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ハイブランドに相対する私のカラーペン
「明日ママは築地に買い物に行くからね。○ちゃんは留守番してるでしょ?」
「うん。家に居る」
目の前を歩く親子の会話。
クリスマスが終わったことだし、いい加減正月用の食材を買わなくてはと買い出しに出掛けた。
冬休みが始まって街に人は多く出ていたが、スーパーはそれほどでもない。
みんな築地に行っているのかもしれない。
カフェに入り、休憩をする。
プールのレッスンの帰りらしく、頭にタオルキャップをかぶった女の子がやってきた。
母親がしばらくしてサンドイッチとジュースを持って来る。
背もたれにMaxMaraのコートを掛け、膝にはエルメスのバッグを抱えて、サンドイッチを頬張る女の子を見つめていた。
いつもの八百屋で金時人参と、八つ頭の代わりに里芋を買う。
みかんと柿とバナナは自分の朝食用だ。
エルメスではなく、変哲のないエコバッグに野菜を入れてもらう。
年末がやってきて、街が急に浮ついたように思う。
なんだか私だけ取り残されたような気がして、いつもの動きやすい身なりでいつもの店へ出掛けても、ちっとも気持ちは浮ついてはこない。
文房具屋へ寄って、新しいカラーペンを数本買って、私はそれだけで満ち足る。
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