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アルーレン調整録〜5年前にデッキを追放された俺が、チート能力を使って新環境で無双する〜
平和な毎日だった。
いつもと変わらぬ日常がそこにあった。
デルバーを狩り、イニシアチブを食べ、豊かで充実したレガシーライフを過ごしていた。
しかし、それはある時一変してしまった。
まさか平和なアルーレンの村にオークが攻めてくるなんて……
※この記事は、2023年7月時点のアルーレン調整録です。
1.「オークの弓使い」襲来
mtgが指輪物語とコラボするという情報により、発売前から大きな話題となっていた中つ国の伝承。スポイラーの段階では「オークの弓使い」が最も注目されていたのは、皆さんがご存知の通りである。
その強さから様々なデッキでの活躍が予想されており、それはアルーレンも例外ではなかった。指輪物語がMOに実装後、1枚42tixという値段で即4枚購入して遊んでみた結果…
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おぉ、オーク強い。
相手のオークも強い!
一つの指輪もやべぇ!!
おい半端じゃなくきついぞこの環境!!!
MO全然勝たん。
— otb (@otb33291187) July 2, 2023
3-2、3-2、2-3、4-1、2-3、3-2、4-1、1-3、3-2…
弱いデッキを握ってしまっている。
アルーレン自体は「オークの弓使い」を強く使えるデッキであるので、以前より強化されたのは間違い無い。しかし、自分自身が「オークの弓使い」に弱いデッキなのもまた揺るがぬ事実だった。
それもそのはず。一般的な60枚のBUGアルーレンを構成するカードのうち20枚、デッキの3分の1がドローするカードで構成されている。さらに致命的なのは、序盤の主力となる8枚のキャントリップ生物がことごとく「オークの弓使い」の射程圏内なのである。
一度「オークの弓使い」が着地してしまったが最後、除去の薄いアルーレンは、大量に抱えた手札を満足にプレイすることができないまま死を迎えることになる。
また、今までデルバーに有利を取れていた大きな要因である、8枚の1/1接死飛行軍団は、グリクシスデルバーが使う「オークの弓使い」によって封殺されてしまうこととなった。
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さらに困ったことに、中つ国の伝承発売後「一つの指輪」も強力であることが判明したのだ。一度着地すればプロテクション(全て)とドロー能力で膨大なアドバンテージを稼ぎだす。このカードを使ったコンボデッキが環境に台頭してきたのだ。
ここ数週間は、現代に蘇った「Ancestral recall」+「Time walk」とも言うべき「一つの指輪」と、タフネス1の人権を奪い去った「レンと6番」の悪夢を思い起こさせる「オークの弓使い」が環境を定義していた。
これらに支配された今のレガシー環境は
①コンボを妨害しつつ速やかに殴りきる攻撃力
②オークや指輪1枚で完封されないデッキの強度
③それら全てを無視して上から踏み潰すスピード
のいずれかが無ければデッキではないとすら感じた。
エルフの村を焼いたオークの魔の手は、今まさにアルーレン村をも焼こうとしていたのだ。
2.アルーレンの生存戦略
現在の環境におけるアルーレンの立ち位置を整理しよう。先ほどの①〜③いずれも有していないアルーレンであるが、アルーレンならではの強みが2つある。
⑴プロテクション(全て)をかわせる
一つ目は、「一つの指輪」のもつ能力であるプロテクション(全て)をかわしてフィニッシュできる点だ。
アルーレンは、インスタントタイミングで決められるコンボデッキであるため、相手の無敵化が解けた瞬間に即死コンボを叩き込める。そのため、コンボさえ揃ってしまえば、「一つの指輪」のアドバンテージエンジンが機能する前に勝利することができる。
またフィニッシュ手段を「アーチリッチ・アサーラック」や「大釜の使い魔」など対象を取らない手段にすれば、プロテクション(全て)すら貫通できる。
「一つの指輪」は「魔の魅惑」と同じ4マナのアクションであるため、出された返しにコンボを決めることも可能だろう。
⑵オークを強く使える
二つ目は、数あるデッキの中でも「オークの弓使い」を最も上手く使えるデッキである点だ。
そもそもアルーレンは、コンボデッキでありながらミッドレンジを得意としているデッキである。相手とがっぷり四つに噛み合った際、「悪意の大梟」と「氷牙のコアトル」、そして「自然の怒りのタイタン、ウーロ」の存在で消耗戦に強く、アドバンテージ負けする相手は環境にほとんど存在しない。言わば、自分と同じ土俵で戦える相手に対して強いデッキなのだ。
「オークの弓使い」は確かにアルーレンの天敵と言ってもよい性能を有している。しかし、このカードがもつある特性が、アルーレンを救うこととなる。
その特性とは、「オークの弓使い」は後出しが圧倒的に有利と言う点だ。
「オークの弓使い」の存在は今までのレガシーの常識を変えつつある。例えば、レガシー環境を代表する呪文である「渦まく知識」は、相手が2マナ立てている時に唱えてよい呪文では無くなってしまった。うっかり2ターン目の「渦まく知識」に「オークの弓使い」を合わせられてしまうと、「1/1の本体+4/4トークン+分割3点火力」という一瞬でゲームが傾くほどの被害を受けてしまう。「オークの弓使い」のプレッシャーが、互いに歪んだ展開を強いるのだ。これによって、互いにマナをオープンにした状態で、睨み合う場面が多くなっている。
一見これは相手も同じ条件で、結局有利になっていないように見える。しかしアルーレンは、どうにか苦手な最序盤を乗り切り、自分が得意とする4〜5マナ域まで到達したいデッキだ。基本的に長引けば長引くほど有利なのだ。その喉から手が出るほど欲しい数ターンを「オークの弓使い」が生み出してくれる。(暇な時に適当にオークを投げていたせいで、初期は結構負けていた。)
さらにインスタントタイミングで展開することにおいて、アルーレンの右に出るデッキは少ない。相手が我慢できず自分の展開をしてくるのであれば、こちらは「オークの弓使い」のプレッシャーから解放される。その隙にキャントリップ生物を連打して盤面を整えれば良い。
後半になれば、「洞窟のハーピー」で場にいる「オークの弓使い」を回収し、先に出しながら後出し にも対応できる状態となる。
オークに蹂躙されるだけかと思えたアルーレン村は、オークをも取り込み、今まさに環境に立ち向かおうとしていた。
3.デッキを追放された俺が、チート能力で無双する
「オークの弓使い」そのものが、「オークの弓使い」への対策となっているのは、除去が薄く不器用なアルーレンにとっては非常に幸運であった。
しかし、それでもまだ安心できない。結局は受け身の対策でしかないのだ。「オークの弓使い」と「一つの指輪」。この2枚のカードの対策となり、かつ汎用的なカードはないものか。そう思いながらカードを眺めていた時に、ある1枚のカードが目に留まった。
それは、5年前。「死儀礼のシャーマン」の禁止とともに、多くのデッキを追放された元高額カード。「敏捷なコソ泥、ラガバン」対策の「karakas」により、場への定着すら許されなかった伝説のクリーチャー。しかしたまに出されるとゲンナリするあの男。
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そう、「トレストの使者、レオヴォルド」である。
このカードは二つの強力な効果を持っている。その一つ、ドローロック効果は、盤面に一切触らない「一つの指輪」を強烈にメタってくれる。そしてもう一つの対象を取られた際にドローする効果。こちらは言わずもがな、「オークの弓使い」を牽制する効果である。 もちろんドローすればするほど相手のオークは大きくなるし、ダメージも多く飛んでくる。しかし、何枚までドローするか選ぶのは自分自身なので、盤面に合わせてドロー枚数は調節すればよい。
時を越え、過去の英雄がもう一度村のために立ち上がった。
アルーレン村は今、エルフ、オーク、梟、蛇等多数のクリーチャータイプが共存する多種族共生国家、レオ・テンペスト連邦国となって生まれ変わったのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1688803110147-O5haWy5u0D.png)
4.アルーレンの今
以上の要素を踏まえて構築したのが、以下のレシピである。自分の生活リズムの関係で、以前のようにMOの大会に参加する余裕がまだなく、リーグのみで調整となっている。どうにかレーティング1800程度を保っているものの、圧倒的な勝率ではないため、参考までに。
![](https://assets.st-note.com/img/1688803286497-Zbm7pdrnhU.png?width=1200)
あれだけ推した「トレストの使者、レオヴォルド」が1枚採用なことに突っ込んではいけない。マナクリーチャー不採用のこのデッキでは、やはり重いのだ。
①「オークの弓使い」「悪意の大梟」、「氷牙のコアトル」の4枚採用
「オークの弓使い」対策になるオークは当然の4枚採用である。「オークの弓使い」に弱い8梟体制は意外に思われるかもしれない。しかし、オークに焼かれるからこそ8枚必要である。後出しされるオークにブロッカーを焼かれた返しに、再展開できなければ、結局「濁浪の執政」等が止まらずに負けてしまう。1/1生物の枚数を減らすアプローチも試したが、結局デルバー系への勝率を落としただけだったため、デルバー系統を強く意識するなら8梟は継続でよいと思われる。
②「洞窟のハーピー」の3枚採用。
最近2枚程度まで数を減らしていた「洞窟のハーピー」であるが、今回は3枚採用をしている。これは、「一つの指輪」の広がりにより、以前よりコンボで勝たなければいけないデッキが増えてきているためである。コンボを決めたい場面で確実に決めに行くため、また8梟+オークの存在で使いやすくなっていることも踏まえ、「洞窟のハーピー」は3枚採用としている。
③土地の配分について
以前よりも黒のカードを濃く採用しているため、黒絡みのデュアルランドを増量している。
一方、採用していないカードとして「耐え抜くもの、母聖樹」がある。以前は1枚採用していたのだが、このカードで勝ったゲームより、負けた、もしくはこのカードのせいでキープできなかったゲームの方が多いと考え不採用としている。
また20枚を基本としていたが、あまりにもフラッドが多かったため、最近は19枚で落ち着いている。
おまけ 「指輪の誘い」vs「森の知恵」
黒い森の知恵とも囁かれている「指輪の誘い」だが、実際のところどちらが優れているのだろうか。今回はどちらも採用していないものの、枠があれば入れたいカードではある。これらを簡単に比較すると次のようになる。
![](https://assets.st-note.com/img/1688804211184-1K458uafOI.png)
「森の知恵」
・毎ターン3枚のカードを見ることができる。
・短期間で手札を増やせる。
・ライフコストが非常に重い。
「指輪の誘い」
・打点アップが狙える。
・ルーティングが可能。(攻撃時は強制)
・ライフあたりのドロー枚数は多い。
どちらも試した結果、個人的には緑が使えるなら素直に「森の知恵」で良いのではないかと感じた。
最も大きな理由は「指輪の誘い」の悠長さにある。他にクリーチャーがいなければドローできず、それもターンを跨いで1枚ずつである。大抵はそんな悠長な時間はなく、それが機能する相手ならばもともと有利な相手なので、このカードは不要である場合が多い。そのため対コンボでも安定して仕事ができる「森の知恵」が優れている。
また指輪に誘惑された際の効果も足を引っ張る場面がある。ルーティングは強制であるため、「オークの弓使い」がいる場合、攻撃も出来ない状況に追い込まれることがある。「森の知恵」ならば、ドローしないことも選べるため、影響は受けにくい。
もちろん「指輪の誘惑」が役立つ場面も多くあり、ルーティングでウーロを捨てたり。8/8の「濁浪の執政」を無視してウーロが殴りに行けるのは大きなメリットとなるだろう。
何を重視するかはプレイヤーによるが、少なくとも今の環境では「森の知恵」の方が優れているだろう。
5.最後に
「オークの弓使い」は、アルーレンにとって強化でもあり弱点ともなっているカードです。相手によって使い方が変わることを理解すれば。きっと大きな力となることでしょう。
「トレストの使者、レオヴォルド」も無双は言い過ぎかもしれませんが、なかなか環境に合ったカードになっています。レオヴォルドを「喜ぶハーフリング」経由で叩きつけるようなデッキも可能性があるかもしれません。
自分もまだまだ最適化された構築が見つかっていない状態です。もし、高い勝率を叩き出したアルーレンがあったら是非教えていただければと思います。
それでは皆さま。よいアルーレンライフを!