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lazy_planet
喉越しのよいビールに、飲み込みにくさを添えて
去年、人生で初めてビールの美味しさを知った。
きっかけは大したことじゃない。
仕事でへたこいて、シラフではいられないくらい落ち込んでしまって。「いつものお酒じゃ、酔えない」と思い、閉店間際のスーパーに駆け込んだのが最初。
気温が高い夜に飲む、ぬるいビールの喉越したるや。うまい。なんてうまいんだ。
20歳で初めてビールを飲んだ時、独特の苦みと胃に炭酸が溜まる感覚が苦手だったのが嘘みたい。あの当時、「ビールは喉で味わうものだから」と言った先輩の言葉が、身にしみてわかるようになった。
「大人になったってことかな」と、言ってみた。隣に座っている夫が、テレビを見ながら「……またなんかあったの?」と聞いてくる。あえてこっちを見ないあたり、面倒くさいなって思っているのだろうなぁ。
まあ、いい。今宵はいい気分だから。
喉越しのよい相棒(ビール)がいてくれるから、夫婦生活11年目のマンネリも、飲み込もうではないか。飲み込みにくいことがあるほうが、ビールの喉越しを、感じられるってものさ。
今日もおつかれさま、わたし。
うまいビールで、乾杯しよう。
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![小林おすし|静岡在住ライター](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/151782561/profile_f4c57a8fe6fe9951ee9642ef947da224.png?width=600&crop=1:1,smart)