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暗雲切り裂く蒼き閃光〜BUGフレアアルーレン調整録〜

(自己陶酔というかなんというか‥‥イタかったですよね)

こんな文章で締めくくった前回のアルーレン調整録。この時は本当にアルーレンは終わりを迎えたと感じていて、二度と握ることはないと思っていました。まさかあれからたった2か月で「苛立たしいガラクタ」が禁止されるなんて。

あの時の約束通り、真っ先に帰って参りました。新環境におけるアルーレンの雄姿をご覧ください。
(2024年12月26日時点のアルーレン調整録です。)


「苛立たしいガラクタ」禁止後のレガシー環境


レガシーを定義する2大ピッチスペルである「Force of Will」と「目くらまし」。これらを1マナで無力化し、さらに重ね引きのリスクすら無い恐ろしいアーティファクト。
UB  Reanimaterや各種コンボのサブプランとしてデッキ強度を高め、難攻不落のものにしていた凶悪なクリーチャー。一度攻撃が通り出した時のマウント力は、かつての「戦慄衆の秘技術師」を彷彿とさせるほどであった。

彼らの姿は既に無い。
今回の禁止改訂はレガシー環境に大きな変化をもたらした。ナドゥやエルドラージはモダンホライゾン3の強化を十全に受けて相変わらず安定した成績を残している。
そこに待ったをかけるように、「秘密を掘り下げるもの」を主軸としたテンポデッキ、デルバーが発見の兆しを見せつつある。また、「豆の木を登れ」をアドバンテージエンジンとしたミッドレンジや、コントロールも少しずつ数を増やしてきている。
ストンピィ系やコンボデッキも「苛立たしいガラクタ」の枠を他のカードに変えて依然環境に存在し続けている。

Legacy Challengeの結果を見ても、様々なデッキが新環境のトップメタにならんと名乗りを上げている状況である。

モダンホライゾン3で時代遅れの現実を突きつけられたアルーレンは、この群雄割拠の環境に今まさに挑まんとしているのである。

打倒ナドゥ!

アルーレンを復活させるにあたって、まず最初に懸念されたのがデザイン失敗バード「有翼の叡智、ナドゥ」を主軸としたコンボデッキの存在である。以前の記事でも書いたが、ナドゥはクリーチャーコンボとしてはアルーレンの上位互換とも言えるデッキだ。必要パーツが少ない上に、それぞれが軽いため、妨害が無ければ一瞬でコンボが決まる。
そのナドゥが無傷で環境に残っているのである。まずはナドゥと差別化できる点を探し、ある程度勝てる構築にしなければ話にならない。そのためにまず白羽の矢がたったのがこのBUGアルーレンである。

前環境では「苛立たしいガラクタ」の存在で諦めざるを得なかったが、使っていた感触はかなりよかったデッキである。
4Cアルーレンの方が対応力はあるのだが、コンボを主軸にする関係上どうしてもナドゥの下位互換になってしまう恐れがあるため今回は見送った。
また個人的な話となってしまうが「拒絶の閃光」はモダンホライゾン3発売直後、絶対強いと思って1枚3500円で4枚購入してしまっていた。(執筆時点1500円)ここで活躍させられなければ消えていった8000円が浮かばれない。

そんな個人的な事情も多分に含みBUGアルーレンの挑戦は始まった。

BUGフレアアルーレンへの道

正直「苛立たしいガラクタ」のせいでアルーレンのパワー感がよく分からなくなっていた。そのため前環境で試した形を踏襲しつつ、とりあえず新環境の筆頭となることが確実な、エルドラージとナドゥを強く意識した構築から始めた。

サイドにさらに除去を積んでナドゥを強く意識

メインから「殺し」を厚くとることで、自分の動きを通しつつ、相手の妨害をしていく。「超能力蛙」がいなくなり、UB系が数を減らしているのもあり、このプランは意外と悪くなかった。
ただやはりメインの除去を「殺し」にしたのはやりすぎで、「オークの弓使い」に手を焼いたのと、「覆いを割く者、ナーセット」に触ることができないことが原因の負けが気になった。そのため、より対応範囲が広い古き良き除去である「突然の衰微」にメインの枠を譲ることとした。

そして今回の構築のポイントは何といっても「拒絶の閃光」の存在である。「拒絶の閃光」はレガシーで積極的に使用されているとは言い難いカードである。それもそのはず。このカードは、通常のデッキではピッチコストで使用することが難しい。マナを支払って盤面に送り出したクリーチャーを要求されるためだ。そのため単純にアド損なだけでなく、攻め手となるクリーチャーを失いテンポ損まで生み出してしまいかねないのである。
しかし、ことアルーレンにおいては「拒絶の閃光」は、「Force of Will」をも越える高い防御性能を誇る。
BUGアルーレンの基本戦略は、「悪意の大梟」と「氷牙のコアトル」などのアドバンテージを失わないクリーチャーで盤面を支えつつ、ゲームを長引かせる。そうしているうちに相手とのリソース差が付きいつの間にか勝っているというものだ。
「拒絶の閃光」はこのプランを強力にバックアップする。今までのアルーレンが、テンポやミッドレンジに強くコンボに弱いと言われていたのは、相手の仕掛ける手数の多さに対して少数のカウンターでは対処しきれなったからだ。
また、クロックが細く一度失ったアドバンテージを回復するのにも時間がかかるため、「Force of Will」でどうにか延命したとしても相手の二の矢に対応しきれないことが多かった。
これらの弱点を「拒絶の閃光」は一度に解消した。盤面に1/1接死飛行生物を送り出すという基本の動きをするだけで、手札に1妨害が追加されるのである。アドバンテージを失わない「Force of will」の強さは豆の木コントロールで知られるところだろう。
盤面のクリーチャーが大切なマッチは、今まで通りの動きをしているだけで有利になる。スペルが飛び交う空中戦となるマッチアップでは、今まで1/1としての価値しかなかったクリーチャーたちが、実質妨害の追加となる。さらに「否定の力」と違い、自分のコンボを押し通すためにも使えるのである。これ以上何を求めろというのか。
アルーレンは数あるデッキの中で、最も「拒絶の閃光」をうまく使うことができるデッキであると言えるだろう。

「苛立たしいガラクタ」が生み出した暗闇の中、勝てる形を模索し続けた時間は無駄ではなかった。「苛立たしいガラクタ」から解放されたアルーレンは、蒼き閃光とともに、今まさに新環境に切り込もうとしていた。

そして完成したのが以下の形である、

12/26までに形を変えながらプレイしたのも含めて10リーグで、3-2×2、4-1×7、5-0×1とかなり安定した成績を残すことができている。
「知りたがりの学徒、タミヨウ」と「拒絶の閃光」のおかげで、BUGアルーレン特有のもっさり感もかなり軽減されている。「知りたがりの学徒」タミヨウの枠は、ピッチコストとなりアドバンテージを失わないクリーチャーを探した結果、当然のように最も強いカードが収まった形である。1ターン目からプレッシャーをかけつつ除去を吸ってくれるため、盤面にクリーチャーを残しやすくなっている。
以前まではメインに定位置を獲得していた「忍耐」は、UB Reanimaterの減少に伴いサイドに落ちている。

次の項でサイドプランを解説していく。

各マッチアップ・サイドボーディング解説

アルーレンのサイドチェンジは、コンボを狙うのか狙わないのかの、大きく2パターンに分けられる。コンボが無くても勝てる相手には、「魔の魅惑」を完全に抜いてしまう方がデッキ全体のまとまりはよくなる。一方線が細くリソース差で押しつぶすデッキであるため、殴り切ることが難しいのであれば「魔の魅惑」を残すという選択を取ることになるだろう。以下で個別のマッチアップについて書いていく。

〇テンポ系全般
 Out
 「洞窟のハーピー」×2
 「拒絶の閃光」
 「魔の魅惑」×3
 「Force of Will」×2
 In
 「花の絨毯」×2
 「忍耐」×3
 「疫病を仕組む者」×1
 「殺し」×2
 「海の先駆け」×2
確実にとりたい有利な相手。対テンポデッキはとにかくゲームを長引かせるのがコツである。そのため、重く手札にたまりやすいコンボパーツは抜いて、ミッドレンジ戦略をとるのが基本となる。盤面のクリーチャーが大切となるマッチアップなので、「拒絶の閃光」は抜いてしまってもよいと思われる。可能であれば、1/1接死飛行を着地前に処理されないように、「Pyroblast」が当たらないタイミングで盤面に送り出しリソース差をつけていきたい。
また、相手がUB系の場合は、「オークの弓使い」を常に警戒し、強く使わせない工夫が必要となる。長引けば勝手に有利となるので、こちらのオークは相手のオークが出て来るまで温存しよう。また、相手が2マナオープンで構えオークが出てきそうな場面では、あえてターンをパスして相手にマナを使わせないなどのプレイングが考えられる。オークはプレイングである程度対応することができるので、1枚で負けないよう相手の動きから手札を予想して動きたい。

〇UB Reanimater
 Out
 「魔の魅惑」×3
 「洞窟のハーピー」×2
 In
 「花の絨毯」×2
 「忍耐」×3
相手の仕掛けの多さに対して、メインからカウンターが大量に取られているので、以前よりは相性は改善されている。しかし、「カザド=ドゥームのトロール」を吊り上げられるだけで厳しいのは同じなので、今後数を増やすようであれば、「殺し」の枠を別な除去にするなど工夫が必要となるだろう。

〇Dooms Day
 Out
 「洞窟のハーピー」×2
 「突然の衰微」×3
 「魔の魅惑」×3
 In
 「夏の帳」×1
 「記憶への放逐」×2
 「忍耐」×3
 「海の先駆け」×2

以前はかなり相性が悪い相手だったが、今はそれほどの苦手意識はない。このマッチアップも、サイドから「忍耐」など対策カードを多く採用しなければならない関係でコンボを残すことが難しいマッチアップである。ひたすら盤面にクリーチャーを送り出しながら手札に妨害を貯めてコツコツと殴り切るのが基本となる。マストカウンターは分かりやすいため、確実に対処していきたい。

〇エルドラージ
 Out
 「知りたがりの学徒、タミヨウ」×1
 「オークの弓使い」×1
 「拒絶の閃光」×2
 「Force of Will」×2
 In
 「記憶への放逐」×2
 「海の先駆け」×2
 「殺し」×2
ブン回られると厳しいマッチアップ。勝ちパターンは2つ。「海の先駆け」を着地させるかコンボを決めるかである。「まばゆい肉掻き」は「殺し」と「突然の衰微」で処理。「まき散らす菌糸生物」のランデスは「記憶への放逐」で対応し、盤面を支えたい。コンボで勝つために「オークの弓使い」を一応残しているものの、抜いてしまってもよいかもしれない。相手の魂の洞窟でカウンターは基本的に無力化されるため、減らしている。手札にあまりやすいカウンターは「コジレックの命令」や「海の先駆け」への除去に狙いを定めて当てていきたい。

○ナドゥ
 Out
 「洞窟のハーピー」×2
 「魔の魅惑」×3
 In
 「疫病を仕組む者」×1
 「海の先駆け」×2
 「殺し」×2
今のところ勝ち越しているが、ネタが割れれば勝てなくなる不利なマッチと思われる。コンボ成立を除去とカウンターでひたすら妨害しながら泥臭く戦っていく。「海の先駆け」は土地の出し方や「花の絨毯」で簡単にケアされてしまうものの、相手が無警戒で刺さることもしばしば。また「Karakas」を無力化することで、タミヨウやウーロで攻めることが出来るようになる。コンボを残すならば「海の先駆け」と「悪意の大梟」を2枚ずつ減らして枠を作ることになるだろうがあまりお勧めしない。

○赤単プリズン
 Out
 「オークの弓使い」×2
 In
 「殺し」×2
押し付け系のデッキは例によってあまり得意ではない。序盤をさばいて「自然の怒りのタイタン、ウーロ」で殴り切るか、コンボ成立を狙う。相手がロックを狙うプリズンの場合は「活性の力」を入れるがそうでない場合は不要。

プレイの実際

12/29のlegacy challengeで決勝スプリットまで勝ち進めました。そのうちここにプレイ動画のリンクを貼ります。
1〜5ラウンド


終わりに

前回のnoteに対して思いのほか反響があり、多くの方々にご心配いただきました。実は既に別のデッキに移る準備をしていてクレイドルやナドゥのパーツを揃え終わったばかりでした。とはいえ、もう一度アルーレンを握ることができる環境になったのはうれしい限りです。
新環境での分からん殺しを多分に含むご祝儀期間といった感じかもしれませんが、新しいアルーレンに興味がある方はぜひ手に取って試してみてください。
それでは皆様、よいアルーレンライフを!

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