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英検®︎一級結果発表(英検®︎一級合格へのセルフコーチング vol.5)

2025年2月17日は、2024年度第3回実用英語技能検定(英検)の結果発表の日でした。

すでにサムネイル画像で晒していますが…ご覧の通り結果は不合格でした。

ここでいま色々書いても言い訳になってしまうので、2019年第3回英検に初回受験で一発合格した時と、そこから5年が経過した2025年1月の試験に不合格となった結果を比較検討して「英検®︎一級に合格するために必要な学習(態度)」として、英語コーチとしての立場から思うところを書き記しておきたいと思います。


1.多読・多聴だけで英検®︎一級に合格できるのか?

一つ目は、僕の長年の主張である「多読・多聴」だけで英検一級は合格できるのか?!についてです。

リスニング・リーディング

この5年間多読多調を続けた結果、リスニング・リーディングは共に合格ラインを上回っていました。全くの無対策(かつ体調不良)にもかかわらずです。

これは正直嬉しかったですし、Listening・Readingが共に『C1』となっていたのを見たときは、自分の取り組みが決して無駄ではなかったと確信できた瞬間でした。

ただ、やはり懸念事項だった「ライティング」が合否の分かれ目となりました。この辺りの消息については以下の拙記事をお読みいただけると幸いです。

ライティング

ライティングについては全く練習することができないまま本番を迎えることになってしまったのは上の記事の中にある通りです(他のこともできませんでしたが、まだ多読多聴をしてたので)。

これはポジティブな見方をすれば、ネイティブ向けの洋書の多読・多聴を続けた結果、全くライティングをしなかったにも関わらず、ほぼ合格点に近いレベルの一級向け英文エッセイを書けるようになっていた、という事実を証明してくれているとも言えます。

総合的な試験結果は残念でしたが、5年間の多読・多聴の効果は大きかったようです。

単語対策

単語に関しては、多読をより楽しくかつ有意義なものにするために、英検一級合格後もずっと続けていました。

具体的には当時使っていた『出る順パス単英検一級』(旺文社)を多分すでに100周以上は回しているとおもいます。おかげさまで、今はどんな本を読んでもあまり知らない単語には出会いません。

しかしながら、「試験の形式」での学習を疎かにした結果、大問1で3つもケアレスミスをしてしまうという結果になりました。

落ち着いて取り組むことができていれば大問1はほぼ全問正解できたはずなのに、なんとここで4問も落としてしまったのでした。

ここでは試験対策の大切さを痛感しました。長文リーディング、リスニングはなんとか対策なしで乗り切れましたけど、まさかの大問1でのみっともない大失点は完全に想定できていませんでした。

何年もパス単回しまくってるから余裕やろう!くらいに考えていました。英検®︎を舐めていた、と言われても仕方ありません。

2.洋書の「児童書」を読んでいた時の方がスコアが良かった?

二つ目は多読してきた本そのものについてです。

僕は最近英語ネイティブ向けの自己啓発系の本をたくさん読んでいますが、英語多読ついてよく言われるのは「ネイティブの子ども向けの児童書をたくさん読みなさい」というもの。

シンプルな英文を大量に読むオーセンティックな「多読」の方が英語力の伸びが早いという経験則に基づいた説で、第二言語習得論はもとより各方面の先生方に支持されています。

僕の今回のこの結果は、その主張を多かれ少なかれ裏付けるものになったようです。

というのも、僕が2019年に英検一級に一発合格した時に読んでいたのがまさに『who was〜?』シリーズなどの児童向けの書籍だったからです(たまに背伸びして難しいの読んでましたけど)。

リーディングのCSEスコアは5年前が702点・今回690点。体調その他、考慮に入れるべきファクターもあったとはいえ、大人向けの本を読んでいる現在よりも、5年前の児童書多読時代の方がスコアが良かったということを、このことは客観的に証明してくれています。

余談ですが、その5年前のセブ島語学学校勤務時代、TOEIC®︎800点オーバーの留学生さんに「おすすめの多読用の洋書を教えてほしい」と言われて児童書をお勧めしたところブチギレられるということがありました。「お前、俺を舐めてんのか?」と。

自分自身が児童書のパワフルさを実感していたが故の(そしてその語学学校のCEOの主張であったからこその)助言でしたが、どうも著しくその方の神経を逆撫でしたようでした。

今もしその方がこの記事をお読みくださっているなら(読んでないと思うけど)ぜひ、当時のご無礼をご海容いただきたいと存じています。

3.英検一級対策にポッドキャストの多聴は有効?

Podcastの多聴も2018年以降ずっと続けています。

当時は『The Daily』と『Global News Podcast』、そしてNPRの『Up First』という英語ネイティブのニュース番組を50〜60%前後くらいの理解度で毎日15分〜30分程度試聴していて、たまに違うのにチャレンジして凹む…ということを繰り返していました。

今は当時より遥かに難しいものを毎日1時間ほど聞いていますが、こちらもリーディングと同じく、当時よりも難しいものを聞いているにも関わらず逆にスコアを落とす結果となりました。

しかも、その下げ幅はリーディングより激しいものとなっています。誤差とかでは済まないレベルです(前回703点→今回663点)。

これは上記3つのPodcastが、英検一級のリスニング問題と非常に相性がいいということを示唆していると思われます。これらのポッドキャストは、内容的にもアンカーの話すスピード等についても、英検対策にとっても適しているんです。

今は英検対策を頑張ってくださっているコーチングのクライエントさんに『Up First』を聞いていただいていますが、やっぱりこれは間違いでないと確信しました。

4.体調管理と英検®︎一級と英語のハノン

もう一つリスニングで悔やまれるのが「英語のハノンをお休みしてしまっていた」ということ。忙しさのピークだった2024年12月中旬からこの2月にかけて「リスニング力UPに効果的」なハノンを全く実施することができませんでした。

1月に入ってからはそこに高熱からの体調不良で一週間近く寝込むという不運が重なり、ハノンはおろか英語を聞くことそのものができなくなっていました。

2月に入って『ハノンフレーズ編』を再開しましたが、最初の1週間は口が全く回りませんでした。今もまだ本調子には若干遠いです。

英語学習のために体を労わるわけではありませんが、質の高い学習習慣を維持するためには「体調管理」は最優先事項です。ある意味ではどんな学習参考書を使うかとか、誰について学ぶか以上に大切だと思います。

結局は英語に触れている時間がものをいう。それが英検®︎一級であり、英語学習なんだと痛感しました。

英語コーチとしてのおすすめの英検一級学習法は?

以上のことから、英検®︎一級合格を目指す方には、英語コーチとして、また一英語学習者として次の学習法をお勧めしたいと思います。

  • 『Who was〜?』シリーズなどのネイティブの小学生向けのやさしい本を計100万語くらい読む(1年くらいかけて)

  • 多読と併行して『the Daily』『Global News Podcast』または『Up First』といった英語圏のニュースを毎日最低15分、できれば30分から1時間程度多聴する。

  • インプット学習をメインにしつつ、エッセイライティング(アウトプット)の練習をする。

  • 『英語のハノン』を正しい発音で毎日実施。最低でも「初級」はコンプリートする。

  • 単語は必ず毎日学習する。併せて試験の出題形式に慣れておくと同時に、マークシートを塗る練習も行っておく。

これらの学習(?)を日課にすることで、英検一級のための英語ではなく、英検一級ホルダーにふさわしい自然な英語力を手に入れることができるはずです。

あと、冬の受験(各年度第3回の英検®︎)は、体調管理とスケジュール管理の観点からなるべく避けた方がいいかもしれません(年末年始は色々大変なので学習の質が下がりがち)。

結論:日々英語に触れ続ける人が、英検®︎一級を制覇できる

結局、英検一級は「毎日然るべき英語に触れている」人のみが合格できる資格なんだと思いました。これが結論です。

毎日然るべき英語を聞いて、読む(そしてできれば「書く」)という日々の積み重ねがあった上で試験対策をすることで、より合格に近づくことができるんだ、と。

逆に試験のための対策だけをやっていても、おそらくは合格にはなかなか近づくことはできないと思います。地の英語力がついてこないからです。そこが準一級以下と一級を分ける大きな分水嶺でしょう。

それはつまり、英語に対する向き合い方の問題だと思います。

日々英語と仲良くお付き合いできているかどうか。それがきっと、英検一級合格者の称号を得るために最も大切なことなんじゃないか?そんなふうに思います。

英語は征服するものでも、勝ち取るものでも奪うものでもありません。ただ、英語に触れている自分を楽しんで、そんな自分と同じように英語そのものを楽しむこと。「英語やってると楽しいなぁ」とか、「英語ができて良かったなぁ」と思えるような瞬間を少しでもたくさん積み上げていけること。

そのことが、この難関資格試験を突破するために必要なマインドセットであり、合格の条件だと思います。

時日5年前の僕は英語が楽しくて仕方ありませんでした。あんまり楽しすぎたので、働くあてもないまま最も英語ができるノンネイティブの国の一つであるフィリピンに移住したくらいです。

だから、英語を苦痛であるとか辛いと思ったことは一度もありませんでした。あの時の一発合格は、そんな僕に神様が与えてくれたプレゼントだったに違いない。

いまこうして英語を生業としている自分が受け取ることになった不合格という結果を見ながら、そんなことを強く考えたのでした。

(終わり)

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Ken Sugihara
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