SDGs×日本 - 日本のSDGs取り組みの課題-
国別のSDGs達成度合いを図る指標として、SDSNなどが発行する「Sustainable Development Report」がありますが、こちらの最新版となる2020年版は昨年6/30に発行されました。
日本はSDGs達成度で17位という結果で、2019年比でポイントは0.2上昇しましたが、順位は15位からランクダウンする結果でした。
項目別にみると目標5(ジェンダー平等を実現しよう)、13(気候変動に具体的な対策を)、14(海の豊かさを守ろう)が停滞(Stagnating)と位置付けられ、目標10(人や国の不平等をなくそう)に至っては後退(Decreasing)と位置付けられています。
ここまでは動画やニュースなどでも報じているところが多く、皆さんも目にしたことがあるのではないかと思うのですが、「停滞」、「後退」といわれても、そこそこの水準には達しているが停滞しているのか、低い水準のまま停滞しているのか、または高い水準からの後退なのか、低い水準からの更なる後退なのかが分かりづらいかと思いますので、別の角度でも各項目を見てみたいと思います。
こちらは各目標ごとの平均的な実績を示したものですが、75を境界点として定めると、目標5(ジェンダー平等を実現しよう)、12(つくる責任 つかう責任)、14(海の豊かさを守ろう)、15(陸の豊かさも守ろう)、17(パートナーシップで目標を達成しよう)が境界点を下回っています。
傾向(推移)と実績を総合してみると、目標5(ジェンダー平等を実現しよう)と14(海の豊かさを守ろう)が大きな課題と言ってよさそうです。
目標5に関しては、企業での役員や政治の世界での女性の比率が他の国と比べて低いことは様々なメディアで取り上げられているので、ここで詳細は割愛しますが、個人的にはその対策として言われる「女性登用率○○%」という言葉が好きではありません。
というのも、この言葉自体が男性からの目線ですし、この目標を定めてしまうと仮にあと1人役員もしくは議員を登用すれば、同目標が達成される、という時に公平な登用が行われるでしょうか?
残り一枠となったところで、候補として男性側には非常に優秀な人材、女性側には平均的な人材がいたとしたら、目標達成のために女性側が採用されるのでしょうか?また、逆のことも言え、今年度はもう目標達成しているから、男性の方で良いだろう、という旧思考が働かないでしょうか?
「女性登用率○○%」なんて目標を掲げるくらいなら、「性別も人種も年齢も実績も関係なく登用します」という目標を掲げれば、それでよい気がします。
本題とはずれていってしまったので戻します。
一方で、世界的に見てもジェンダー平等の達成はまだまだ課題が多そうです。
こちら緑が目標達成、黄色が課題が残っている、オレンジが重大な課題が残っている、赤色が主要な課題が主要な課題が残っている(課題が山積み)、灰色は測定不能という位置づけなのですが、緑、すなわち目標を達成しているのは、ノルウェー、スウェーデン、ナミビアの3か国しかありません。
2番目に良い、黄色に関しても少数派です。これにはLGBTなどの課題もありますので、各国においてもまだまだ解決すべき問題はあるのかもしれません。
次に目標14(海の豊かさを守ろう)ですが、こちらはちょっとイメージが付かないので、詳細を見てみたいともいます。
同レポートは各目標ごとにどういった点を評価しているか、というのが国別にみられるのですが、日本の評価ももちろん公表されているので、こちらで何が問題点とされているのか、というのを見てみたいと思います。
こちらによると目標14の評価ポイントは以下になるようです。
赤マークもしくは後退(↓)がついている各項目は以下通りです。
〇 Fish caught from overexploited or collapsed stocks
〇 Marine biodiversity threats embodied in imports
〇 Ocean Health Index: Clean Waters score
〇 Fish caught by trawling
乱獲や輸入魚、トロール漁などの問題と海の品質、汚染度合いなどが問題視されているようです。
前半部分は2021年度からの改正漁業法で、個別割り当て方式になるとのことで緩和されていくのかもしれませんが、後半の海の品質や汚染度合いなどは海洋国として真に向き合っていくべき問題かと思います。
すぐに思い浮かぶのは、海洋プラスチックなどの問題ですが、この辺は別の機会に掘り下げてみたいと思います。
ちなみに、この目標14は世界を見渡しても目標達成(=青色表示)の国はありません。
同目標は世界共通の問題としてまだまだ課題が残っているようです。
その他本文内で課題としてあがった、目標10(人や国の不平等をなくそう)、12(つくる責任 つかう責任)、13(気候変動に具体的な対策を)、14(海の豊かさを守ろう)、15(陸の豊かさも守ろう)、17(パートナーシップで目標を達成しよう)に関しては、目標17など、日本は「和を以て貴しとなす」が根付いているので、得意なところかと思っていたので、意外な結果でしたが、どうも国民総所得(GNI)に占める政府開発援助(ODA)の額の評価が低いようです。
これらに関しては、別に機会で掘り下げてみたいと思いますが、目標14の説明で紹介した、日本の詳細ページでどういった項目がどういった評価をされたのか、を見ることはできますので、ご興味ある方は確認してみいただければと思います。
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