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景観まちづくり(流山スタディツアーpart.②)

part①に引き続き、千葉県流山市での視察のまとめです。
part①はコチラ。

今回は、流山市での「景観まちづくり」についてです。
まち歩き中の写真と合わせて見てみたいと思います。

○流山おおたかの森駅前

・駅チカ支援

流山おおたかの森駅前直結のビルにあるサポートセンター

流山おおたかの森駅から徒歩5分もかからない場所に、ファミリーサポートセンターと、送迎保育ステーションがあります。

こちらでは、異なる保育園に預けることになっても、ここが一括の送迎の場になっており、保護者が迎えに来るまで預かってくれるという、働く親に寄り添った施設になっています。

・線路沿いの景観

東武アーバンパークライン沿いの景観

中央に見えるマンションが、線路にそって若干傾斜しているのがわかるでしょうか?これも、景観まちづくりの一環で、手前から奥に傾斜があることで、電車が奥に消えていく見え方をすることで奥行きのある景観をつくりだしています。細かなところまで徹底していますね。

・流山おおたかの森駅前広場

中央口横からみえる広場

木の高さも、手前が高く、奥が低くと遠近法を取り入れています。
ビルの色やサインにも指定があり、華美なものとならないよう、落ち着きのある色が使われています。指定には大学とも連携されています。

○流山市の景観まちづくり

駅前広場から徒歩で移動しながらの景観まちづくりの視察です。

土地境界から1mは緑化地帯に
壁面には木やウッド調の格子状のデザイン
店舗サインも細かな色指定がある

景観まちづくりを視察した後屋内に移動し、都市整備事業についてや流山市のまちづくりについて行政側からの取り組みの説明を受け、質疑応答となりました。

①地域計画

・土地の境界から壁面までは1m開ける
・垣は植物で
・135平方m以上ないと家を立てることはできない

土地の価値があがってくると、どうしても細切れにして高く売りたいという思惑が働くものですが、そうなると非常に窮屈な印象をあたえることになりますし、自然と緑化部分が減ることになります。

②景観計画・景観条例

流山市のコンセプトとして、
・自然が多く緑豊かでおちついたまち
・建物は周辺と調和の取れたデザイン
というものがあり、壁の色や店舗サインにも色指定があったり、
道路の近くは緑化、庭に使われる素材も岩や植物など自然から得られるものを指定されています。また、照明についても華美なものではなく、おちつきのある物となっています。

③広告物条例

町の発展にともない、派手な広告物が増えてきたことから、広告物についても条例で規制することになった。
条例施行前からある建物については、協議により更新時などで条例に即したものにしてもらっている。
新規の物件については、最初から条例に即したものとなっている。

質疑(景観まちづくり)

Q1:民間に提案する難易度
A1:20~30年がかりであり、何度も対話を重ねてきた。

Q2:地域計画、景観条例、広告物条例はどれくらいの強制力があるのか?
A2:地域計画については、手続き上建築許可がおりない。条例は各自治体の判断による。広告物は勝手にできてしまい、注意くらいしかできない。

Q3:市民から提案される区画整理事業はあるのか?
A3:鉄道の沿線開発は行政から(厳密にはスタートは政治から)。区画整理事業そのものは民間発(個人はなく、組合形式)のものもある。

他にも、景観まちづくりだけでなく、市政についても質疑がありました。

質疑(市政全般)

Q1:台湾では結婚していないと受けられない支援サービスがあるが流山市ではどうか?
A1:10年前から大きく変化していて、それは日本全体で変わってきた。旧来の家族観に縛られている都市は、若者から選ばれず衰退している。家庭の構成ではなく、子どもを中心とした支援にしないといけない。

Q2:流山市の政策で結婚する人は増えたか?
A2:戦略として、東京都内にいる莫大な人口に対して、結婚して子育てしたい人たちを呼び込むような政策を流山市ではとっている。
日本の家族観、結婚観は変化しており、結婚がすべてではない。結婚していなくても(離婚しても)子どもを育てられる環境を整備していく。

Q3:市長との対談で、日本の核家族化の割合が6~7割と聞いて驚いた。
A3:流山市に限らず日本全体でおこっている。上の世代と、現役世代の価値観が違う。上の世代も、子育てを手伝うよりも自分たちの自己実現を望むようになり、親子の距離感に変化が出てきている。
したがって、地域での緩やかな繋がりを作っていく必要がある。

◯流山市とつくばエクスプレス

流山市では、つくばエクスプレス(首都圏新都市鉄道つくばエクスプレス)の当時の秋元大吉郎市長による誘致成功により、大きく変化しました。その経緯についてはこちらの記事をご参照ください。

今では新たな鉄道路線を誘致するということは、ほぼ不可能に近いと思いますが、当時の市長の危機感と行動により大きな前進があり、今の発展があるのだと思います。
首長の役割は、自分の自治体の「今」も大事ですが「将来どうするか」をビジョンとして掲げ行動することが、何よりも重要なのではないでしょうか。

○まとめ

今回は、流山市の景観まちづくりについて、体感して、知識で補足肉付けをするという、学びのお手本のような感じだったのではないでしょうか。

議会や行政での視察は時間割がしっかりしている分、行間のような感じる部分が少ないように思います。また、時間が限られるのでどうしてもうまく行ったところだけ聞くことになるので、途中の苦労や失敗が抜け落ちてしまいます。

今回近藤市議は、過去のまちづくりの苦労について聞かれた時に、「死闘」と一言おっしゃいましたが、そんな話は普通聞けないと思います。笑

ひとつひとつのまちの変化が見えたり、関わる人の様相が変わっていくことが、まちづくりの醍醐味であり、楽しいところなのかな、と感じました。

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