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クリスマスパーティー前日

パスタとケーキの店の前で、サンタがケーキを売っていた。
隣を歩く子どもに「みんなのプレゼントを買うためにサンタがバイトしているよ」と言うと、
睨みつけられて「本当に?」と嫌そうな声が返ってきた。
不謹慎でしたと表面上の反省をしつつ、目前のクリスマスを早く押し出そうとするかのように
正月が後ろから存在感を出している街を楽しんでいた。

明日のイブには家族揃って自宅でパーティーを開くつもりでいる。
オードブルに出来合いのテリーヌと、買ってきたローストビーフと、茹でたブロッコリー、細くスライサーで切った人参をオリーブオイルとガーリックと塩で味付けしたものを出し、
子どもには冷凍のパイシチューを温めて出して、大人はワインを傾けながら適当につまみ、
メインは鶏の骨つきもも肉を焼いたものを出す。
頭の中では素敵なパーティープレートが仕上がっているが、どれも買ってきたものを温めて出す、焼いて出す、程度なので大したこともない。
形が重要なのだ。雰囲気が。
ナイフとフォークを持って、Amazon Musicで「Alexa、クリスマスの曲を流して」と言うだけでいつもの夕食はパーティーへと一変する。
パーティーの前には無駄にクラッカーでも鳴らすかと自宅の在庫を探せば、子ども二人分だけ残っていたからそれでよしとした。

今日はスーパーへクリスマスパーティー用の買い出しへ出かけた。
メインの鶏肉を買う。
レンジで5分程度熱を通してからフライパンで焼き、付属のソースをかけて煮詰めれば完成らしい。
楽に手作り感が出ていい感じだ。
この一年スーパーで貯めたポイントで箱入りのスパークリングワインを買った。
箱入りなんて恐れ多く滅多に手に取ることはない。
初めて飲む銘柄だが、箱に入っているだけで美味しいはずだと思える自分が単純でこれもまた楽だ。

子どもは明日はクリスマス、明後日起きたらクリスマスプレゼントとはしゃいでいる。
私もパーティーだ、ワインだと同じくはしゃいでいる。
クリスマス用品だけでマイバッグがいっぱいになり、入りきらなかった中位サイズの鏡餅をそのまま手に持って、家路へとついた。

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大須絵里子
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