陰嚢(いんのう)湿疹と戦った男の話【第6話】~皮膚科へ~
男性の5人に一人がなるといわれる「いんのう湿疹」。
陰嚢湿疹を患ってしまった私が、男としての困難を乗り越え、無事完治した話を何話かに分けて綴りたいと思います。
陰嚢(いんのう)湿疹に悩む方への参考になれば幸いです。
(「第5話~悪化~」はこちらを)
「カユミ→掻きむしる→薬→ガチガチ→カユミ」
このサイクルが続き、症状はいよいよ進みました。
ガチガチ時に訪れるカユ美は、次第に強い痛みを伴うようになりました。
痛みはヒリヒリからズキズキへ。
そしてズキン!へ。
こうなると仕事にもまったく集中できません。
座り仕事なので常に「袋」が椅子とお尻とフトモモで圧迫されている状態。
(この状態も、いんのう湿疹の原因かもしれません…圧がかかることと、蒸れること)
袋に痛みが走ると、思わずのけ反るほどで
「うっ…!」と短い声すら出そうになります。
トイレに駆け込んでは、応急対策の薬を塗る。
しかしそれも短時間しか持続せず…。
ついに病院へ
私は大きな決断をしました。
これまでずっと悩んでいたのですが、ついに皮膚科で診療してもらう決断を。
場所が場所だけに、やはり抵抗があったし、
なんとか市販薬で治せないものかと粘りましたが、ここまで症状が進んでしまってはもう無理です。
ついに仕事終わりに皮膚科の扉を叩きます。
幸い、夜の皮膚科は空いていました。
ここで、私のように陰嚢湿疹で皮膚科を受診される方へ、ワンポイントアドバイスを。
問診表には「オマタがかゆい」とか「玉袋がかゆい」などと短絡的に書いてはいけません。
受付の人に、性病やインキンタムシと思われないようにする注意が必要です。
スマホで調べて、漢字でしっかりと、医学的に
「陰嚢部の痛みを伴う痒み、等」
と書きましょう。
先生は自分と同年代の男性でした。
症状を伝えると、慣れた口調で、
「下着を脱いで、そこに寝てください」と。
そして医療用の薄いゴム手袋をパチンと装着すると
私の玉袋を持ち上げたり、横に押したりしながら観察します。
これまでの人生で、男性にこんなに間近で袋を見られるのは初めてです。
なんとも居心地の悪い時が流れます。
「おそらく慢性湿疹ですが、念のため白癬菌(はくせんきん)の検査をしておきましょう」
と、いうと片手でピンセットを持ち、もう片方の手で袋を抑えつけ、
袋表面の細胞をつまみとります。
これが痛い。
毛を抜いているのかと思いましたが、袋の皮膚の表面にある、ブツブツとした突起などをむしり取っているのです。
それも数か所。
白癬菌がいると、それはまた違う皮膚病なので、大変なことらしいですが、
検査結果は問題ありませんでした。
自己診断通り、菌ではなく、晴れて「湿疹」だということが証明されました。
薬で2週間経過を見ることになりました。
処方されたのは「リンデロン」。
炎症を抑える合成副腎皮質ホルモン剤(ステロイド)と抗菌作用のある抗生物質の配合剤で、皮膚のかゆみ、赤み、はれなどの症状を改善する、皮膚編の代表的な薬です。
病院を出た私は、なんとも清々しい気持ちでした。
これでやっとあの忌々しい「いんのう湿疹」から解放される。
見える世界が全て生まれ変わったかのような気分。
最初からさっさと病院に来ればよかった…。
家に帰る時間も惜しく、すぐさま車の中で塗り込みました。
しかし、その後、私は知ることになります。
カユ美の本当の恐ろしさを…。
(つづく)
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