルティングとかシステム開発の会社で経営企画の仕事をしています。

システム開発をご存知の方にはわかるかもしれませんが、システム開発には「運用でカバー」という言葉があります。これはシステム開発が終了して顧客の検収が終われば、あとは運用でなんとかして、というネガティブな言葉として有名です。

ただ、アフターデジタルでは、そうやって「運用でカバー」し続けることこそがバリュージャーニーであり、逆に「運用でカバー」という言葉は、ポジティブな意味をもつ言葉になるのかもしれない、と思ったりしました。

以上、「あっ、これがDevOpsなのか」と気づいてしまった大手町くずろうでした。

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