散歩の途中のプレゼント

突然の雨に悩まされます。

愛犬の散歩は、雨が上がった時間を狙って出かけます。
晴れ間を見つけて出かけたはずが、途中から土砂降り。
傘を持たずに家を出た散歩仲間と雨宿り
「降ってきちゃいましたねぇ」と会話する日もあります。

お天気に もてあそばれる散歩ではありますが、夕方素敵なことが起こりました。

いつもの川沿いの散歩道に、いくつか橋があります。
家を出て一つ目の橋を渡ってすぐの二つ目の橋のところで、おじさんが立ち止まって、空を見上げている姿が遠くに見えました。
だんだん近づいていくと、おじさんと目が合いました。

「虹、出てるよ」
おじさんは指をさして、大きな虹が出ていることを教えてくれました。
振り返らないと見えない場所で、私は虹に気づいていませんでした。

「きれいですね」教えてくれたおじさんに声をかけ、しばし眺めました。

ちょっと足取りが軽くなって散歩を続けます。

四つ目の橋を渡って川の反対側を急ぎ足で歩いて、
「まだ出ているかな」と二つ目の橋に戻ってきましたが、もう虹は出ていませんでした。
小さな楽しみは長くは続きません。
でも、ほんの短い時間しか現れない虹をさっき見ることができたのですから、幸せでした。

犬の散歩を邪魔する鬱陶しい雨。
その日は、すてきなプレゼントをくれました。

見知らぬおじさんが教えてくれた虹、誰かに知らせたい気持ちに、偶然出会えた幸せ。

虹を見て、きれいだねって笑顔になって、知らないもの同士でも気持ちを共有できるっていいですね。