特別講義 ラジオの話 前編

まえがき
前回、台本の書き方を書いたところ評判が良かったので、Twitterで聞いてみたところ、『ラジオ製作あれこれ』が投票数多かったため、それを踏まえつつも、何回かやったことのある声優養成所的なところでの特別講義という形式で書いてみたいと思います。まあ、どうせ今更呼ばれないと思うしw。
ということで、一応声優を志す人向けではありますが、そうでない人にも興味を持てる内容だとは思うので、ちょっと長いのですがお暇なら読んでってくださいな、と。読んでいいなーと思ったら投げ銭感覚で下のサポートするボタンをポチっとなーとしてやってくださいな。
ということで、おたっきぃ佐々木講師の特別講義、ラジオの話はじまりはじまりー。

ごあいさつ
「えー、みなさま。おはようございます。はい、今回はラジオの話をするということなので、挨拶もラジオ業界っぽく『おはようございます』にしてみました。ちなみになんで夜でもおはようございますという挨拶を使うのかというのをご存知の方いらっしゃいますか?(見回しつつ)なるほど。まあ歌舞伎の世界からとか、ございますがつけられるのがおはようしかないからとか、他にも諸説あるようですが、まあ便利だからってことでいいんじゃないですかね。一般企業だと朝に出社しておはようございますですが、ラジオだと夜中に出社なんて場合もあるわけですから、いつでもおはようございますということです。声優業界でも割とそんなところありますね。そんなわけでみなさんも一度声出しておきましょうか。おはようございます。(おはようございます。)はい、いい挨拶、ありがとうございます。それでは講義の方に入っていきましょうか。」

自己紹介
「さて、さすがに最近の若い人には知ってる人もいないと思うので、まずは自己紹介させて頂きます。おたっきぃ佐々木と申します。まあ、名前の通りクソがつくレベルでおたくな青春時代を通過してきたのですが、その辺は長くなるのでまたいつか。そうですね、実際にみなさんが声優になってお仕事した時の打ち上げででもゆっくりお話しましょう。
とりあえず、ラジオのディレクター、パーソナリティー、構成作家を全て経験しております。構成とパーソナリティー、とか、ディレクターと構成、というのはそこそこいるんですが、3つ全部を経験したことがあるというのはちょっと珍しい生き物なのかなあと思ってます。最初にディレクターやってたら、何故かパーソナリティーに抜擢されて。そうですね、わかる人はわかるかと思いますが、文化放送でやってるエジソンの前にアニスパという番組があって、その前のアニゲマスターという番組で生放送を6年半ほどやらせていただきました。で、その後ちょっとお休みをいただいたりしつつ、構成なんかのお仕事も何度かやらせていただき、今現在ではボイスガレッジチャンネルや声優グランプリチャンネルでニコ生などを中心に声優さんの番組で仕事をしています。

さて、みなさんもディレクターという単語はご存知だと思いますが、ラジオのディレクターって何する人か知ってますか?はい、キューを振る人。そうですね、キュー振ります。音声卓を操作する人。うーん、それは本当はミキサーという仕事なんだけど兼務することもありますね。編集する人。うん編集しますよ。番組を作る人。まあ、大体正解でしょうかね。まだ、ありますか?番組を企画する人。まあ、それもやりますね。そんなとこですかね?はい。ディレクターという仕事、横文字でかっこいい風ですが、単純にわかりやすく言い換えると、ラジオ番組の現場監督ってところですかね。現場で番組を作る責任者ってところでしょうか。企画に沿った番組考えて収録して編集して納品するみたいなのが大まかなディレクターのお仕事になります。

んじゃ、次は構成作家。これは簡単ですね。台本を書く。はい、そうですね。それじゃ他には?メールを選ぶ。あー、それも番組によってはありますね。喋る。あー、確かにいますねー、そういう構成作家も。まあ喋るのが必要だったら喋ってもいいんじゃないですかね。企画を考える。そうですね、構成作家も企画考えます。まだ出ますか?そろそろいいでしょうかね。はい。構成作家は台本を書くのも仕事ですが、一番の仕事は番組をスムーズに進行させるという仕事ですね。いや、正直、構成台本なんてなくてもいいんですよ。実際、そんな番組いくらでもありますから。でも、よりスムーズに進行させるために構成台本があったり、メールを差し込みしたり、資料を入れたり、ツッコミ入れたり、たまには喋ったりということもあるわけです。

それじゃ、最後。パーソナリティーというのはどういう仕事でしょうか。喋る人。正解ですね。他にありますか?情報を伝える人。そうですね。他には?自分を表現する人。難しいなー。まあパーソナリティーという言葉からすればそういうことなんですけどね。いろんな形があるので一概には言い切れませんが、自分的にはこうだと思っています。番組において、前に出る人。実際のリスナーが耳にするのはパーソナリティーの言葉なので、あえてこんな表現がいいのかなあと。まあ、番組に関わる人はたくさんいてそれぞれに意見があると思うのでどれが正解かはわかりませんが、とりあえずやったことのある経験から言うとそんな感じなのかなーと思っています。
今日はそんなさまざまな観点からラジオについてあれこれ話してみようと思いますのでよろしくお願いしますね。」

さて、ラジオの話に
「それでは、ラジオの話に入っていきましょうか。ちょっと聞いてみましょうか。ラジオをよく聞く人。あー、地上波だけじゃなくネットラジオなども含んでいいですよ。はいはい。ありがとうございます。それじゃ逆に、ラジオを全く聞いたことないって人もいますか?あ、やっぱ。いますよね。ありがとうございます。あ、それじゃちょっとお聞きしてもいいですか?聞いたこと無い人はなんで聞いたことないんでしょうか。ラジオが無い。静かなのが好き。ああ、なるほど。ありがとうございます。まあ、聞かない人は聞かないもんですよね。それじゃ、聞く人はなんでラジオを聞きますか?好きな人がやってるから。まあ、それですよね。面白いから。作業しながら聞くのが好き。寂しいときに人の声を聴くと安心する。なるほどー。はい、ありがとうございます。
さて、まあ今『ラジオを聞く』ということについていろいろと聞いてみたわけですが、おそらくみなさん『ラジオ番組』の話になりますよね。テレビやネットなんかもそうですが、ラジオとかテレビとかネットとかってのは、本来、媒体なんですよね。ラジオだったら受信機、テレビだったら受像機、ネットだったらパソコンやスマホといったような感じで。でも、こうやってラジオの話しましょうかって時は番組について話す人のが多いじゃないですか。いや、中にはいると思いますよ。このメーカーの受信機が好きとか、ループアンテナ使ってここの放送をここで聞けたみたいな人とかもいるので。もちろん、電波法に則って公共性がどーたらとか速報性がうんぬんという方向性の人もいるでしょう。でも、おそらくそれらは少数派ですね。
そう考えるとラジオっていうのは、そういうスタイルとして認識されてるものなんだってことなんですよ。音声のみによるメディアの形式。放送であれネット配信であれ、ラジオというスタイルで作られた番組はラジオなんだと思いますよ。このラジオというスタイルについては、また後で話しますね。これは個人的意見なので違うよって人も多いとは思いますが、今日のラジオの話は、このラジオというスタイルについて話していきますので、よろしくお願いしますね。」

ラジオのいいところ
「さて、昨今ではラジオといいつつも映像つきみたいなものも増えておりますね。実際、担当してる番組もそういう形式のものが増えております。それはどうなのってとこから行きましょうか。
そもそもラジオというのはテレビ放送以前には大変人気がありました。まあ、目新しかったんでしょうな。耳で聞くものですけどね。みなさん目新しいものには飛びつきます。そしてテレビが始まってもラジオはラジオとして独自の路線で進んできたと思います。車を運転しながらとか作業しながら聞くには非常に都合のいいものですからね。これがテレビだとどうしても作業してたりする手を止めなければいけない。おそらくそうしたところがいいところと思ってる人もいるでしょう。
とはいえ、百聞は一見に如かずなんて諺があるように『見える』ってのは確かに強いんですよね。
でも、実はそうでもないこともあるよって話を少ししてみましょうか。
だいぶ昔に聞いた話なんですけど、ラジオショッピングってあるじゃないですか。テレビショッピングみたいな感じですね。あれをやってる部署の人から聞いた話です。ラジオショッピングで物を買ったことのある人っていますか?テレビショッピングだとどうでしょう?ほうほう。
さて、ラジオショッピングとテレビショッピング。買ってみたけど、番組で 見たのとイメージが違ったりすると返品とかする人もいるようなのですが、この返品の率、テレビショッピングとラジオショッピングどちらが高いと思いますか?そう。これ意外にもラジオショッピングの方が低いそうなんですよ。ラジオショッピングって商品が見えることはないんですけど、そんな中で聞いて膨らんだイメージってのは実物を見ているはずのテレビショッピングより強かったりするのかなーと。まあ、返品の理由が全部そういうことかってのまでは わかんないですけどね。
さて、んじゃラジオってスタイルはどうあるべきなのかというところ戻りましょうか。結局のところ音声メディアというところと、聞いている人の想像力を最大限に広げようってことだと思います。昨今、どうしても『わかりやすさ』ってのが求められるとは思うんですが、そこに逆行するところはありますね。ただ、そこを映像つけてわかりやすくするってのもアリなんですけど、やりすぎるとそれはテレビです。その辺のバランス感覚は大事なのかなーと。もちろん、自分もまだ模索中ってとこですけどね。
おそらくどんなメディアでもそうなんでしょうが、優位な部分と苦手な部分ってのはそれぞれあると思うんですよ。で、わざわざ苦手な部分を強化してもそんなに意味あることかなーと。優位な部分があるんだったら、そっちを最大限に活かす使い方ですよね。そういう意味ではラジオ番組において映像というのはサービス、おまけ程度のものと考えていいんじゃないでしょうか。もし、そうでない方向に向かうのであれば、ラジオじゃなくていいんだと思うんで。それはラジオをベースにした何かですよね。V-tuberの一部はそういう方向もやってますけど、それはいいんじゃないかな。メインがどっちにあるかってことがしっかり出来ているのであれば。」

声優とラジオ
「さて、一応みなさんは声優になりたい人たちと考えて大丈夫でしょうか。正直、この中で本当に声優を職業にしてご飯を食べられる人が何人出るかはわかりませんが、その中でなんかしらのきっかけでラジオのお仕事をすることになる人もいるかもしれません。そんな時に役に立つかどうかはわかりませんが、そんなお話をしていってみましょう。
さて、声優という職業でラジオと関わるお仕事というと、どれくらい思いつきますか?パーソナリティー。ラジオCM。ラジオドラマ。テーマソング。ジングル。あ、ジングルっていうのは番組の途中に流れるアイキャッチみたいなもんです。などなどと、やはり、音の世界なので声優さんのお仕事には向いた世界です。
そもそも声優というのは声が優れると書いてあるくらいで、印象のある声の方や聞き心地のいい声の方も多いので、ラジオにはありがたい存在です。
そんな声優さんのラジオ番組も多数あります。そういう声優さんのラジオを聞いたことある人。あー、なるほど。では、聞いたこと無い人。はい。ありがとうございます。
今、手を挙げた聞いたことのない人に言っておきましょう。多分聞いた方がいいです。何故かってのを今からお話しますね。
みなさんが声優になるとして、仕事を得るためにはオーディションを受けることがあると思います。それこそ現在の声優業は歌や踊りなども出来る人が求められたりする傾向にありますが、そうしたオーディションの時にフリートークを要求されるケースがあります。まあ、そうですね、これは何故かというと、アニメーションという商売をする上で、ブルーレイディスクの販売促進イベントなどをすることが必須となってきつつある状況、そして販促ラジオ番組などが多い状況。そうしたところまでも含めてキャスティングを考えるため、キャスト陣にもフリートークという能力が求められるからです。それこそ、そういったイベントやラジオが商品化されるケースもあります。お金を払ってもらえるコンテンツにするためには、そういう能力も大切な要素になってくるわけです。そういう意味では、声優ラジオというのは無料で聞けるテキストだと思ってもいいでしょう。まだ、みなさんは難しく考えることはありません。ただ、楽しんで聞いていればいいと思います。
その中で自分の好みに合うものが見つかれば参考にすればいいのだと思います。いや、あんま参考にしちゃいけない人もいますけどね。(笑)
とりあえず、ここまであれこれと話してきましたが、この後はそんなトーク力をつけるためのお話にしたいと思いますが、一旦休憩をはさみましょうか。」


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