ギャップな店員さん

買い出しにスーパーへ行くとき
お腹が空いた状態で出かけてしまうと
つい余計なものまで買ってしまって
合計金額が想像よりも
ちょいとオーバーすることが多い。

今日は大丈夫と出かけたのに
店へ着いた頃には
おやつにちょうどいい時間帯になっていた。
食材を求めて来たものの、
目に映るのはお菓子やらなにやらばかりで
うっかり手を伸ばしてしまう自分がいた。

今日明日の分さえ買えばいいと思っていたのだが
連休明けに台風がという話もあることから
多少買い込むことにして
結局数日分の食料をカゴの中に入れていた。
(もちろん目移りしたお菓子も含んでいる)

並んだレジは混んではおらず
すぐに順番が回って来そうだ。
直前の人のレジ打ちが終わり、
自分が前へ進むかを見計らっていると
そのレジの店員さんが空になったカゴを
まるで投げるかのように
乱暴に扱う姿を見てしまった。

——嫌なレジに並んじゃったな
即座に後悔したものの
そのまま高身長でまだ若い店員さんの前へと進んだ。

全く期待せず、
むしろ乱暴にされるだろうと思っていたのに
期待を裏切りとても丁寧な人だった。
一つ一つの商品を大切に扱ってくれるし
スキャン後のカゴへの詰め方を確認してくれたり
ポイントカードの有無も優しい口調だった。
醸し出すオーラはひどく印象の良くないものなのに
対応してもらうと驚くほどの丁寧さ。

これが堕ちてしまう程の
ギャップというやつかと衝撃を受けつつ、
お節介ながらももう少し
印象をよくした方がいいよと思ってしまう。

サービスとは
ただやればいいのではなくて
質に対しても技術を要するし
才能が必要と考えている。
正しく評価されていないのではと
彼の働きぶりが心配になってしまった。
ほんの数分のやり取りの中で
ここまで気持ちよく
サービスを提供してくれるのに
無念さが残る人だった。
若さがそれをさせるのかなんなのか…。

自身が気付いたとき
きっと彼は無敵だろう。
いいなぁ、未来が輝いていて。
なんとなくもう二度と
会うこともないだろうなという直感のもと、
それでもエールを送りたいと思える好青年だった。