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【視察報告】三重県いなべ市 いなべ阿下喜ベース

昨日視察いたしました、いなべ阿下喜ベースの温浴施設民間再生事業について、ご報告いたします。


○立地

三重県いなべ市は、大阪方面から新名神高速道路を経由し、名古屋方面へ向かう途中で分岐し、北へ向かう場所に位置します。高速道路網の整備が進み、豊田方面へのアクセスも向上しているとのことです。名古屋などの都市圏からは、およそ1時間程度でアクセス可能です。

○施設の経緯、委託から再開まで

いなべ阿下喜ベースは、もともと温浴施設として運営されていましたが、時代の変化とともに利用者が減少し、長年赤字経営が続いていました。この状況を改善するため、行政は抜本的な改革に着手しました。

行政が運営する施設は、どうしても高コスト体質になりがちで、収益を向上させるための柔軟なアイデアが出にくい傾向があります。一方、民間事業者はリスクを負って事業を行うため、収益確保に対する責任感が強く、創意工夫を凝らした経営が期待できます。

今回のいなべ阿下喜ベースの再生事業では、宮本社長率いる企業が、その熱意と個性を活かして事業を推進しました。宮本社長は、自己資金も投入しながら、1年という短期間で施設をリニューアルオープンさせました。

当初、7.5億円の出店費用がかかりましたが、国の交付金や市の交付金、その他の制度を活用し、不足分を民間負担として1.5億円拠出しました。このように、自らもリスクを負うことで、宮本社長は「本当に良いものを作りたい」という強い責任感を持って事業に取り組んだのです。

PFI方式のように、行政がすべての整備を行い、運営のみを民間に委託する方式では、民間事業者は単なる運営者となり、積極的な収益向上策を打ち出しにくい場合があります。しかし、今回の稲辺ベースでは、行政と民間事業者が連携し、互いにリスクを分担することで、より主体的な事業運営が可能となりました。

施設の再生にあたっては、まず運営主体を決定するためにプロポーザルが実施されました。宮本社長の企業は、そこで独自の事業計画を提案し、選定されました。そして、運営主体と工事業者が連携し、施設の改修が進められました。

また、今回の再生事業では、すべての箇所を一度に改修するのではなく、将来的な拡張や改修を見据え、あえて手を加えない部分も残されました。このような段階的な改修計画は、行政側にも理解され、サポート体制が構築されました。

PR活動も含め、官民連携がしっかりと行われている点は、稲辺ベースの大きな特徴です。他の自治体関係者も視察に訪れ、その成功事例を参考にしたいという声も上がっています。

いなべ市の市長も、民間施設に運営を委託するからには、しっかりと収益を上げられる施設にしてほしいという期待を表明しており、行政と民間事業者の間に強い信頼関係が築かれています。

行政は、民間事業者の活動を支える存在として、民間事業者のニーズを的確に把握し、適切なサポートを提供する必要があります。そのためには、行政職員も常に学び続け、視野を広げることが重要です。

今回のいなべ阿下喜ベースでは、店内のサイン一つにも1年ほどの検討期間を費やしたという話がありました。また、集客方法や価格設定についても、様々な工夫が凝らされています。

リニューアル前と比較して、集客数は約400%増加したとのことです。しかし、地域貢献も考慮し、地元住民が日常的に利用できるような価格設定も維持されています。

有料サウナなど、付加価値の高いサービスを提供することで、遠方からの観光客にも魅力を感じてもらえるような工夫もされています。休憩スペースの設置や、様々な種類のサウナの導入など、宮本社長のアイデアは尽きることがありません。

宮本社長は、常に様々な場所を訪れ、自ら体験したことを事業に活かしています。体験に基づかない提案は、説得力に欠けるため、このような姿勢は非常に重要だと感じました。

以降は、視察のときに撮影したものとなります。

はいって直ぐのいなべの観光案内。黒板はインターンで来ていた方が書かれたそうです。
3月のひな祭りにむけた季節イベント。ひな壇も呼びかけて寄贈いただいたそうです。
もともとの吹き抜けスペースも気持ちがいい。暖炉もあり視察の説明もこの場で。
湯上がりにゆっくりしたり、子どもも楽しめる漫画の本棚
フィンランドの家庭料理も食べられるイートインコーナー
コワーキングスペース。勉強に使う学生もいるのだとか。
右奥が有料サウナ棟 壁のサインもよく考えられています。
宿泊用コンテナホテル 泊まれなかったのが残念
雪に埋まってますが、コンテナホテル前の芝生広場
小規模体育館を改装して、いなべの有機野菜をふんだんに使った料理が食べられる「新上木食堂」


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