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コラム:オタクを狂わせる「キレイなリョナ漫画」トップ3

こんばんわ。
今回は好きな漫画の話をします。ちなみに先に言っておきますと本記事ではグロい画像とか表現は使いませんのでそこが苦手という方でも大丈夫な様にします。ただ、話題としてはキャラクターが追い込まれる系なのは間違いないのでそこだけお気をつけください。

それさえ問題ないのであればネット特有の奇妙なヲタクを観察するような気分で覗いていってください!

まず、「キレイなリョナ」とは…?

タイトルに使っている「キレイなリョナ」というのは、私が昔から使っている造語です。
これは「精神的な」とか「いっそ清々しいくらい完膚なきまでに追い込む」とかそういった意味のキレイではなく、単純に「血は出ないけど体は傷付いたり欠損したりする」という状況のことを言っています。

適当な例を思い付いたのでそれを用いて解説します。
例えば、SF的な世界観の作品があったとします。そこで人型のアンドロイドが撃たれて腕を失ってしまったら?勿論アンドロイドなので血は出ません。すると、リョナという言葉が適語なのかは微妙ですよね。

このシチュエーションの事を完璧に説明できるのが「キレイなリョナ」という造語です。

血が出たり中身が見えたり…なんてことはないので、絵的なキツさは少ない一方で、こういったシチュエーションはオタクの精神に強いショックをもたらします。
それをゲートウェイドラッグのようにして界隈に入ってしまう人間は大勢存在するのではないかと思います。なので、こうした「キレイなリョナ」を議論することには大きな価値があるわけです。

前置きはここらで十分ですね。それでは本編、オタクを狂わせる「キレイなリョナ漫画」TOP3の紹介をしていきたいと思います。
せっかくなのでAmazonのリンクも添えておきます(恐らくお金は入りませんから布教のノリで)。

なお、順位付けは完全な主観です。


第3位:ワールドトリガー

第3位は葦原大介『ワールドトリガー』です。週刊少年ジャンプ→ジャンプSQで連載中。

アニメ化もしたジャンプ作品というところで名前を知っている方も多いでしょう。集団戦やゲーム的な能力の組み合わせ方が楽しい知的な雰囲気のあるアクション漫画です。

名作漫画であることは間違いありませんが、一体どこに「キレイなリョナ」要素があるのか?
ずばり、「トリオン体」という設定を導入することで血を描かずにガンガン腕を切ったり体を真っ二つにするアクションを描いていく点です。

「トリオン体」とは作中に登場する架空の物質(トリオン器官という臓器のようなものから生成される)、トリオンによって構成された戦闘用の肉体のこと。切られても本体にダメージはなく、当然血も出ません。
しかし、そうは言ってもジャンプのアクション漫画でポンポン手足が吹っ飛んだり体が真っ二つになったりするというのはだいぶ衝撃的です。
トリオン器官は若ければ若いほど多くのトリオンを産み出す(=すぐ衰えるので中年キャラがいない)という設定のうまさと相まって少年キャラクターが多数を占め、本物の肉体ではないという点を活かして少女キャラクターも多く登場する作品ですし、絵柄もまあまあデフォルメによってるのでそういった可愛らしいキャラがどんどんやられていくというのもなかなか…なかなか………という漫画です。

一番凄いところはそれでいてグロさが全然ないところ。なので親から禁止される可能性は低く、自分自身が血生臭い作風を敬遠していても読むことができてしまう。
少年漫画という事も踏まえて狂わせたオタクの数は相当多いでしょう。

という事で第3位は「ワールドトリガー』でした。

第2位:宝石の国

第2位は市川春子『宝石の国』です。アフタヌーンで連載中。なんと今月5日まで1〜3巻が無料で読めるようです。

この作品は順位をどうするか相当悩みました。大好きな漫画です。この作品の凄いところは宝石という無機物を擬人化することで人間ではあり得ない砕け方を描写するところ。
その点においてはもはや新たなジャンルの開拓者と言って良いでしょう。

もちろん、ストーリーや設定を見てもめちゃめちゃインパクトのある漫画ですが、絵としてはやはり宝石たちが粉々に砕け散っていくという点が印象深いです。


宝石たちは脆く、儚い存在として描かれており、彼らの死生観は我々とは大きく違います。
人間の肉体とは違い砕けても"インクルージョン"という彼ら体に住む微生物のような存在(と捉えていますが細かな点は明かされていません)によってパーツさえ残っていればバラバラになってもくっついてすぐ元に戻れるため彼らはパーツの欠損を恐れたりしませんし、なんなら別の鉱物で代替する事もできます。

ですが、それ故に儚い。主人公のフォスファファライト自身が最たる例ですが、自分の体を大事にするという気があんまりないのです。
そして、宝石というのは脆くて美しいものですから、その最期もまた一様に美しい。キラキラと飛び散っていく様は美しい以外のなにものでもない。

先にも述べましたが、こうした表現は人体では逆に不可能な事です。『宝石の国』は新たなジャンルを発明した作品だと言えます。

ということで第2位は『宝石の国』です。2年ぶり(SONYがPS5の抽選で迂闊にも市川春子を当選させてしまったため)のコミックスである12巻が先日発売されました。買おう。


第1位:Rozen Maiden

映えある第1位はPEACH-PIT『Rozen Maiden』です。
ローゼンメイデンシリーズは『0』を含めて三部ありますが、その第一部ですね(第二部は『ローゼンメイデン』とカナ表記、口頭ではカタカナローゼンなどと呼ばれている)。
今回選んだ三作品の中で唯一の完結作品でもあります。

『Rozen Maiden』の特徴はやはりPEACH-PIT先生の可愛らしい絵でしょう。それも色んなタイプの可愛さを描けるところが素晴らしい。
"可愛らしい"と書きましたが、いわゆる"かわいい系"のキャラだけでなくクールだったりボーイッシュだったりと様々な可愛らしさを描き分けていて、その描きわけが漫画の魅力に繋がっている事は疑いようもありません。
ちなみに、PEACH-PITは二人組ユニットですが、本作に関しては半々くらいの分担でやってるそうです。CLAMP先生みたいな感じなのだろうか。

それはそれとして、人間は"可愛い"だけでは狂いません。それにプラスアルファがあるから狂うのです。それは恐らくこの記事をお読みの皆様も理解(わか)っていただからかと思います。

そして、ここでのプラスアルファとは………勿論、キレイなリョナ的な要素に違いありません。

先にお断りしておきますが、『Rozen Maiden』自体に"そういう趣向"はそんなにありません(登場人物が精神的に追い詰められるシーンは割とありますが)。こちらが勝手に見出してる立場ですので、そこで作品自体のイメージを確立しない様にだけお願いいたします。

と、言ったところで"見出してしまった"要素のお話に参りましょう。それはPHASE16のことです。
主人公(兼ヒロイン)の第五ドール・真紅がライバル的ポジションである第一ドール・水銀燈と敵対し、戦闘することになります(別のドールも参加してますがここでは割愛)。戦いは終始水銀燈優位に進み、真紅はどんどん追い詰められていきます。

劣勢に追い込まれたにも関わらず、反抗的な目線で水銀燈を睨みつける真紅。それに激昂した水銀燈は「何よ その眼」「わたしは壊れた子(ジャンク)なんかじゃあ ない…!」と叫びながら、真紅の右腕を引きちぎります。

そして


(いらない物は?)「壊れた玩具」
(嫌いなことは?)「不完全なこと」
(怖いことは?)「欠落すること」

『Rozen Maiden(新装版)』3巻 PHASE17


というポエムの添えられた眠っている真紅の絵が入り、その後に伝説的なPHASE17の見開き扉絵が入ります。

腕と足が外れ、普段のゴシックロリータ衣装ではなくキャミソール一枚となって微睡んでいる真紅が、あまりにも美しく、そして儚く描かれた扉絵。

思えば、私の全ての"こじらせ"はそこから来ているのかもしれません。

PEACH-PIT先生の描く繊細な可愛らしさが、明るく振る舞っているはずのドール達から漂う儚さが、そして彼女は人間ではなく人形なのだということを否応なく知らしめる欠落全てその扉絵に入っています。

私にしてみたら、一種の宗教画の様な物ですね。これまでの人生を振り替えって最も印象的な扉絵ランキングをやったとしても多分最上位圏に来るのではないか…この記事を執筆するにあたって漫画を読み返し、そのくらいの力を感じました。人格形成に関わってくる様な、そんな力を…。

その後、真紅は完全破壊を免れなんとか腕一本の被害だけで逃げおおせるのですが、物理的なダメージ以上に抱えるダメージが大きい。
最初はなんてことなかった風に振る舞っていた真紅ですが、主人公(人形使いの男の子)・ジュンに様子がおかしいことを指摘され、"不格好で不完全になってしまった。ドールは完璧でなくてはいけないのに"と取り乱します。

その際に口走っていた「(ほつれたドレスを縫って持ってきてくれたジュンに対して)いらない」「腕がないのにドレスなんて不格好だもの」というセリフが個人的には非常に印象深いです。
今まで強い面しか見せていなかった真紅が初めて見せる弱みであり、心の底から"不完全なドールは無価値"と思っているからこそ出て来る言葉。あまりにも重く、儚い。

この精神が見開き扉絵の前にあるポエムに通ずる物であり、水銀燈のコンプレックスであり、ドール達から感じる儚さの所以でもあるわけです。水銀燈も含めて、みなこの劣等感や恐れに悩まされているというのが作品の根幹部分であるという風に個人的には解釈しています。

そういったテーマも含めて大きく影響を受けている作品です。この儚さが大好きなんですよね。腕をもいだ後に水銀燈が真紅を煽るシーンがとても好きなのですが、そこすら作品のテーマを理解すると"恐怖やコンプレックスの裏返し"というか"欠落を恐れるドールの精神性"なのだな、とどこか儚く見えてしまう。
作風としてはそんなに暗い話ではないですが、だからこそ印象的なんですよね。

といったところで、ランキングの発表は終わりです。

あとがき

今回はオタクを狂わせる「キレイなリョナ」というジャンルとその漫画についてお話ししました。どれも思春期に多大な影響を受けた大好きな漫画です。

ちなみに、今回記事で紹介した漫画を読んで実際に狂ったというエビデンスが存在します。私の存在です。

界隈の中では浅い方ですが、確かにその界隈に属していますので…。あまり聞こえの良い話ではない上に冒頭で「苦手な方も大丈夫」と言っているので詳しい事は抜きにしておきましょう。

そこのあなた!今からでも遅くありません、「キレイなリョナ」から"初めて"みませんか!?


お読みいただきありがとうございました。

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