対話を武器にする

こんばんは、大手町くずろうです。

今日は、「他者と働く(「わかりあえなさ」から始める組織論)」という本を紹介します。​ちなみに、私は現在、埼玉に住んでいますが、この本の著者は埼玉大学の経済経営系大学院の宇田川准教授(経営学者)のデビュー作だそうです。奇遇。とはいえ、経済経営系大学院は東京のサテライトキャンパスで開催されているのだとは思いますが、笑。

この本、NewsPicks の出版社(https://publishing.newspicks.com/)が出しています。NewsPicksって本の出版もやりはじめたのですね。(普段あまり出版社を意識していなかったのですが「シン・ニホン」もNewsPicksなんですね。)

裏表紙に、「すべての厄介な問題は関係性の中で起きている。」とありますが、激しく同意です。なんか最近しんどいな、って思うときは、たいてい人間関係に悩んでいるような気がします。世の中的にも、人間関係が退職理由というのも結構あるような気がしています。

この厄介な問題の中で技術的に解決できない問題が「適応課題」であり、本書の中では、営業部門と法務部門の対立関係や上司部下の対立関係が事例として描かれています。

すぐにでも契約(受注)したい営業部門と、しっかりと契約条項を確認するための時間が欲しい法務部門はなかなかいい関係でいることが難しいです。フロントからみるとバックオフィスは、「私とあなた」という関係ではなく「私とそれ」という関係で、「道具」的に振る舞うことを要求する関係になりがちです。

上司部下関係では、言った方がいいのかもしれないが言うと厄介なことになりそうだから問題提起しないという「言いにくいことを言わない」ケースなども紹介されています。

そのほか、新規事業開発部門と既存事業部門の対立関係なども書かれています。なんで新規事業部門は失敗ばかりで赤字なのに、既存事業は黒字を強くもとめられるのか?、みたいな。

いずれも、よくある、しかし容易に解決できない問題です。個人的に「適応課題」には悩まされることが多いので非常に参考になりました。

これらを解決するための方法が「対話」であり、この本におけるキーワードは「ナラティブ」です。ナラティブとは、その人の専門性とか職業倫理とか組織文化などに基づく「解釈の枠組み」のことです。わかりあえいない関係には、ナラティブの違いが存在しており、これを本書では「ナラティブの溝」と呼んでいます。これは、SIer的に(といってもネットワークは専門外ですが、、、)いうとプロトコルが合わないみたいな話であり、エバンゲリオンでいえば、A.T.フィールドみたいなものかもしれません。

対話によって、この「ナラティブの溝」に橋を架けることで、新しい関係性を構築していくためにはどうアプローチしていけばよいかが、丁寧に書かれており、どう実践していけばよいかのイメージもかなりわきます。

準備「溝に気づく」→観察「溝の向こう側を眺める」→解釈「溝を渡る橋を設計する」→介入「溝に橋を架ける」

実践でのポイントは、自分のナラティブはまずは脇に置いて傾聴してみることかなと感じました。

個人的には、非常になるほど、と思うとことがある一方で、組織の課題は、必ずしも、営業部門や法務部門とか、上司部下とかの2者間での関係だけではありません。例えば、CEOと、CTOと、CFOである例えば私の3人の経営チームの関係を考えた場合、私は、CEOとの「ナラティブの溝」に気づき、橋を架けようとし、CTOの「ナラティブの溝」にも気づき、そこにも橋を架けようとします。しかしながら、CEOとCTOがお互いの「ナラティブの溝」に気づき、そこに橋を架けようとしなければ、経営チームで発生する厄介な状況は乗り越えていくことができないのではなかろうかという点です。

そういう意味では、できる限り多くの人に読んでもらいたい本だと思いました、笑。

また、10年近く前になりますが、猿山のボス猿になる条件は、「異性にもてること」「喧嘩が強いこと」、そして「喧嘩の仲裁がうまいこと」の3点だと聞いたことがありそれ以来、ずっといつかはこの3つを満たしたいという思いをもってきましたがこの中にある、喧嘩の仲裁に今後、このナラティブアプローチを応用できればと思っています。

以上、対話を武器にしたい、大手町くずろうでした。

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