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所持金$100からの覆面ビリオネア起業チャレンジにみるサバイバルTips

少し前にネット界隈でも話題になった『覆面ビリオネア(Undercover Billionaire)』シリーズ、シーズン1。

2019年にアメリカのディスカバリーチャンネルで放映された番組で、金融業で巨万の富を築いた起業家グレン・スターンズが、誰も知らない無名の人になりすまし、見知らぬ街で所持金わずか100ドルから90日で100万ドルのビジネスの立ち上げを目指すというドキュメンタリーです。

この作品はあくまでリアリティーショーであり、常に番組スタッフが帯同していたり、妙に都合良く物事が進むシーンがあったりするため、本当のチャレンジとは言えないのでは?という声もあるようですが、その点を差し引いてもリアルな起業家のものの見方や考え方などを随所に見て取ることができる、非常に興味深い作品に仕上がっています。

番組は全8話からなり、その後の特別編では作中で鍵となったマインドセットのエッセンスなどもまとめられていますが、今回はこの作品を観て個人的に感じた現代におけるサバイバルのTipsをいくつか書いてみたいと思います。

※注:以下、ネタバレを含みます。


静かにゆっくり休める場所を確保

挑戦の地、ペンシルバニア州エリーに降り立ったグレンは、当初自前のトラックの車内での寝泊りを繰り返しますが、次第に疲労がたまり、ついには体調を崩してしまうなど開始直後からいきなり暗雲が立ち込めます。

しかし何とかしてまとまったお金を手に入れ、その大半を安い賃貸物件の契約につぎ込み、まずは安定的な寝床を確保します。

「サバイバルに必死であるうちは、ビジネスなんて起こせない。」

外部環境をよく観察し、どこに活路があるかを見出す

「起業するってことは隙間を埋めるってことだ」

飛行機で目的地に向かう途中、ビデオ通話で盟友リチャード・ブランソンはグレンを励ましつつこう語ります。

またグレンは実際に起業に着手するにあたり、まず地元の起業家に会って話を聞き、街のトレンドや市場環境を探り、参入できそうな業界にあたりをつけていきます。

結果を残す経営者には「これをやりたい」の前に「どれが成功しやすいか」を考える、マーケット・イン的な発想が前提としてあることがわかります。

釣り糸をいくつも垂らしておく

グレンは起業に先立って、チャレンジの90日間を過ごすことのできる生活費を確保することを目標にします。

エリーはかつて製造業で栄えた工業都市で、廃墟となった工場が立ち並ぶ街並みを目にしたグレンは各所にある廃材置き場で商品価値のある廃材を探すという戦略を思い着きます。

そして実際に廃材置き場を巡り、売りに出せそうな廃材探しを始めますが、その一方で求人サイトに自前のトラックを使ってできる仕事の募集を出したり、日雇いの求人をチェックしたりと、一つの手段にこだわらず手広く網を張って日銭を稼いでいきます。

目標達成のためにやれることは何でもやるという現実志向の泥臭さが垣間見えるシーンでもあります。

積極的に人と関わり「これは」と見込んだ人材とつながる

序盤、はじめての日雇いの仕事が小さなアパレル製造会社から舞い込みます。

そこで出会った経営者のRJはいかつい風貌の男性でしたが、終業後に軽く雑談する中で、彼が市の正規職員の立場を捨て身一つで小さな会社を立ち上げたことを知り、グレンは彼の潜在的なポテンシャルに目をつけます。

そしてその日から間もなく、街のイベントでジョイントベンチャーとして一緒に働くことで彼との個人的なつながりを得ます。

その後もチームメンバーの面接や個別のスカウティングなどで直接会って目を付けた人材に、自身の生い立ちを明かしたりビジネスのビジョンを共有することで、協力を得る約束を取り付けていきます。

アンテナを張り、チャンスに飛びつく

グレンは起業準備を進める一方で、お祭りやバーベキューコンテストなど街のイベント情報をチェックし、積極的に参加して自分のビジネスを売り込んでいきます。

ビジネスチャンスを逃さず、すぐさま飛びついて行動に移す。

まさに叩き上げの起業家に染み付いた本能と言えるかもしれません。

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またこの作品全体を通して感じるのは、やはりやり手の経営者だけあって、100万ドル規模のビジネスを立ち上げるまでのロードマップが描けており、商売の勘所がわかっているということです。

このあたりは起業家としての経験のなせる業であり、実績十分の経営者だからこそ成り立つチャレンジだということを改めて感じさせられます。

またこのストーリーでグレンは中古車や住宅の転売で起業資金(金融資本)を作り出したり、チームメンバーとの信頼関係(社会資本)を一から構築していくなど、あらゆる資本を日ごとに着実に積み上げていっており、資本主義における立ち回りという観点でも基本に忠実にプレイしていることがわかります。

そして何より本物の経営者のバイタリティやハングリー精神のようなものがひしひしと伝わってくるため、このドキュメンタリーを観て刺激を受けたという人も多いのではないでしょうか。

観る人によっていろいろな発見がある、とても面白い作品だと思います。


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