入院45日目
退院まであと10日、とアトちゃんに言われて気付く。そんなに経つか。早い。
他の患者同士のトラブル解決になぜか僕が奔走している。余計なお世話ではなく、立場的に僕がいろいろ動いた方がスムーズだと判断したので看護室に協力を申し出て、それを受け入れてもらった結果だ。最近はこういう自発的な改善活動が楽しい。人によっては目障りかもしれないが僕は楽しいし、看護室の許可と感謝のもとに活動しているのでよしとする。
オトくんの話を聞いていると泣きそうになる、と女性看護師によく言われる(実際に何度か泣かれた、看護する側が泣かされるなんて罪作りですね、と)。他の患者や看護室、病院そのものへの気配りが半端じゃないと褒めていただく。よくそこまで頭が回るなという感心と、看護師として僕のような患者がいることがとても嬉しいらしい。なのでここで自慢した。
僕は自己開示や分析ごっこを得意としている。また基本的に物事を理屈で考える。更に自分が精神疾患、発達障害の診断を受けたことでスペクトラム、グラデーション、グレーゾーンという概念を手にした。SNSで罵詈雑言を撒き散らしたり流行り物を極度に嫌うなどの欠点、またここにはとても書けないような嗜癖は残っているものの、それらを武器にして外面の良さはかなり研磨できてきたと思う。
誰しも多面的である。僕だってこれからもネット上で奔放に振る舞うだろう。一方で模範的な顔も持ち続ける。自分を受け入れられるようになってきただろうか。他者と比べずに生きていけるだろうか。答えは病院の外にある。10日後、あるいはそれ以降の自分が持っている。成長したと証明したい。
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