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アカウンタビリティ・パートナーとは?行動変容に特化した伴走型コーチング・マネジメントの手法を紹介


これまで自己実現や自己成長、問題解決や習慣改善など、人々の夢や目標を達成するために数多くのマネジメントやカウンセリング、コーチングや教育のメソッドが生み出されてきました。

この日本でも自己啓発や行動変容に関する情報は溢れていますが、世界にはまだ日本に浸透していないコーチング・マネジメントの手法が存在します。その一つが「アカウンタビリティ・パートナー(伴走型支援者)」です。

アカウンタビリティ・パートナーはあなたの挑戦を応援し、どんな挑戦でも否定せず、支えが必要な時にはそばにいて、正直なフィードバックをくれる存在です。

想像してみてください。人生において、あなたを深く理解し、あらゆる状況で支えてくれる人がいるとしたら、自分の人生はどう変わると思いますか?このような人がいれば、人生はもっと豊かで、目標達成への道のりもよりスムーズになるでしょう。

そこで今回は、アカウンタビリティ・パートナーの概要や手法についてご紹介していきます。


「アカウンタビリティ・パートナー」とは目標達成に向けて伴走してくれる人のこと

まずは、「アカウンタビリティ・パートナー」がどのような役割を持っているかを紹介していきます。

「アカウンタビリティ・パートナー」とは?

アカウンタビリティを日本語に直訳すると「説明責任・報告義務」という意味です。似たような意味の言葉として「コミットメント(宣言する・責任を持つ)」が存在しますが、概念としては同じもので、アカウンタビリティ・パートナーは「あなたの目標達成をサポートしてくれるパートナー」といえるでしょう。

アカウンタビリティ・パートナーの概念を日本語で最も端的に表している言葉が「伴走(一緒に走る)」なので、日本アカウンタビリティ・パートナー協会では「アカウンタビリティ・パートナー」のことを「伴走者(伴走型支援)」とも呼んでいます。

アカウンタビリティ・パートナーは2000年頃にアメリカで広まった目標達成やマネジメントのメソッドで、当初は医療や福祉分野で活用されていた対人支援のメソッドがスポーツやビジネス、教育分野でも有効性が認められ、現在では様々な分野で活用されるようになりました。

日本では「ライザップ」というダイエットを支援するサービスがヒットしていますが、ライザップの提供している伴走型のサポートはアカウンタビリティ・パートナーの手法と非常によく似ています。

この目標達成に向けた最適なスキームがアカウンタビリティ・パートナーの正体です。

アカウンタビリティ・パートナーの特徴

アカウンタビリティ・パートナーの特徴は、あなたの目標達成にフォーカスし、目標設定や日々の活動の振り返り、振り返りや励ましを伴走型で支援することです。望まない目標設定はせず、あなたが「やりたい」と思う目標達成に向けた最適なアプローチをサポートします。これが、アカウンタビリティ・パートナーの役割です。


かつて、このような関係はビジネス領域に限定されていると思われがちでしたが、実は一人一人にとっても同じように価値があることが明らかになってきました。アカウンタビリティ・パートナーの概念が浸透しているアメリカでは、ビジネスはもとより、アスリートのトレーニングや健康づくり、趣味や子育て・教育、医療・福祉分野など、社会のあらゆる場面で活用されています。アメリカでは経営者の70%・学校の校長の50%がコーチングを取り入れていることからも、アカウンタビリティ・パートナーの有効性が分かります。

また、アカウンタビリティ・パートナーは自分の人生のあらゆる部分で応用可能です。例えば、「貯金を増やす」「スキルや教養を身につける」「生活習慣を変える」「子どもたちに良い習慣を身につけさせる」「親の健康寿命を伸ばす」など、様々な場面でアカウンタビリティ・パートナーの手法を用いることができます。

アカウンタビリティ・パートナーのやり方

アカウンタビリティ・パートナーのやり方は極めてシンプルです。
ここまで読んで「アカウンタビリティ・パートナーに取り組んでみたい」と思ったのであれば、以下のプロセスに沿って、ぜひ一度実践してみましょう。

<1>達成するべき目標を決める
まずは達成すべき目標を設定しましょう。早起き、運動、食事、生活習慣など、身近で手軽なテーマ設定が良いでしょう。ここでは「毎日10分のストレッチを1ヶ月間継続する」という目標を例にしていきます。

<2>パートナー(伴走者)を決めて依頼する
達成すべき目標が決まったら、アカウンタビリティ・パートナーとなる人に支援を依頼します。家族でも友人でも、職場の人でも、誰でも良いです。パートナー(伴走者)に立てた目標を共有します。

<3>目標に挑戦する
パートナーに目標を共有したら、いよいよ挑戦のスタートです。ここでは毎日10分間のストレッチを行い、終わったタイミングでパートナーに完了報告します。あなたがパートナーとして誰かの挑戦を応援するのであれば、挑戦したことへの敬意と称賛の気持ち、目標を達成した場合にはさらなる称賛を、失敗した場合には励ましと再挑戦への意思を高めるようなサポートを行います。

<4>定期的に振り返る
おおよそ1週間に1度ほどを目安に、あなたの挑戦の進捗についてパートナーと振り返りを行います。目標に挑戦する上で何か問題を抱えていないかを相談してもよいですし、「もっと目標を高くしたい」と目標を再設定するのもよいでしょう。大切なのは、定期的に挑戦を振り返り、自分の挑戦が着実に前に進んでいることを実感することです。

<5>目標の達成とネクストアクション
定期的にパートナーとの振り返りを行い、挑戦の期限を迎えたら、その時点で一旦ゴールとします。ゴールでも振り返りを行い、この挑戦を終了するのか、目標や内容を変えて挑戦するのかを話し合い、次の行動を決定します。
この「目標設定」「目標の共有」「目標への挑戦」「定期的な振り返り」「ゴール」の一連のプロセスを繰り返していくのがアカウンタビリティ・パートナーのやり方です。

達成すべき目標は、自分で決める

アカウンタビリティ・パートナーの特徴の一つに、「自分自身で立てた目標への挑戦」が挙げられます。仕事の上では会社から目標を与えられ、プライベートでも、場合によっては「もっと早起きしなさい」「体重を落としなさい」と他人から目標設定をされる場合があります。

ですが、アカウンタビリティ・パートナーはあなたに目標設定を強要しません。あなたの「この目標を達成したい」「今の自分から変わりたい」という気持ちと意思に寄り添い、あなたが決めた目標を達成できるようにサポートしてくれる存在です。

アカウンタビリティ・パートナーがいると、確かに目標達成の確率は高まります。ですが、あくまで主体は自分自身です。自らが「変わりたい」「挑戦したい」と目標を立てることが最も重要です。

アカウンタビリティ・パートナーと上司や家族、友人の違い

アカウンタビリティ・パートナーは夢や目標に共感し、必要な時には新鮮な視点を提供してくれる存在ですが、中には「わざわざ専門家に頼まなくても、会社の上司や家族、友人が目標達成をサポートしてくれる」という人もいるでしょう。

アカウンタビリティ・パートナーの資質がある人が身近に存在することは、この上ない幸運です。身近な人が自己実現や目標達成に向けて伴走してくれることほど心強いことはありません。

しかし、そんな人が常に身近にいるとは限りません。また、上司や家族、友人がマネジメント能力を持っている人ばかりではありません。そこで、アカウンタビリティ・パートナーと上司や家族、友人はどう違うのかを紹介していきましょう。

アカウンタビリティ・パートナーと上司の違い

上司は会社から部下のマネジメントを任され、部下の目標が達成できるように働きかける存在です。ですから、あなたにも達成すべき目標を与え、その目標が達成できるようにサポートしてくれます。上司はマネジメントの専門家ですから、アカウンタビリティ・パートナーの概念を知らずとも、あなたを目標達成まで導いてくれるでしょう。

ですが、達成すべき目標はあくまで会社から与えられた目標であり、あなたが「達成したい」と考えている目標が会社の利益と直結しない場合には、そのマネジメント能力をあなたの為には発揮してくれない場合があります。

アカウンタビリティ・パートナーと家族や友人との違い

信頼できる家族や友人は、知識を習得すればあなたの「アカウンタビリティ・パートナー」になる素質があります。実際に、アメリカやイギリスの研究者の論文では、夫婦がお互いのアカウンタビリティ・パートナーになった場合とそうでない場合で運動を継続する人の割合を調査したところ、明らかにパートナーがアカウンタビリティ・パートナーの役割を果たした夫婦の方が継続率が高いという実験結果が出ています。

ですが冒頭に紹介した通り、ゴールに向けた目標設定や働きかけ、継続的な関わりや励ましが可能かどうかは個人差があり、目標達成に向けて伴走してくれるかどうかもその人次第です。仮にあなたが「達成したい!」と思った目標があっても、パートナーがその目標達成に興味がない場合、適切なサポートは受けられません。

アカウンタビリティ・パートナーとコーチング、カウンセリング、ティーチングの違い

アカウンタビリティ・パートナーが目標達成に有効な存在であることはこれまで紹介してきましたが、「必ずしもアカウンタビリティ・パートナーである必要はないのでは?コーチングやカウンセリングと何が違うの?」という疑問を抱くこともあるでしょう。そこで、アカウンタビリティ・パートナーと他の対人支援との違いを紹介していきます。

アカウンタビリティ・パートナーとコーチングの違い

コーチングはアカウンタビリティ・パートナーと最も親和性が高い対人支援です。相手の潜在能力に働きかけ、最大限に力を発揮させることを目指す育成方法です。相手を望ましい方向へ導くという点で共通していますが、コーチングは数ヶ月かけて自分の思考や行動の変化を促しますが、効果測定が曖昧なケースがあることや、日本ではコーチングと自己啓発が混在しており、画一的なスキームが存在せず、コーチングの成果はコーチとの相性によって変わるなど属人性の高さが課題となっています。

一方のアカウンタビリティ・パートナーは、目標設定の時点ではコーチングの要素が求められますが、設定された目標を達成することに主眼が置かれているため、後から振り返った時に、「どれだけの変化があったか」が定量化されて、変化と効果を体感だけでなく可視化できる点が異なります。

アカウンタビリティ・パートナーとカウンセリングの違い

日本でも少しずつ浸透してきたカウンセリングですが、カウンセリングの役割は、自分の過去と向き合い、今の自分を苦しめている内面的な問題をカウンセラーとの対話によって少しずつ癒していく手法です。ですから、カウンセリングでは「過去の自分と向き合う」ことが重視されるため、「これからどうしたいか」ではなく「過去のあの時、本当はどうしたかった」という質問を中心に対話が進んでいきます。

相手の意思を尊重するという点では共通していますが、カウンセリングとアカウンタビリティ・パートナーは全く異なる性質の対人支援といえるでしょう。

アカウンタビリティ・パートナーとティーチングの違い

日本で最もポピュラーな対人支援がティーチングです。学校の授業、講師による座学の研修など、ティーチングがどのように行われているかは容易に想像できるでしょう。ティーチングは専門家が知識を相手に提供することを目的にしています。ですから、必要な知識やノウハウは提供できても、目標に到達するまでの継続的なサポートや振り返り、励ましは提供できません。

効果的な学習には適切なインプットとアウトプットが欠かせませんが、ティーチングはインプット、アカウンタビリティ・パートナーはアウトプットというそれぞれの特徴があるため、場面に応じて適切に使い分けていくことが重要です。

アカウンタビリティ・パートナーを持つことのメリット

アカウンタビリティ・パートナーを持つことは、あなたの人生にどのような影響があるのでしょうか。ここでは、アカウンタビリティ・パートナーを持つことのメリットについて紹介していきましょう。

あなたの挑戦も、失敗も受け入れて支えてくれる

アカウンタビリティ・パートナーはあなたの目標達成や自己成長、自己実現をサポートしてくれる存在です。ですから、どんな挑戦に対しても真摯にサポートしてくれます。

アカウンタビリティ(説明責任)において、まず自分で目標を立てることが最重要ですが、自分が立てようとしている目標の難易度は自分が一番よく知っています。例えば、「腕立て伏せ10回」という目標が高いか低いかは人によって異なりますが、大切なのは「人がどう見るか」ではなく「自分がどう考えるか」です。

アカウンタビリティ・パートナーは自分の立てた目標達成をサポートする存在ですから、あなたのどんな挑戦でも、その目標を達成するためにサポートしてくれます。

また、挑戦をして失敗したとしても、そのことを責めることはありません。同じ目標でリトライするか、目標を下げて挑戦するかはあなたが主体で決めていきます。(もちろん、相談には乗ってくれます)

挑戦を誰かにコミット(宣言)することは、「失敗したら怒られるのではないか?」「批判されたくない」「失望させたらどうしよう…」と躊躇するかもしれませんが、アカウンタビリティ・パートナーはあなたの挑戦を信じて応援してくれる存在ですので、安心してコミットでき、挑戦を後押ししてくれます。

アカウンタビリティ・パートナーは「伴走者」ですから、自分だけが頑張るのではなく、お互いにペースを合わせながら一緒に走ってくれる存在です。

自分の挑戦も失敗も、全てを受け止めてくれる存在と共に目標に挑戦することは、モチベーションの向上だけでなく心理的安全性の確保にもつながります。そんな存在がいることがアカウンタビリティ・パートナーを持つことのメリットです。

自信がつき、自己肯定感が高まる

人は、どんな目標でも達成すると「できた!」という達成感を持ちます。もちろん、その目標が高ければ高いほど大きな達成感を得ることができますが、大きな目標を達成する為には、日々の小さな目標達成の積み重ねが必要です。

人間のモチベーションは「時間的動機付け理論の方程式」という計算式で定義されており、

『期待(達成時のイメージ)×価値(達成時の報酬)÷衝動性(他事をしたくなる衝動)×遅れ(面倒だと感じる心)+1』

という公式が存在します。

「時間的動機づけ理論の方程式」については改めて解説しますが、モチベーションを高める為には「期待」を伸ばし、「衝動性」と「遅れ」をセルフコントロールできるようになる必要があります。

アカウンタビリティ・パートナーと共に日々の目標を達成するとセルフコントロール能力が高まり、「目標を達成できる自分」に対して自信を持てるようになり、自己肯定感が向上していきます。

ですから具体的な達成目標がない人でも、自己肯定感を高め、自分自身をもっと好きになるためにもアカウンタビリティ・パートナーと共に何かにチャレンジしてみることをおすすめします。

自分が変化し、自信をつける。そして自分をもっと好きになれる。アカウンタビリティ・パートナーを持つとそのような変化が実感できるのもメリットです。

目標達成能力が高くなり、自己実現や夢・目的を叶えられる

アカウンタビリティ・パートナーと共に目標に挑戦し、達成する経験を積み重ねていくと、いつしかそれが習慣化され、一人でも目標達成できるようになります。アカウンタビリティ・パートナーの究極の目的は一人で目標達成できる思考と習慣を身につけることです。

例えば、運動習慣を身につけるためのアカウンタビリティ・パートナーをつけていた人が、目標設定の方法と達成までのプロセスを身につけることで、仕事や子育てなど他の部分で応用できるようになります。

アカウンタビリティ・パートナーのスキルを身につけると、自分の目標達成だけでなく、家族や友人、職場の部下や後輩の目標達成をサポートできるようになります。

このように、アカウンタビリティ・パートナーについて知り、目標達成能力を高めることは、自分の人生だけでなく、周囲の大切な人たちの夢や目標達成をサポートできるようになるでしょう。

アカウンタビリティ・パートナーについての情報を発信しています

日本アカウンタビリティ・パートナー協会では、アカウンタビリティ・パートナーに関する情報発信や目標達成のメソッドなどの情報を発信しています。今後、noteでの発信も積極的に行っていきますので、目標達成や自己実現、行動変容などに興味のある方はぜひフォローをお願いします。


筆者:太田圭祐 日本アカウンタビリティ・パートナー協会 代表
略歴:求人広告会社で営業職と人材紹介業・講師業を経験し、故郷にUターンして地方議員を2期8年間経験。その一方でハラスメント対策やカウンセリング、訪問看護、コンサルティングなどの分野で法人を立ち上げる。行動変容に最適なメソッドを世界中の研究から探していたところアカウンタビリティ・パートナーと出会い、日本での普及を決意して2024年2月に「日本アカウンタビリティ・パートナー協会」を設立。
保有資格:国家資格キャリアコンサルタント・産業カウンセラー


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