不思議な物語「奏で手のヌフレツン」の世界にどっぷりと
書店でふと独特な表紙と、『奏で手のヌフレツン』という不思議なタイトルに惹かれ、まったく予備知識なしで買ったら、内容も摩訶不思議でどっぷりハマりました。
『奏で手のヌフレツン』は、酉島伝法氏による壮大な物語で、不思議な球面世界を舞台に、3世代にわたるドラマを描いています。この作品を読んだ方は新たな読書体験を得られるのでは。
物語の中心には、〈解き手〉として働くジラァンゼと、その子で〈奏で手〉として生きることを選んだヌフレツンがいます。彼らはそれぞれの仕事に打ち込みながら、家族や友人との関係を築いていきます。
独特の言語と創造的な世界構築で、すべてを理解しようとすると、つまずいてしまいますので力を抜いて読み進めましょう。
世界に入るまでは「他人の日記として読む」
『奏で手のヌフレツン』は独特な単語や世界のルールが序盤から説明もなく語られるため、読みはじめから内容をすべて理解しようとすると読むのが疲れます。
そんな時はマンガ『バーナード嬢曰く。』の7巻で出てくるセリフ、「他人の日記として読む」が有効です。分からないことも一旦分からないまま読み進められます。(バーナード嬢曰く。面白いです。おすすめ)
不思議なことに100ページほど読み進めていくと、もう『奏で手のヌフレツン』の世界に自分も入りこみ、違和感なく物語がスっと入ってきます。この作品は、日常と非日常が交錯する中で、人間性とは何か、生きるとは何かを考えさせられます。
あまり書きすぎるとネタバレになりますので、少しでも興味持たれた方は実際に手にとって読んでほしいです。独創的な世界観と言語の魔術が光る一冊です。