グランマ・モーゼス展
グランマ・モーゼス展へ行ってきた。
予定ではポンペイ展へ行くはずだったのだが
直前にネットニュースでグランマ・モーゼスの展覧会を知り、
開催期間が2/27までということでポンペイ展を来月に回して、こちらを優先して行ってきた。
会場の世田谷美術館は少し行きにくい。
砧公園の中にあって
向かっている最中にはとても心地の良い気分になれるのだけど、
駅直結の国立新美術館や、駅前に上野公園が広がる上野美術館に比べてしまうと、思いつきでどうも行けない場所というイメージだ。
それであっても今回はどうしても見ておきたいと思ったからかなり勢いだけで出かけた感じだったが、無事見ることができてよかった。
チケットの事前予約もせずに出かけて現地で購入する。
それほど混んでいないだろうと高を括っていたが大外れで会場は大変賑わっていた。
私はグランマ・モーゼスという女性を知らない。
展覧会のチラシによれば、70歳で本格的に絵を始め、80歳で初めての個展を開催した人らしい。
チラシの載っていた素朴な自然豊かな風景に惹かれて、これは見ておかねばと思った次第だ。
絵の細部を見れば、そりゃ世界的有名な大画家とは全く異なるものだ。
遠くで見たり、近くで見たり。
上手いのか上手くないのかよくわからない部分があったとしても、
もっと丁寧に描いてはどうかと素人丸出しな感想を抱くものがあったとしても、
絵の全体を見たときに受ける印象は、温かくて、どこにでもありそうに思わせる自然体で、身近に感じさせるものだった。
80代から100歳までの絵が多く、その中でも86、7歳頃の絵が素晴らしかった。
70代から徐々に上がっていく技術と、熟した80代後半と、90代、そして100歳の絵で年齢によるものと思われる衰えを感じたとしても
元よりあるすごみというか、私はここというような存在感は消えてはいなかった。
元々農婦で自然の中で生きてきた人だそうだ。
一面雪で真っ白な中に、空の透き通るような青さがきれいだった。
緑の季節には柵で区切られた田畑のコントラストが印象的で、
遠くにある山々のグラデーション、手前は濃い深い緑、
ひとつ奥は黄緑、一番奥は空に溶けてしまいそうなごく薄い緑で表され、
自然の奥深さが表現されていた。
空の青と海と青との間には、薄いピンクやオレンジが差し込まれていて、
それは朝だったり夕方だったり伺うことができる。
これが自然中で暮らしてきた人の世界なのかと、都会で生まれ育っている自分には到底描くことができないものだと羨ましさを覚えた。
年齢なんて関係ない。
始めるのは遅いなんてことはない。
まさに体現している人生。
絵を描き上げる情熱が年齢とともに消えることなく、
形にしていけることに勇気づけられた。
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