旅行客
すっかりと、と表現していいものだろうか。
外国籍の旅行客を頻繁に見掛けるようになった。
電車の乗り換えに迷っている家族連れも、
大きな声で話しながら歩くカップルも、
巨大なスーツケースを引きずるようにして電車に乗り込もうとしているグループも、
みんな目的を持って進んでいる。
未だ収束しきれてはいないコロナ禍の中、自らの意志で日本の地に降り立ち、
どこへ行くのか、何をするのか、それらの原動力は惰性からくるものではないはずだ。
コロナで停滞した様々な営みが、日本は他国に比べるとゆっくりではあるが、
それでも徐々に活発になってきている。
どうか元へ戻ろうとするのではなく、新しい方へと向かうことを願わずにいられない。
今日、デパ地下で買い物をしていると、
ここでもちらほらと、これまで見掛けることのなかった人たちが買い物を楽しんでいた。
店員さんとのやりとりを楽しむかのように、ちょっとはしゃいでいる人がいたり、
店員さんの流暢な英語に真剣に耳を傾けている人がいたり。
数年前にはごく当たり前の光景が、少し新鮮に目に映る。
お菓子売り場でのこと。
長身の外国籍の男性が買い物をしていた。
商品を受け取るときに、「アリガトーゴザイマスー」と大きな声で言っていた。
そのすぐ後に改めて「Thank You」も忘れない。
伝えたいという気持ちが溢れている。
一度は外れてしまったピースが、またきれいにはまっていく。
目からも、耳からも、溢れ出る「なんかいいな」が買い物をもっと楽しいものにしてくれる。
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