
子なし人生の葛藤1
不妊治療の経験を持つ方にとって、その苦悩や努力は計り知れません。
本記事では、30歳からの5年間に渡る、私の不妊治療の経験を紹介します。
30代に入ってからの不妊治療の道のりは、思っていた以上に長く、そして複雑でした。この連載では、5年間にわたる私の不妊治療の経験を振り返り、それがどのように私たち夫婦の人生を形作ったのかをお伝えします。
同じ悩みを抱える方々が少しでもヒントを得られることを願っています。
今回は不妊治療を始めるに至った経緯をまとめました。
普通の人生でいいのに…まさか私が不妊治療!?
私が結婚したのは25歳の時。
結婚適齢期と言われる年齢の真っ只中で結婚できた。
「できるだけ早く授かりたい」
「結婚したら子供は自然にできるもの」と信じて疑っていなかった私は、結婚後は1年間は正社員ではなくアルバイトをして生活をしていた。
「子供ができれば専業主婦になる」というのも、紛れもなく自分がそうなれると思っていた。
アルバイト生活は、良くも悪くも私には刺激が足りない。
もうちょっとお金も欲しい。
そう思い、契約社員として働き始める。
それも子供ができればいつでも専業主婦になるつもりで。
この時、子育て向け都市開発が行われている真っ最中のマンションを購入。
ほんの少し不便な場所にあったが、私はもともと田舎出身なので、気にならなかった(私の出身地よりもちろん都会だったから笑)し、子供の近くにはたくさんの同級生や、同世代の友達がいる環境に憧れがあった。
ママ友みたいなものにも、小心者ながら興味があったので、その物件にした。
腰掛けで始めた契約社員も、続けていれば楽しくて、図らずとも正社員になることに。仕事内容も変わらず、生活のリズムはできていたし、仕事の環境はこの上なく良い。このまま子供ができても続けていけそうだななんて思っていた。
しかし、現実は子供ができないまま、時間がすぎていく。
「結婚したら子供は自然にできるもの」と信じて疑わなかった私も、現実を疑い始める。
徐々に、確実に不妊治療が近づいてくる
当時、子育て向けマンションに住んでいたので、いやでも子供の姿が目に入るし、同じような考え方の人が多く住んでいるので、お腹が大きな人も尋常じゃないくらい見かけた。
周囲には幸せそうな家庭がたくさん。
その度に、「なんで私には子供がいないんだろう?」
そんな環境の中で感じる孤独感は、私をますます不安にさせた。
ーこのままで、いいのだろうか?
自分も夫も健康だし、何も問題はないはずなのに、子供ができない。
漠然とした不安を抱えながらも、30歳を迎えた。
夫は私より6歳年上。
「今、子供が生まれても、20歳のときにはまだ56歳か…。まだ大丈夫」と自分の中では焦っていないふりをしていた。
病院に行ってはいないし、血の滲むような努力をしていたというわけでもなく、「コウノドリさんいつ来るんだろう?」というぐらい呑気な気持ちだった。
この時、たまたま大学の時の同級生に会うことがあった。
子供のいる友人Aの元に、私と友人Bが訪問して、思い出話をして楽しんだ。
友人Bは28歳で結婚、子供はまだいない。そんな彼女は、「この状況にどう感じているんだろう?」と、気になった。
そういう私は「子供が絶対欲しい」と、すごく悩んでいるわけじゃないし、「みんなどうするんだろう?」という軽い気持ちだった。
ようこそ不妊治療の入り口へ
「不妊治療始めたよ」
「え?そうなの?」
私の中で一つの方向性が決まった時だった。
もう具体的な行動を起こさない理由がなくなったのだ。
そうなると私は行動が早い。
仕事場から行きやすい不妊治療専門クリニックを検索した。
いくつか比較した方がいいのかも?とは思ったが、どこをどう比較するべきなのか?も分からなかったので、場所だけで選んだ。
我が家の予約担当は夫。
夫に「ここにいくぞ」と予約をさせて、準備するものも全て夫がクリニックに確認をした。
クリニックの方針(どこのクリニックもそうなのかな?)で、夫婦揃って初診でブライダルチェックのような検査を受けた。
その時印象に残ったのが、2人ともA型だということ。
「こんなことも改めて検査するんだ〜」と呑気に思ったことを今も覚えている。
検査の結果は2人とも問題なし。
「不妊治療って出口が見えないトンネルってよく言うけど、私に限ってないでしょ〜」とその時、心の中で巨大フラグを立てた私に、この時、誰も気がついていない。
この記事を通じて、多くの方が共感し、少しでも気持ちが楽になればと思います。
次回は、実際の治療プロセスと、その中で学んだことについて詳しくお話しします。
同じ道を歩んでいる皆さんは、どのように感じ、どんな行動を起こしていますか?