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打ちっぱなし場のエアロスミスの朝日記(2025年2月27日)
暖かいと嬉しい。
よく真冬と真夏どっちが好き?というような質問があるが、
私はまだ真夏と思ってしまう。
最近の真冬はわりと暖冬で、真夏は本当に地獄であるという状況をさておいて、夏の開放感にまだぼんやりとした、希望を抱いてしまう。
希望というか、楽しさのコアのような、濃厚な蜜のような、そんな楽しさの本質の部分のみをそこに感じてしまう。
真心ブラザーズのサマーヌードがかかってしまう。
あのPVが流れてしまう。
心躍る。
想像する夏は、どこまでも自由で若い。
が、本当の夏は外に出られない。
もうだいぶ学んだ。想像の3倍暑いと。
最近の夏は、開放感とは真逆に引きこもらざるを得ない。
本当の夏は、狭く、老いている。
そんなことを想像しつつ、昨日はゴルフの打ちっぱなしへ行った。
暖かいので動きやすい。
最近、ひっそりと自分の中でゴルフブームが来ている。
と言っても打ちっぱなしへ行くだけなのだが。
ドライバーが上手く打てると、年を越したくらいの、じんわりとした達成感がある。
ずーっとドライバーだけ打っている。連続年越し。老けちゃう。
で、打ちっぱなし場って数時間毎くらいに、球の清掃として、従業員の人が、打ちっぱなされた球を回収する時間というものがある。(基本は自動的に転がって回収されるのだが、回収されない球もたくさんあるので)
そこで、打ちっぱなしの打ち込んでいる場所が、打っている場所からは結構近くに見えるのに、人が入るとめちゃくちゃ遠いという事実が浮き彫りになるのだ。
ここグッとくる。
うわっ!でかっ!と。
球の回収をしている人がものすごく小さい。
この世界の大きさにハッとさせられる。
息をのんでしまう。
で、ここからもまた見どころなのだけど、球を回収している人が4人くらいいて、その人たちが球の回収を終えて、遠くからこちらの打席方向へ、トンボみたいな道具を持ちながら、
ザッ ザッ ザッ ザッ
と戻ってくる。
……なんだか知らないけどここがめちゃくちゃ格好いいんだ。
感じは完全にアルマゲドン。なぜかスローに見える。もちろんエアロスミも頭の中で鳴っている。
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広々とした緑の中に、たった4人の人間が同じ速度で、武器のようなものを持ちながら、こちらへやってくる。
眩い。
我々打席にいる人間は、ここで敬礼すべきなのではないかと思う。
球も拾ってくれたし。
球拾い終了でエアロスミスが流れて、客は敬礼しなければならない打ちっぱなし場があれば、少しだけメディアに取り上げられそうだ。
ただ、きっと客は怒るだろう。