ぶり照り焼き定食の朝日記(2025年1月7日)
最近、ぶりの定食のことをふとした時に思い出す。
近くにある定食屋のぶりの照り焼き定食を食べたのが去年の12月。
これがとにかく美味しかった。
照り焼きの味付けが自分好みで一口一口、
「うまっ」
と心の中で思いながら味わった。
「ありがてぇ」という感じでもあった。
肉を食べる時はあまりありがてぇと思わないが、魚を食べるとありがてぇという感じがある。体に染みる。
食べ終わった後もしばらく、あれ美味しかったなぁと、食べているころの自分を思い出してはぼんやりするほど美味しかった。
しかしその定食にはただひとつ欠点があったのだ。
もうひとつもの足りない。
ぶり ご飯 味噌汁 漬物 の4品なのだが、何かもう一つおかずが欲しい。それさえあれば完璧なのに。できたら刺身なんかがよい。ちょっとした枚数の。
すぐにもっと良いものを求めてしまう。
自分の欲深さを感じずにはいられない。あんな美味しいと思った定食にケチをつけてしまうなんて。いやだいやだ。
そんな揺れ動く私の定食への想いを胸に、やっぱりもう一度食べたいと、年末ごろ再度店に足を運んだ。
店内のメニューを見る。
刺身単品でも頼もうか。
「え?」
私の視線が止まる。
薄汚れた壁紙に張り付けられた、これぞ定食屋といった手書きの品書きに、踊る文字。
「ぶり照り焼き刺身定食」
うおおおおおお!!!!!!!まじ!?!?!?!??まじなの???
もちろんそれを頼んだ。
マグロとブリ(ハマチかも)が理想的な枚数入っていた。
いいのかよ!!!こんな完璧なことがあって!!!!!!!!!
ありがてぇええええええええ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
しかも刺身もめちゃくちゃうまかった。どうかしてる。よすぎて。
それ以来、ふとする度、ぶり照り焼き刺身定食のことを思っている。
冬の寒空の下、心の隙間に、その隙間通りの形をしたぶり照り焼き刺身定食がすっと入ってきて、私の心は充足している。
昨日もふと思い出した。
思い出すぶり照り焼き刺身定食があるというのは、心強い。