お弁当事情
ネットには素敵なお弁当の写真が溢れている。
すごいなぁ、素敵だなぁと眺めるが、できる気もせず、試してみたことがない。
実際の所、私の作るお弁当は非常にシンプルで、冷凍食品もふんだんに使ったものだ。
時間や手間を極力省いていたらこういうスタイルに辿り着いた。
子どもがまだ幼稚園の頃には、キャラ弁という響きが気になりはしたものの、通わせていた幼稚園がキャラ弁NGだったこともあって手を出すことはなかった。
それでも冷凍食品や出来合いのものは使わずに、全て手作りのものを詰めていた時代だった。
何かに取り憑かれたかのように、手作り信仰を実践しては、自分で自分を苦しめていたように今は思う。
なぜなら私はあの頃、毎朝「料理」をしていた。
今のように、前の日に作っておいたものを温め直して入れるだけだではない。
数年前に観たマツコの知らない世界で、冷凍食品についての回があった。
冷凍食品には保存料や添加物がたくさん入っている印象を払拭し、また現代の冷凍技術の素晴らしさを知った番組だった。
冷凍食品に対する印象が変わり、試してみてもいいかもと意識が変わったものの、結局手を出す勇気は出なかった。
しかし食の細い我が子が成長し、一気に状況が変わることとなった。
幼少期のようにのんびりとお弁当を食べるわけにもいかないらしく、時間内に食べられるものとなると種類が限られてしまう。
また手作りのものは汁が出る、油物はぎとっとするなど、不都合な部分が目立つようになり、お弁当を食べられない日が続きもした。
私の役目は子どもがつつがなく学校生活を送れるようにサポートすることであって、理想のお弁当を押しつけることではない。
そこで私は一気に方向転換して冷凍食品をためらわずに入れるようになった。
冷凍食品は汁が出ないし、さくっとしている。
そうした色んな種類のおかずを少しずつ入れて、食べられるものを増やしていく。
量も少しずつ増やしていく。
これが功を奏し、ようやく今のスタイルができあがった。
素敵なお弁当は見ていてとても楽しく、芸術的だ。
たまにこれでいいのかと迷ってしまう時があるのは正直な気持ちだけれど、それでも今我が家で求められているお弁当は巷とは真逆のものなのだ。
私はまだしばらく、このままのスタイルで作り続けていく。
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