ゆらゆら、とんとん、うとうと
朝からずっと雨が降っている。
すっかり葉を茂らせた窓の外の木々には絶えず雨が当たり、葉についた雨水が垂れて下の葉に落ちては揺らしている。
焦点を定めずに窓の外を大きな絵として眺めていると、あちこちの葉が上下に揺れているのが微笑ましい。
外は寒いのだろうか。
それとも蒸すのだろうか。
家の中にいると全くわからない。
今夜までは間に合うが、明日の昼はなんとか、夜はぎりぎりな程度の食材しか冷蔵庫に入っていない。
今日はスーパーへ買い出しに行くつもりでいたが、午後になっても行く気が全く湧いてこないでいる。
マンションの同じ階でリフォーム工事が行われている。
とんとん叩く音や、ぎーぎー電動で切る音が聞こえてくる。
雨の日はその音はより鮮明で、そしてまたそれ程不快な音には感じない。
とんとんという音はむしろ心地いい程だ。
目には葉が揺れる光景が、耳にはこもったよく響くとんとんの音が入ってくる。
外は薄暗く、そして静かだ。
こうして紙の上をペンが走る音さえもがいつも以上に心地よく響き、私のまぶたは自然と重くなってくる。
うとうと、うとうと。
春のせいにしてこのまま眠ってしまおうか。
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