見出し画像

グローバル・サプライチェーン計画(global weekly PSI planner)の機能拡張

はじめに

本記事は、数年前からpythonで開発しているグローバル・サプライチェーン計画機能(global weekly PSI planner)の機能拡張の方向性についてのメモ書きです。
いままでご紹介してきた関連記事では、pythonで計画機能を実装した後に、機能概要をご紹介してきましたが、今回は対話環境GUIの実装も含め、開発のスタート地点に立ったばかりで、新しい計画機能の完成までには時間がかかるので、とりあえずサプライチェーン計画の機能拡張の方向性をメモ書きとして整理しておきたいと思います。

グローバル・サプライチェーン計画の主な機能

グローバル・サプライチェーンの問題を実装するためには、PSI Planning機能だけでなく、サプライチェーン・ネットワークを形成するための様々な制約条件(各国市場の購買力、labor cost、関税、供給地との距離、物流費、環境規制など)を考慮する必要があります。
つまり、製品在庫の動きを最適化してビジネス評価(売上・利益率)を行う前に、サプライチェーンの供給ルーティングの最適化・実行可能性を設備投資、キャッシュ・フローの観点からも検証する必要があります。

そこで、以下のような方針で機能の拡張を考えてみました。
前提として、GUI環境での対話型の制約修正オペレーションを想定し、機械学習の機能を組み込むということを基本方針として、ここでは、2段階の制約管理を行うことを想定しています。
1. サプライチェーンのネットワーク制約を管理してネットワークを確定
2. 確定ネットワークに対して、製品供給の時間制約を管理しPSI計画を確定

以下に、機能モジュールの一覧を示します。
1. all available networks
    search and define all supply paths
2. optimised network with following constraints
    - currency,  buying power,  revenue
    - TAX country2country, economic zone
    - labor cost
    - distance, logistic cost from source nodes
    - circuler economic CO2
    - plant investment, weekly capacity
3-1. constraint editing with operators for each constraints
    available paths edit operator
    by manual
    by AI machine learning
3-2. constraints solver
3-3. evaluate networks with "cash flow" management
3-4. loop to 3-1.

4. fixed a supply chain network
5-1. define time constraints with editing delay strategies
    - stock policy
    - preproduction policy
    - customer waiting policy
5-2. update PSI status with PSI calculation
5-3. evaluate PSI with "revwnue and profit"
5-4. loop to 5-1.

6. fix a PSI plan

以上がglobal supply chain plannerのmain logicとなります。
(キーワードのメモを日本語で)各ステップの概要を説明します。

1. 全ての利用可能なサプライチェーン・ネットワークの検索と定義
    - 供給経路を全て検索し、定義する

2. 最適化されたネットワークの抽出・特定
    以下の制約条件を考慮して最適化する
    - 通貨、購買力、収益
    - 国間の税金、経済圏
    - 労働コスト
    - 距離、物流コスト
    - 循環経済のCO2排出量
    - 工場整備投資、週次生産能力

3 ネットワーク制約の編集・評価・解消
3-1. 制約条件の編集
    - 各種の制約条件を変更するオペレータを使用して編集
    - 手動またはAI機械学習による供給経路と制約の編集オペレータ
3-2. 制約条件の解消
    - 制約条件を解消するためのソルバーを使用
3-3. ネットワークの評価
    - 「キャッシュフロー」を指標としてネットワークを評価する
3-4. ループ
    - ステップ3-1に戻り、必要に応じて繰り返す

4. サプライチェーン・ネットワークの確定
    - 最適化されたネットワークを確定する

5 時間制約の編集・評価・解消
5-1. 時間制約の定義
    時間の先行と遅延の制約を定義する
    - 在庫ポリシー   ・・・実需の変動を吸収する在庫バッファの設定
    - 事前生産ポリシー ・・・生産平準化のための先行生産
    - 顧客待機ポリシー ・・・生産平準化のための遅延生産
5-2. PSI計画状態の更新
    - PSI計算を用いて計画状態を更新
5-3. PSI計画の評価
    - PSI計画を売上・利益面から評価
5-4. ループ
   - ステップ5-1に戻り、必要に応じて繰り返す

6. PSI計画の確定
    - 最終的なPSI計画を確定する

以上の計画立案ロジックは、サプライチェーンの最適化と管理を行う上で有効と思います。特に、AIや機械学習を活用して制約条件を動的に編集・解決するアプローチの部分を、今後うまく実装できれば、複雑なサプライチェーンの管理において実用的なツールになると思います。

【参考情報】
(1) グローバル・サプライチェーン計画と最適化
 https://note.com/osuosu1123/n/n6e97b29049ca

(2)  https://github.com/Yasushi-Osugi/supplychain_planner_PoC

(3)  https://yasushi-osugi.github.io/supplychain_planner_PoC/

いいなと思ったら応援しよう!