春はもうすぐだけど

日が暮れるのが遅くなったなと感じて、
桜の開花は、なんて話題を耳にしたりして、
着々と春が近づいている気配がする。
この週末は暖かい陽気になるそうで、
まだ２月なのにと少し戸惑う気持ちもあったりする。

春を感じつつも、それでも今日は風が冷たい日だった。
駅で、バス停で、びゅーびゅーと吹く風は、
地面に跳ね返って下から自分にぶつかって来るように感じた。

そんな中、駅で背の高い若い女の子とすれ違った。
ファストファッションであることが一目でわかる、
今っぽい女の子だったのだけど、
綿素材のぺらぺらのシャツと、
その上に同じ素材のカーディガンを羽織っただけで、
上着を着ていなかった。
それだけでも薄着で寒そうなのに、
一番の特徴は、シャツの丈が非常に短く、
お腹が、おへそが出ているファッションだったということ。

昔、「お洒落は我慢だ」と聞いたことがある。
誰の小説だったか忘れたが、女流作家の物語に登場する男女が、
寒い日に暖かい格好をすることに好感が持てると言っている場面があった。
どっちが正解なのかはわからないが、
我慢にしてもそれはやりすぎだろうというあまりの寒々しいその姿に、
母親目線で心配になってしまう。

そういえば先日デパートへ洋服を買いに出掛けてきた。
今着られる服が安くなっていればいいななんて甘い考えで行ってみれば、
もう９割が春物だった。
コートを着て、マフラーをぐるぐる巻いて服を見て回る私に、
どうして春のファッションを想像できるだろうか。

春は近づいているけど、私の体はまだまだ冬仕様のままだ。
春の支度などほど遠く、春が来たらいいなと思うだけで、
ぬくぬくと布団にくるまるかのように冬の中で過ごしている。