羊の皮を被った狼的ダンジョンRPG
ストイックなダンジョンRPGは私の好きなゲームジャンルのひとつです。
古くはウィザードリィに代表されるこのジャンルは、時代を経ても廃れる事はなく、根強いファンの手によって、一定の地位を保ってきたように思います。
長年様々なプレイヤーを魅了してきた、その源泉はどこにあるのか、少し考えてみました。
まずはダンジョン特有の緊張感。これは大きなファクターのひとつでしょう。ともすれば明かりすらなく、一歩先には何が待ち構えているかわからない世界。手強いモンスターに出会ったら、一瞬で手塩にかけて育てたパーティは全滅してしまうかもしれません。常に死と隣り合わせであること、このスリルには何物にも替えがたい魅力があります。
そして報酬。危険の向こうにはそれと見合うだけの見返りが存在します。それは経験値であったり、お金であったり、はたまた希少なアイテムであったりします。それらを手に入れたとき、プレイヤーはある種のギャンブルに似た楽しさに支配されます。
この厳しさと楽しさの同居が、ダンジョンRPGを不動の地位に据えてきた要素であることは、間違いないと思います。
そしてこの骨格に肉を付ける、重厚なグラフィックやシリアスなストーリー。
こうして作られた世界観が、私や世のゲーマーたちを魅了してきたのだと思います。共通するのは一種のダークな世界。本格的なダンジョンRPGは、ダークでシリアスなものが主流でした。
しかし、そんな私の持っていた常識をひっくり返す作品に出会いました。それはダンジョントラベラーズ2という作品です。
この作品、一見すると萌え絵のギャルゲーにしか見えません。内容も、パーティに参加するキャラクターは全員女の子。ついでに言えば、敵も基本的には女の子。総じて軟派なことこの上ない作品と言えましょう。
しかし、ところがどっこい。見た目に反して、ダンジョン探索ゲームとして、かなり骨太な出来のゲームだったのです。
特筆すべきは、ダンジョンRPGとしての完成度の高さです。難易度は高め。でもそれが丁度いい感じの難しさで、敵の強さ、マップの嫌らしさ、どちらも程よい感じなのです。
それにより、ダンジョンRPGの魅力のひとつである、ダンジョンの緊迫感が醸し出されています。一歩進むたびにドキドキするあの感覚を味わえるのです。敵もどれも一芸をもっており、個性的で戦闘にマンネリを感じさせません。このあたりのバランス感覚は見事です。
一方、報酬面も魅力的です。武器、防具は基本的に店売りされておらず、全て敵を倒して入手します。このように、ハクスラ要素も充実しています。
ダンジョンRPGの楽しさの双璧を備えてしまったこのゲーム、傑作といわずして何といいましょう。
まさに羊の皮を被った狼的作品です。
硬派なゲーマーは絵柄(かなり可愛いです)で敬遠してしまうかもしれませんが、それはあまりにもったいないです。
ぜひ食わず嫌いをせずに体験して欲しいと思います。なお、萌え絵が好きな人には言うまでもなくお勧めです。