その昔、わが子も「なんのはなしかわからない話」を書いていた
2025年の年明け早々。
「なんのはなしです」界隈のドン・コニシオーネ氏がコドモ界への進出を語っておられた。
コニシ氏は、子どもにも楽しく創作してほしい、だれの顔色をうかがうことなく、優劣をつけられることなく、自由に想像の翼を広げてほしい。そのための構想を進めておられるとのこと。
この話を聞いて思い出したことがある。
十年ほど前のことになるが、当時小学一年生だった息子が、表紙がラミネート加工された大層立派な手作り冊子を持ち帰ってきた。ドヤ顔で差し出された表紙をめくると、なかみは藁半紙の原稿に書かれた作文だった。
国語の時間に「このお話のつづきを書こう」というお題が出され、自由に書きつづったものらしい。
元になるお話は、木の下でうさぎくんとたぬきくんが雨宿りをしている。雨が上がり2匹が木の下から走り出す。さあ君ならどんな続きを考える?
息子が考えたのは、2匹は実はケンカをしていて気まずい思いをしながら雨宿りをしていた、そこにゾウくんという第三者が現れて仲直りをうながすというストーリー。
2匹はごめんねをして仲直り。ゾウくんも交えて3匹で遊ぶ。夜はお母さんたちの思いつきでみんなでレストランでご飯を食べた、パクパクもぐもぐああおいしい、次の日も公園で遊びました…というのが延々と続く。
ちょっと面白かったのが3匹でお母さんたちを驚かせようと公園で肝試し大会を企画するところ。ワッと驚かせてあっさり大成功。
作文って性格や生活がにじみ出てしまうと思うのだが、「次の日は公園で何時から何時まで遊びました」とか書いていて、小学校に入って時間に縛られていたのかと思うと少し切ない(私が口酸っぱく言ってたせいかもしれない)。
あとから先生に聞いたところ、このようなラミネートの表紙で本(というか文集)を作ってもらえたのは息子含めて数名だったそうだ。その子たちは「まだ書きたい、まだ書きたい」とたくさん書いてきたので特例で本にしてくださったとのこと。
「あんまり…内容はないようですが…」と私が恐縮すると、担任の先生は
と言ってくださった。
ちなみに低学年用の8字×12行の原稿用紙35枚分。約3300字。何日かで分けて書いたのだろうか。最後の方は字がめっちゃ雑。
お話は3匹が誰かの家でゲームをしたり公園で虫取りをしたり(本当は虫嫌い)終わらない日常を予感させて唐突に終了する(たぶん書くのに疲れたか飽きた)。
いつかは友達とのお別れが来ることも、「ママ、ママ」と言っていた自分が成長することも、この時の息子はまだ知らない。
いま学校で窮屈な思いをしたり、自発的な気持ちを抑え込まれてしまっているお子さんがいると聞きます。
昔の話かもしれませんが、あのときは(授業の一環だけど)「なんのはなしかわからない話」を喜んで受けとめてくれた先生がいました。(担任の●●先生、ありがとうございました)
この記事はコニシ氏の企画に応募するものではありませんが、こんな先生もいたんだよと伝えたくて記事にしました。あ、企画が広まるお手伝いにもなれば。
余談ですが息子はその後、本好きにも作文得意っ子にもなっておりません。(どちらも毛嫌いはしてないけど…)
それではまた!今日もごきげんよう!