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「対戦型」のXから人がいなくなり、炎上は非実在になった(のでは?)
「赤いきつねの炎上」は結局、実在しなかった?
ネット社会が変化しはじめたように思う。
「赤いきつね」のWEB CMが炎上したと話題になった。ここでは面倒なのでその詳細はあらためて説明はしない。Xで検索すれば5分でわかるだろう。
「赤いきつね」が炎上したと話題になったら、それは「非実在型炎上」つまりごく一部が騒いでるだけと言う人が現れ、それをネットメディアが記事にしたら非実在型が実在した感じになり、さらにそれがネットメディアの記事になり、炎上してないはずが炎上した感じにいよいよなって不買運動も起こったが「赤いきつね」は売れた。
そのことを妻との会話で話題にしたが、妻はこの炎上をまったく知らなかった。ちなみに妻は毎朝毎晩LINEニュースを見ているので、私が知っている話題はほぼほぼ彼女も知っている。それなのに「赤いきつね」の炎上は知らなかった。
私は日々テレビでニュースをチェックし、Yahoo!ニュースやスマートニュースも暇になるとのぞき、またXを日に何度も開いてはトレンドチェックする。
妻との大きな違いはXを日々チェックするかどうかだ。そして「赤いきつね炎上?」はXで「赤いきつね」がトレンド入りし、「非実在型」がトレンド入りしていたから、その流れでこれを取り上げたネット記事も読んだ。
たぶんLINEニュースにも載ってたのだろうけれど、妻はXをチェックしないので「赤いきつね」のニュースが目に留まらなかったのだと思う。
「赤いきつね」は確かにXで炎上したような実在しなかったような、非実在型として話題になったような、という現象はあったが、妻にとっては存在しなかった。
ちなみにこの炎上は、某炎上対策コンサルが火付け役だったらしいこともわかっている。まさに非実在だったわけだが、そのコンサルに対する炎上も起こっていて、そっちのほうが実在炎上に思える。とにかくもう、ぐちゃぐちゃだ。
ネット上の炎上なんてそんなものと言えばそうかもしれないが、私はちょっと違う気がしている。Xはいま、「世の中」から離れつつあるのだと思うのだ。
ずいぶん昔、フジテレビが時代の最先端だった頃、毎年ブランドCMを制作し、毎年面白かった。その中でもひときわ面白かったのが「それ、世の中、動かしてますか。」というシリーズだ。「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のドク役で人気になったクリストファー・ロイドの顔がダークグレーの背景に動くシュールな企画だった。面白がりつつ私は「世の中を動かすのがメディアだよな」と妙に納得した。
そのコピーに照らして言うと、Xはもう、世の中を動かせなくなっているんじゃないだろうか。
Xは世の中を動かせなくなりつつある(おそらく)
Xは「対戦型」とイーロン・マスク氏自らが言ったことは前にも書いた。そのことに辟易としているわけだが、多くの人がそう感じているのだと思う。
というのは、年明け以降私のXでの投稿への反応が極端に減ったのだ。私は記事が公開されるたびにXで「こんな記事を書きました」と投稿していた。さほどフォロワーが多いわけでもないが、それでも投稿には十数件程度の「いいね」がついたりリポストされたりしていた。
ところが最近は、反応がまったくと言っていいほどない。
直近の投稿はこれだ。いいねがたった2つ、リポストはゼロ。
「「広告なんか大嫌いだ」と吐き捨てるように言い、「Shit(くそったれ)」などという言葉を使うエグゼクティブもいた。」
— 境 治 MediaBorder(noteメンバーシップ)運営 (@sakaiosamu) February 25, 2025
べた褒め記事みたいだけど、シニカルな内容です。
2月26日 10:52まで無料https://t.co/PRxiUp2ypH
対比するために去年6月の、同じ日経ビジネスの記事についての投稿を見てもらいたい。
日経ビジネスにNHKのネット業務必須化について書きました。大失敗が見えてるじゃん、という嫌味な内容です。
— 境 治 MediaBorder(noteメンバーシップ)運営 (@sakaiosamu) June 4, 2024
普段有料ですが、明日(6月5日)13:30ごろまでこのリンクで無料で読めます。さあ読まなくちゃ!https://t.co/8Ae6cyZc0C
大した差でもないが、去年6月の投稿には12いいねがついている。ここではわからないが、9回リポストされている。
どちらにしろ大きな数字ではないわけだが、とにかく一定の反応がついているのと、ぼほゼロでは実感としてずいぶん違う。
もっとマクロのデータがあるといいのだが、とにかく私の投稿への反応は減っている。そう思うと、Xへの投稿数が減ってしまった。はりあいがないからだ。そのうち私はXで投稿しなくなると思う。トレンドをチェックする頻度も減るかもしれない。
自分を軸にした実感を社会全体の傾向に当てはめるのは無理があるのはわかっているが、でも根拠なく言ってしまう。同じように日本中、いや世界でXを離れる人が増えているはずだ。間違いないと思う。
だって、対戦型SNSにいたい人は限られるのだから。あんなところでうっかりな投稿をしたらどんな目に遭うかわかったもんじゃない。必要な投稿以外はせず、話題のチェックだけするに限る。だがその話題も、「赤いきつね炎上」のように狭い範囲で語られただけなら、話題ではない。知る必要はない。
おそらく、Xはもう世の中を動かさなくなる。やいのやいのと誰かを攻撃したい人たちだけで攻撃しあう場になり、世の中はその騒ぎに気づかないだろう。トランプが何か言ったならニュースで紹介されるからそれでいい。Xを開く理由が薄れていっている。
「オールドメディアはSNSに負けた」と言われたのはほんの3ヶ月前の兵庫県知事選挙だったが、オールドメディアの皆さん、安心してください。Xはもう、選挙を動かしません。(ただしYouTubeの影響力はまったく衰えていない)
炎上はもう起こらない。炎上する場所を多くの人が見ないのだから
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