
鼻中隔矯正術&下鼻甲介切除術の体験記(4泊5日入院)
長年私を悩ませ続ける鼻づまり。
私の鼻は鼻中隔ってのが右にグンッと曲がっており、左に比べて右の鼻の穴の呼吸量が貧弱です。とにかく鼻で息をするのが辛い。
日常生活では頻繁に口呼吸を繰り返しております。
10代20代の頃は鼻づまりはそんなに気にならなかったのですが、40過ぎた辺りからかなりストレスになって手術治療を考えるようになりました。
というのも、今思うと症状は年々悪化していたように感じます。
放置すると副鼻腔炎などの別の病気にまで繋がる恐れもあるようです。
この曲がった鼻中隔を真っ直ぐにする鼻中隔矯正術と、アレルギー性鼻炎による鼻詰まりを軽減する下鼻甲介切除術。この2つの術式を同時に召し上がってまいりました。
大抵の場合、この2つの手術は同時に実施されるようでございます。
様々な方が書かれたありがたい体験記を拝見するに、容易では無い手術であることがわかります。日帰り手術も可能みたいですが、術後が結構辛いとの記事が多かったので私は全身麻酔による入院手術を選びました。
病院は何度か一緒に飲みに行ったことのあるI先生のいる病院へ。
局所麻酔ではなく全身麻酔を体験したいという野望も多少ありました。
入院期間は4泊5日を予定。手術前日から入院して、術後3日目で退院の作戦でした。
(まあまあ長いけど、個室でも入ってのんびりするか)
そう思っていたら、「個室は感染対策のためご用意できません」というショッキングな事を聞かされ、気分が相当に沈んでしまう羽目に。
はっきり言って大部屋の入院は嫌なの。気を使うし騒がしいし、ゲーム無いし、お買い物とか行けないし( ; ; )暇だし。
そうは言っても入院日はやって来ました。
13時30分から入院手続きを済ませ、病棟へと案内されました。ここでラッキーな出来事が。6人部屋なのに入院者は私1人、大部屋という名の個室でした。
(隣の6人部屋は満室なのになぜ?ま、いいか)
18時の夕食以降は食べ物禁止。0時以降は飲水も禁止です。
夕食のハンバーグが美味い!
それにしても暇で暇で。
全然眠く無いし、22時に電気消されて皆寝ちゃうし。
夜に看護師さんが熱とか血圧とか測ってくれて、眠る前から点滴が開始されました。
病院によっては手術当日から入院するケースもあります。私の場合は手術が朝の9時からなので前日からの入院でした。
手術に対しての緊張からか、あまり眠れないままに手術日を迎えました。
朝9時前に手術着に着替えて手術室へと案内されます。
めちゃくちゃドキドキ。
テレビとかでよく見る手術の風景そのものですが、いざ自分が患者になると、まあ〜怖い。マジで怖い。
手術台のベッドに仰向けに寝ると、ベッドが結構フカフカで暖かくて気持ちよかったです。
仰向けになるや否や麻酔医が「今から麻酔を入れますね、ちょっとヒリヒリするかもしれません」と。
さっそくかよと思いましたが、さらに麻酔医に「もう1分もしないうちに寝てしまいますからね〜」と言われたのを最後に、気がつくと病室に帰ってきておりました。
(なんというタイムリープだ!)
厳密に言うと、手術室からストレッチャーで病室まで運ばれて、病室のベッドに戻す時に、何人かで「せーのっ!」の掛け声で私の体を持ち上げたみたいで、その時に初めて目覚めました。
目覚めたといってもまだ視界はありません。意識があるだけです。
耳元で執刀医の先生に「手術無事に終わりましたからね〜っ」て言われたのが聞こえました。
うんうんと、首を縦に振って返事したはずです。
無事終わって良かった良かったと安心したのも束の間、予想はしておりましたが、ここから地獄のショータイムが開催されるのです。
術後はまず、全身麻酔の影響からか頭がボーっとしております。
鼻に感じる圧迫感と熱量。
止血のため、両鼻に綿が詰め込まれており、100%完全に塞がれているので口呼吸オンリーです。
特に痛みはありませんでしたし、呼吸苦も特に感じませんでした。
鼻から喉に落ちてくる血がかなり鬱陶しいです。
血は飲み込まず、ティッシュ等に吐いて捨てる必要があります。
血を飲み込み過ぎると嘔吐してしまうのだとか。
が、いかんせんまだ麻酔後で五体満足に動けない上に、吐いても吐いてもキリが無いためいくらか飲み込んでしまってました。
そして突然襲ってくる吐き気。
やばい!吐きそうっ!と思ってナースコールを押そうと思ったけどナースコールが見当たらない。
(あれ?昨日はあったはずなのに。なぜ?)
ギリギリ吐くのを堪えて、壁にあるナースコールボタンっぽいのを連打。
どこからかスピーカーで「どうしました?」という声が聞こえたので「吐きそうです」と伝える。
看護師さんが袋を持ってきてくれたのでそこへ間一髪盛大に吐きました。大量の血です。血液検査で十分使えそうな量でした。
1回吐いたらめちゃくちゃスッキリしました。
肝心のナースコールはベッド下に転がっておりました。
(お前は押せる所に待機しといてくれよ)
しばらく眠り続けていたと思います。
周りが結構騒がしく、気がつくと1人部屋から一気に5人部屋へと進化しておりました。
15時ぐらいでしょうか。
意識がはっきりしてくると微熱と頭痛、鼻の痛みを感じはじめました。
徐々に自分の状況がわかってきます。
再び襲ってくる吐き気に苦しまされること数時間。
実際に何度も嘔吐を繰り返しました。
18時に夕食が運ばれてきましたが、とても食べれたもんじゃありません。
痛み止めの点滴が吐き気を誘発すると聞いていたので、鼻の痛みをあまり感じなくなったタイミングで痛み止めの点滴を止めてもらいました。
しばらくして看護師さん付き添いの元、自力で立ち上がりトイレへ行きました。
意識が鮮明になってくると、口呼吸の苦しさを認識しだします。
(苦しい。鼻から呼吸したいっ!)
そう思っても無理です。この両方の鼻にびっしり入れられた詰め物は明後日の朝に抜去する予定でした。
(明後日だと!今でも苦しいのにそんなに我慢できる子じゃないぜ俺は)
だんだん恐怖が心を支配していき、呼吸苦を考えれば考えるほどドツボに嵌っていきます。
この状態ですでに何時間も経っているので本当は大丈夫なんでしょうが、苦しさの一念がそれを許容してくれません。
呼吸の事を忘れている限りは大丈夫です。
ただ一旦呼吸を意識しだすと不安な気持ちが広がりパニックに陥ります。
ここでいくつかパニックを抑えた方法をご紹介します。あくまで私ベースですのでご参考までに。
・小声でも良いので歌う。口笛でもいいかも知れません。体が勝手に腹式呼吸となり口呼吸が楽になります。
・飴を舐める。味覚が意識を独占しようと頑張ってくれます。
・楽器を弾ける方はエアーでも良いので弾いてみる。演奏は一瞬一瞬との戦いなので、呼吸の事など忘れてしまいます。
あと、マンガやゲーム等の娯楽で気を逸らすという方法もあるようですが私にはあまり効果がありませんでした。
パズル系のゲームをしていたのが失敗で、アクション系なら良かったのかなと今では思います。
そんなこんなで悪戦苦闘に疲れたので、最終的にはI先生に直接ラインで相談しました(笑)
「この詰め物、なるべく早く抜去できませんか?」
I先生曰く、「早く抜き過ぎて出血が酷かったらまた入れ直す事になり、その際は麻酔も効いてないので余計にしんどくなります。あと、詰め物を抜いても鼻の中の炎症等でまた鼻は詰まりだします。今回の手術によって将来的に立派な鼻呼吸を手に入れることになりますが、その前に口呼吸をマスターしてみては?」との事。
この謎の理論になぜか妙に納得してしまった私。
(口呼吸の極みか…面白い、マスターしてやろうじゃないか)
さらにI先生から「明日の夕方抜去するのでそれまで我慢できますか?」とのありがたいお言葉を頂戴しました。
(夕方までなら頑張れるぞ)
これ以降パニックは収まりました。この辛さは精神的なものですね。自分がいかに弱いか思い知りました。
パニックは収まっても口呼吸はやはり疲れます。すぐに口が渇くので頻繁に水分補給。その際に血を飲まないようにと意識しますが、もはや何が水分で何が血かわからない状態。
夜22時。
熱が37℃を超えてきます。
I先生曰く鼻の詰め物をとれば徐々に熱は下がりますとの事。
呼吸の苦しさで熟睡はできませんでしたが何とか騙し騙しで朝を迎えました。
手術後1日目
朝から熱と多少の吐気を感じます。
術前からずっと右腕に針が刺されっぱなしで点滴が続けられているのがかなりのストレス。
(腕をブンブン振り回したいな〜)
朝食はほとんど食べられず。
バナナが美味しそうなのでストックとして確保。ネットサーフィンと読書で時間を潰します。
呼吸についてはほとんど全く気になりませんでした。口呼吸マスターに近づきつつあります。
14時過ぎに看護師さんが来て「詰め物抜去するので耳鼻科外来に行きましょう」と言われます。
まだ夕方じゃないけど恐らくI先生が気を利かして早くしてくれたみたいです。
しかしその時は既に口呼吸マスターになろうとしていたので、(あっ、もう抜くのか。全然明日でも良いのに)とか思ってしまいました。
しかしそんな事はもちろん言えるはずも無く、耳鼻科外来に行きました。
開口一番に「苦しくてごめんなさい」と謝るI先生。
(何ていい奴なんだろう)
「抜きますね!血が出たらこれで受けとめてください。顎の下で構えておいてください」と、トレイを渡されます。
右の鼻からスルスルッと一瞬で詰め物が抜かれます。続いて左の鼻。時間にして10秒もかかってないと思います。痛みは皆無でした。
血も流れて来ませんでした。
生まれて初めてじゃないかと思うぐらい右の鼻に空気が入ってきます。
(おお!これが地球の風か!呼吸が楽過ぎる!)
病室に戻ってしばらくすると眠気が襲ってきたので一眠り。鼻が通っているので呼吸は快適でしたが、いきなり空気を通し過ぎたからか、鼻の穴が若干ヒリヒリ。
あとは微熱と頭痛。これを何とかせねば。
夕食は半分ぐらい食べれるように。
だらだらと鼻から出血が続きます。
21時。徐々に鼻がつまってきます。
鼻水が蓄積され、結構な量の鼻くそ達が集まりだします。
就寝時間の22時。
またもや私の鼻は両方シャットアウトされました。
「強く鼻を嚙まないでほしい」
そう言われていたので優しく鼻を嚙みます。
「ズルズルッ」という音が夜の病室に響き渡ります。
個室であれば気にならないですが、やはり大部屋だとこういうのが気になります。
鼻を嚙んでも空気が通るのは一瞬だけ。
私は諦めて口呼吸で眠る事にしました。
これが結構苦しくて多分1時間ぐらいしか眠れず。
朝5時にトイレへ。
動いたのが良かったのか急に右鼻だけが通りだします。
(おっ、ラッキー)
鼻呼吸が可能になった事で再度眠りにつきます。
手術後2日目
朝には熱と頭痛は治まっており、鼻のつまり具合は5割といったところでしょうか。
点滴の針を抜いてもらい、公約通り腕をブンブン振り回します。
朝食は完食。
昨日確保したバナナも平らげます。
昼食も完食。
微熱と吐気が食欲を阻害していたのでしょう。
暇を潰し続け14時に鼻の傷口処置。
夕方にシャワーを浴びて病室に戻るとまた1人部屋に返り咲いておりました。
しばらくは快適でしたが夜に熱いコーヒーを飲んだタイミングで再び鼻づまりに見舞われました。
昨日と全く同じシチュエーション。
口呼吸がメインなのであまり眠れず。
体を起こすと鼻詰まりが若干緩和されるのでしばらくベッドを起こしながら眠っておりました。
(あー帰りたい)
手術後3日目
ついに退院日、鼻のつまり具合は変わらず5割といった所でしょうか。
熱や吐気は完全に消え失せました。
朝9時過ぎに諸々の手続きを済ませて退院しました。
その日の夜も口呼吸でしたが家なのがよかったのかまぁまぁ眠れました。
手術後4日目(執筆今日現在)
本日も仕事は休みですが、働けと言われれば可能な程度の辛さです。
術後もしばらくは鼻づまりが続くと言う事なのでこれについては耐えるしかありません。
体を起こしている時は少し鼻が通っているのでなるべく起きて過ごします。
まとめ
術後の鼻栓が最難関でしょう。
I先生曰く、私みたいにパニックになる人は結構多いようです。治療は病院によって異なるのでご自身に合った治療法の病院を選択する事が大事だと感じました。
あとは個室等の環境も大切ですね。
また経過を見て近況報告したいと思います。
参考までに料金ですが、総点数が45952点だたので459529円。これの3割負担なので137852円でした。
限度額適用したので支払いしたのは8万ちょっと。個室入ってたら14万ぐらいになってましたね。