Monsieur Fのフランス語り その3【Allez les Bleus!~フランスラグビーをサポートしよう!】
Monsieurです。先週のオンラインカフェでは、「フランスのラグビー」を取り上げました。
ある資料によると、フランスのスポーツ競技人口のベストテンは、1位はサッカーで220万人。ラグビーは10位で20万人に過ぎないですが、先日のアイルランド戦のTV視聴率は30%超え。見るスポーツとしては、日本以上に定着しているのではないでしょうか。
僕が初めてフランスラグビーに生で触れたのは、1984年。ユーミンのアルバム「No Side」が流行り、ラグビーブームが沸き起ったこの年、フランス代表は秋に来日し、日本代表を大差で打ち負かしました。セルジュ=ブランコ、フィリップ=セラといった大スターの、今まで見たこともない優雅かつ才能あふれるプレーに、すっかり魅了されたものです。
フランスのラグビーは、19世紀にイギリス人のワイン業者がボルドーから持ち込んだのが創始という説が有力で、このため南西部で盛んになったと言われています。この地域の村々には必ずといっていいほど、グラウンドにはラグビーのゴールポストが突き出ています。夕方になると、仕事を終えた男たち(たまに、女たち)が三々五々集まってきては、吐く息白い中、週末にある隣村との試合のため、練習に精を出すのです。
プレースタイルは、お国柄同様自由闊達で創造性が高く、予想を裏切るあっと驚く展開が多く、世界では「フレンチフレア」として長く賞賛されてきました。またパスを早く回し、ボールをサポートするプレーヤーが次々と湧き出て来る姿から、「シャンパンラグビー」とも呼ばれています。スクラムもアングロサクソンに比して体が小さいことから、プッシュの方法・力点の置き方を独自に工夫し相手を翻弄します。
しかしながら、「フランスでラグビーを応援するのは、悪女と付き合うようなものだ」と
言われています。さきのワールドカップ準々決勝、選手の肘が相手選手に当たったことで退場となり、その後逆転を許し、敗退したことは記憶に新しいでしょう。それほど、「歓喜と失望」の歴史を繰り返したチームなのです。とっても「C’est la France」という気もするのですが。(生島淳・Number Web・2019/9より一部引用)
チームはフランス代表を頂点に、下部リーグ、学生チーム、アマチュアチーム等々、多岐にわたります。プロ最高峰に君臨するのはTop14といわれるリーグ。Home & Awayで26試合を戦います。ほとんどはフランス南西部に属するため、町対抗の色合いが強く、コロナ前はほぼ競技場は地元観客で満杯。バンドの音楽とサポーターの横断幕と大声援(キツいヤジも)はチームを後押し、Homeチームが圧倒的な勝率を挙げるのが通常です。
試合後もまだまだ盛り上がります。セレブ達は競技場内に大抵あるレストランでフルコースに舌鼓を打ち、一般客は鴨のサンドイッチやフリット(フレンチフライ)を片手に地元ワインや食後酒を飲みながら、試合を振り返ります。バンドは試合後もChanson Francaiseの名曲を演奏し続け、一緒に踊り狂っている人も少なくありません。中にはプレーヤーも混じっています。
2023年はフランスでラグビーワールドカップが開催されます。日本はトウールーズ、ニース、ナントでの試合が決定し観戦を予定している方も多いと思います。この機会にその町で行われているリーグの試合にぜひ足を運んでみてください。フランス好きの貴方なら、「悪女のささやき」に、きっと引き付けられることでしょう。
【今日の一曲】
メトロのストリートミュージシャンが取り上げる「Le Temps de fleurs」はロシア民謡発祥の世界的大ヒットが原曲。フランスではダリダのバージョンで知られていますが、実はラグビー試合中でバンドが取り上げることも多く、一番もりあがる曲でもあるのです。
書いた人:Monsieur F