公共施設のファシリティマネジメント 自治体の健全経営に必要な意識とは
今私が参加している木下斉さんが主催しているオンラインラボLDLにて公民連携議員のメンバーとして活動をしています。
この会では、毎月定例会で、参加している議員の方から地域の事例共有、まちづくりについて意見交換をしているのですが、2024年最初の定例会では、NPO法人自治経営の三宅香織様をお迎えして、公共施設のファシリティマネジメントについてお話をいただき、その後活発な意見交換が行われました。
【公共施設のファシリティマネジメントとは】
◯ファシリティマネジメント(以下、FM)とは
◯自治体での公共施設に関する計画は何があるか
平成26年4月に、総務省から自治体に対し、公共施設等の現状を把握し、今後の方向性を定めるため、「公共施設等総合管理計画」の策定の要請が行われました。それに伴い、各自治体において、管理計画が策定されています。その中で、再編整備事業などが展開されています。
【なぜ公共施設のFMが必要なのか】
戦後長らく人口が増加する時代が続きました。当然人が増えれば、それにともなって使う施設が増えていきました。その中でも住民福祉や教育推進のもと公共施設が数多く作られてきました。しかし、皆様御存知の通り少子高齢化や人口減少などの社会情勢の変化により昔に多く作られた施設が使われなくなってきています。また、公共施設そのものの老朽化に伴い、安全性の観点から修繕・更新に莫大な費用がかかります。
一方、自治体では任意に節減できない義務的経費(人件費、扶助費、公債費)により、財政が圧迫されています。
日本の人口はこれから更に減る可能性がある中で、将来に先送りできない問題が公共施設の適正な管理なのです。
【FMに必要な考え方】
◯データベース
適正な維持管理のためには、今ある公共施設について現状把握、課題分析にデータベースが必要です。施設の統廃合については住民感情が影響します。住民説明会では丁寧な説明が必要と同時に、納得感のあるデータを示さなければなりません。
◯プロフェッショナルの育成
公共施設のデータベース作成や維持管理については専門的な知識や経験が必要となります。現在のような数年おきに担当が異動するような状況では、長期に渡り計画を遂行するプロフェッショナルが育たない環境にあります。幅広い知見を持つことも重要ですが、これだけ細分化、専門化が進んだ状況ではプロフェッショナルの育成は急務となっています。
経営戦略と連動した戦略的人的資源管理からも、明確なキャリアパスの設定が必要です。首長も民間のような経営感覚が求められています。
◯エリア特性、世代特性
産業の勃興により、一時的に人口が増加している地域もあります。ただ、それも一過性のものであるかもしれません。また、新興住宅地ができると、だいたい同じような世代が集まり、子供の数も爆発的に増加します。ただ、卒業してしまえばそれまで。ピークに合わせて建てた学校も必要なくなる可能性があります。ピークアウトした後にも活用できるような施設を計画するか、言葉は悪かもしれませんが、一時しのぎをするのかで、将来負担も変わってきます。
◯増やす、減らす、長寿命化のベストミックス
ただ、減らすだけでは住民福祉、住民サービスを著しく損なうことがあります。今ある施設が本当に必要なのか、使用頻度はどれくらいなのか、これからどのように人口が変化していくのか、などデータを元に判断していく必要があります。
一方で、予算が出るからといって、無闇矢鱈と建築を進めることも慎まねばなりません。将来的に必要な見極めがとても重要となります。
建て替えるなら適正な規模やランニングコストが掛からないもの、直すならいつまで使うか明確にしたり、必要なデータと適切な判断が求められます。
◯議会からの発信
施設を減らすことはときには痛みを伴うことがあります。それを行政の職員にだけ背負わせるのではなく、議会としても発信が必要となっています。すべてを維持することが困難となってくる時代には大胆な議論も必要となります。ときには意見し、ときには応援するということもこれからの議会のあり方と思います。
◯民間活用
行政施設としては役目を終えたものでも、民間への賃貸もしくは売却で運用できる場合があります。行政としては維持管理コストを減らす、もしくはなくすことができますし、民間事業所としては安価で事業が開始できるというメリットがあります。
双方での認識のすり合わせが必要となってきますが、使えるものは使い倒すの精神が必要です。
【まとめ】
いかがでしたでしょうか。私もそれほど詳しくないことではありましたが、今回の定例会とこのnoteを通じて意識に定着できたかなと思います。
皆様のお住まいの地域でも必ず公共施設は存在していると思います。新しい施設ができて良かった、というだけではこれからの自治体財政はジリ貧になっていきます。ぜひ皆さんも、自治体の広報や、議会からの発信にご関心を持っていただき、持続可能なまちづくりに参加いただければ幸いです。