36歳フリーランス女子が産後ケアホテルに泊まってみた
産後ケアホテルとは
「産後ケアホテル」をご存知でしょうか?
私は、出産するまで知りませんでした。
「産後床上げ3週間」と言われるように
出産後はできる限り、赤ちゃんのお世話をする以外は
横になって休むことが大事です。
日本では、産後4~5日入院して退院したら
すぐ家で育児が始まるわけで
いくら夫が育休をとったり
実家に里帰りしたり
自分たちの親などに来てもらっても
真夜中のお世話は
自分たちでやり抜かねばならない。
これでは、正直ママは全然休まりません。
当然、パパだって急に寝れない生活になる。
身体はボロボロなのに、超ストレスフルの生活。
正直、想像以上でした。
お隣の中国・台湾・韓国では
「産後ケアホテル」に3週間ほど宿泊して
赤ちゃんのお世話はプロの手を借りつつ
しっかり母体を休めることに
専念することが一般的だそうです
5月に息子を出産し
心身ともに疲弊がたまっていた私は
夫からの「産後ケアホテル、泊まってみたら?」という一言から
清水の舞台を飛び降りるつもりで(主に費用面で)
泊まってみることにしました。
我が家の状況
まず、我が家の状況から
この状況を話すと
「旦那さん育休取ってるの!」
って言ってもらえます。
旦那さんが育休を取れるような文化じゃない会社だったりよりは
だいぶ恵まれていると思います。
もともと、私は家事が苦手で嫌いなので
息子が生まれる前から夫が7割くらいやっていまして
産後は夫が家事10割になりました。
なので、産後2ヶ月たち、夫も終わりのない家事に疲れ果てていました。
真夜中育児は自分たちでやるしかない
出産前は、こちらの事例を参考に
夫とシフト制にしようと決めていたのですが
真っ暗な部屋の中
真夜中に息子がギャン泣きする状態で
1人で対応することは
想像以上に精神崩壊しそう(実際崩壊した)で
結局夫も私も、24時間一緒に育児をしました
したがって、夫婦ともに夜中2時間程度の細切れ睡眠が約2ヶ月続きました。
また、私の実家が電車で1時間くらいの距離にあるので
私の母にも家事を手伝ってもらったのですが
という2つの課題があり、私もそれなりに疲れてしまうことから
母に来てもらうのも週1回程度、母が来る日は夫は外にでかけてもらうことにしました。
自治体の産後ケア事業を使ってみたけれど
この産後ケアホテルに泊まる前にも
夫婦の精神的疲弊と睡眠不足により
自治体の産後ケア事業をつかって
私と息子だけ、近所の助産院に1泊したこともあります。
自治体の事業で宿泊型が選択できたのは、自宅近くの助産院のみでした。
ただ、その助産院がたまたま
母乳育児マンセーで夜中の授乳から逃れられず
(伝えれば夜中も見てもらえたかもしれないけど、言える雰囲気ではなく)
むしろ疲弊したという結果から
24時間気兼ねなく息子を預けられる
民間ホテルでやり直すことになったのであります。
(このとき、久しぶりに息子と家事から開放された夫は、だいぶリフレッシュしたようですが)
マームガーデン葉山に泊まってみた
今回宿泊したのは、マームガーデン葉山です。
2021年12月にオープンしたばかりだそうです。
産後すぐ来て3週間くらい泊まるのがベーシックな使い方だそうですが、私はもう産後2ヶ月でお世話にはそれなりに慣れたことと、「とにかく夜寝たい」という願望を実現すべく、3泊しました。
ほぼ手ぶらでOK
一般的なホテルにあるアメニティはすべて揃っています。
嬉しいのは、赤ちゃんの滞在中の服・ミルク・哺乳瓶・おむつ・母乳パッドその他もろもろ、赤ちゃんのお世話に必要なものはすべて揃っていること。
搾乳機も、私は自分のを持っていきましたが、必要なら貸してもらえるそうです。
館内で過ごす服もこのように1階ラウンジに備え付けられているので、授乳で汚れてもすぐ着替えることができます。
したがって、荷物は自分の下着と、最低限のメイク用品、いつもと同じのを使いたいのであれば基礎化粧品を持っていけばOK。
ちなみに、部屋にこちらのブランドのボディミルクと顔用のオールインワンゲルが備え付けられていたんですが、使い心地がよかったので、帰宅後も使っています。
24時間赤ちゃんを預けられるベビールーム
ベビールームには、助産師さんなど専門的な資格をもった方が常駐しており、24時間赤ちゃんを預けることができます。
赤ちゃんを預けるだけでなく、助産師さんには授乳や沐浴も教えてもらえます。
入院中の病院だと沐浴指導なんて1回で終わり、授乳指導はまだ乳が出るか出ないかの段階であんなにスパルタにされてもね…悲しくなるだけですよ…
ここなら落ち着いて、自信がつくまで何度も練習できそうです。
ちなみに、このベビールームには助産師さんのほか、保育士さんも夜中のシフトに入っているそうで、「寝かしつけなら任せて!ママはゆっくり休んでね!」と超頼もしい方々ばかりでした。
私も23時ごろから6時ごろまで息子を預けて、久しぶりに夜通し寝ることができました。精神的回復は予想以上でした。
やっぱり人間、寝ないと自律神経がおかしくなります。これ、絶対。
夜通しで寝るときのおっぱい問題
夜通しで寝るとすると、おっぱいのハリがどれくらいになるかが不安だったのですが
というかんじでやってもらいまして、まあ胸のハリ具合は人によると思いますが、私は1回おっぱいをスキップするくらいなら、大丈夫でした。
預けたあとの赤ちゃんをどうするかも
・こちらから迎えにいく
・赤ちゃんが起きたら部屋の内線に呼んでもらう
など、対応をその度に話し合うことができました。
スタッフさんからも「こうもできますよ」など提案もありまして、「しっかり休むこと」という第一目的に向けた赤ちゃんとのうまい付き合いができました。
預けている間はおむつも汚れるごとに替えてくれるので、あの永遠に続くオムツ替えマラソンから開放されたことも、地味に精神的安定に繋がりました。
wifi完備で仕事もばっちりできるよ
滞在してみて予想以上によかったのが、仕事もばっちりできること。
滞在中急遽web会議の仕事がはいったのですが、全館wifi完備でスピードも問題なし。
写真のカフェラウンジでもweb会議している人(パパと思われる人)が複数人いました。
会話を聞かれるのがあまりよろしくないのであれば、地下に2部屋あるカラオケルームをweb会議部屋として利用することもできます。
ちなみにカラオケルームですので、マスクを外して会話OKです(他の場所ではマスク有りでweb会議OK、という条件)
これまで「いつ起きるかわからないムスコの泣き声」に怯えながら産後仕事をしていたし、おいしい飲み物もあるしで、仕事が超捗りました。
今後の自分の事業計画を立てはじめたり、有効に3日間を使うことができました。
(え?産後2ヶ月で仕事してるんですか、ですって?好きなんだからいいじゃん!フリーランスは働かないと収入がないだけなんだぜ!といっても今月も売上は立たないけどさ!)
もちろん3食ついてます
もちろん3食ついてます。魚や肉など栄養バランスが取れた食事です。
3食のほか、おやつと夜食もあります。夜食は小さいおにぎりとか、ご飯ハンバーガーなど。
授乳してるとめちゃめちゃお腹すきますからね…
おやつのクッキーやフィナンシェがおいしかったです。
夜にはオートミールが自由に取れるようになっていたのですが、これが地味においしかったですね。オートミールをホットミルクか出汁(!)でいただくんですが、出汁がおいしい!家でもやってみたくなりました。
オートミールはタンパク質など栄養豊富だそうです。
海が見える
海の高台に面した施設なので、海が見えます。
部屋から海が見えるかどうかは部屋のプランによりますが、私はせっかくなので海が見える部屋にしました。
海が見えない部屋でも、1階のラウンジやレストランから十分見れるので、どちらでもよいかと。
この海が本当にきれいで。。。
産後すさんだ気持ちがきれいに流されたような気がします。
帰る前日の夕ご飯前
海に面したベランダで、一人で本を読んでいました。
それもそれで超久しぶりで、とてもすてきな時間でしたが…
何かが物足りない…
あ、そうだ、ムスコがいないからだ。
これからは、一人で素晴らしい景色を見ても、感動しないんだ。
そう気がついた私は
急いで夕ご飯を食べ
ベビールームに預けていた息子をピックアップし
海に面したベランダに出て、息子と一緒に(ほぼ終わりかけた)夕焼けを見ました。
息子は何がなんだかわからないと思いますが
一人で見た夕焼けよりも、何倍も素敵な夕焼けでした。
これからは、一人ですてきな景色を見ても感動しない
家族でみるからすてきな景色と思い出になるんだ
と気がついたことは
このマームガーデン葉山で落ち着いた時間を過ごしたからだと思います。
ここに来なかったら、休みがない育児に疲れ果て、こんなことを思う精神的余裕はだいぶ先までなかったでしょう。
これまでは、自分が好きなことをすることに時間を使っていました。
これからは、家族が楽しい時間を過ごすことが、私の中で一番大事なんだ。
息子生誕後、「親」という立場に急になったものの、それまで生きてきた「自分中心の生活」から離れられず、モヤモヤしていた気持ちが、ここですっきりしたのだと思います。
ちょっと、「親」に近づいたのかな。
赤ちゃんの思い出も残せる
地下には自由に使えるフォトスペースがあり、撮影用ライトやふわふわなど小物が揃っています。
私も息子を撮影しましたが…ギャン泣きで泣き顔しか残せず。やっぱりスタジオア●スなどのプロはすごいなあ…(遠い目)
産後ケアホテルが当たり前の選択肢になるように
3泊は思った以上にあっという間で、充実した時間を過ごすことができました。
冒頭にも書いたとおり、出産して退院したら、即休みがない育児が始まります。
パパの育休取得が増えてきたり、実家の両親を頼ったりなど方法はいろいろありますが、こういったことができない人もたくさんいます。
実家の両親だって、いくら自分の両親だからといっても、どこまで頼っていいのかわからないとか、いろいろあります。
さらに、追い打ちをかけるようにコロナ禍で、同じような境遇であるママパパと会う・話す機会もまったくない。産前に学ぶ唯一の機会である母親学級もない。
この産後ケアホテルでは、専門的知識をもったスタッフから、しっかり産後の子育てを教えてもらうことができます。
掃除洗濯などの家事をする必要も一切ありません。
しかも、赤ちゃんのお世話だって罪悪感なくお願いすることができる。自分を休めることに専念できる環境が、これでもかと整っていました。
3食ついて、専門的スタッフも24時間常駐してという環境ですから、1泊の宿泊料金は、一般的なホテルと比較してはいけないですが、高いです。
私も最初この施設のことを知ったときは「自分が休むためだけにこんな金額を払っていいのだろうか」と悩みました。
しかし、冒頭紹介した記事にもあるように、結婚式と同じように「産後は産後ケアホテルでゆっくり休むこと」が当たり前になれば、その費用は当たり前のように準備しておくのだと思います。
そもそも出産にだって50万くらいかかってますが、それが一般的だと思っていれば、その費用をなんとか準備するわけです(保険で42万でますけど)。
退院してすぐの育児はわからないことだらけ。
しかも寝れない。
聞ける人も、コロナでいない。そもそも誰に聞けばいいのかわからない。
そうやって産後ママ・パパの精神は追い詰められていきます。
この産後ケアホテルであれば
マームガーデン葉山の「ゆっくりママになれる場所」という言葉どおり
しっかり身体と精神を休め、専門スタッフさんに聞きながら、育児も自信をもって練習してから、家に帰ることができる。
そんな場所が、産後ケアホテルなのではないでしょうか。
産後ケアホテルがもっと増えて、産婦人科の病院が「退院後はこちらにどうぞ」くらいな勢いで紹介するように、一般的になることを願います。
<2022.7.27 追記>
マームガーデン葉山さんには公式noteがあります。
詳しくはそちらをぜひ。
(マームガーデン葉山さんへ
勝手に体験記書きました。もし不都合な部分があればお知らせください)