旅立ちと飛行機
懐かシリーズ34
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飛行機は苦手だ。
あの離陸する瞬間は何度体験しても慣れない。
滑走路ですれ違いざまに前の飛行機が離陸していく様子をみると、次は自分の番だとドキドキする。
加速するまで、滑走路内をウロウロする時間も苦痛だ。
飛ぶなら早く飛んでくれ、と願う私と裏腹に飛行機はマイペースに滑走路を歩く。
なんでこんなにも飛行機が苦手なのだろうか。
地面から機体が浮かび上がる前の猛烈なエンジン音。
それは、地震の前の地響きに似ている。
加速時は、「おお、早いなあ」くらいの余裕を感じれるのだが、超スピードから鬼スピードへ加速する時、やっと奴の本気を知る。
もう、すごいとか言ってられない。
思わず口を結んでぐっと機体が浮かび上がるのを耐えるのみ。
隣の席に人が座っていなかったら、両手で耳を塞ぎたい。
3月中旬。
成田空港から片道2時間〜3時間半で辿り着く那覇空港。
私は、人生で一度も沖縄に行ったことがない沖縄に無事に上陸していた。
「私も透き通る海を見てみたい!よし、沖縄に行こう!」
と思いたち、すぐ格安の往復航空券をネットで購入したのが2週間前。
その時は、宿や訪れる場所も何も決めていなかった。
とりあえず沖縄行って、地元の人と仲良くなりたい!自分が行きたいと思うところに住んでいる人とはきっとなんかある!と確信していた私は対して不安にもならず、沖縄へ行った。
沖縄といえば首里城と美ら海水族館の2つしか知らなかったが、旅の1週間前とかから事前に観光地を探したりはしなかった。
現地についてから地元の民に聞いたり、朝起きてググったりする方が、よりリアルタイムで自分の欲望に合わせた場所をチョイスできるから良いだろうと思った。
那覇空港への到着予定時刻が18時半だったので、飛行機に乗る前に国際通りの近くにある格安ゲストハウスを予約した。
宿泊料は、ポイント分を差し引いて300円。
とっても安い。
友達と観光旅行で沖縄に訪れるわけでもないので自分が住めれば良い。
今回は、人生で初めての完全なる一人旅だ。
なのでこの度は私の価値観が全て反映される。
旅の価値観は簡単にいうと衣・食・住だと思う。
今回は貧乏旅なので、衣と住を安く済ませ少しでも食を満喫しようとした。
私は、畳でも寝れるので住である宿は屋根があれば良いとするレベルが選考基準だったし、服も今着ている服しかなかった。
命とお金と携帯さえあれば現地調達できる。
よくありがちで私がもったいないと思うのが、せっかく持ってきたのに使わない物たちで荷物が重くなることだ。
備えあれば憂いなしという言葉の通り確かにそれも一理あるのだが、Tシャツを忘れたから沖縄のシーサーTシャツを買って店のおばちゃんと仲良くなった、という経験を味わえないデミリットもあることを知って欲しい。
その上で自分はどっちの方が良いか選べば良い。
荷物を極力減らして常に身軽で行動し、現地の人と仲良くなるための瞬発力を上げる。
飛行機に乗る前の私は、沖縄を始めとしてこれからの旅では一体どんな体験が待っているのか想像しなくてもワクワクした。
同じ日本だし言葉が通じるだけイージーモードだと思い、荷造りをサボっていた私は家を出発する30分前にやっとパソコンと化粧ポーチ、下着をリュックにつめて慌ただしく未知なる一人旅へ出発した。
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