野洲のおっさん「子ども塾」レポート 5/30(木)「不足が人を育てる」
今週は、5年生5人、4年生2人、3年生1人、2年生4人、1年生1人の合計13人が来てくれました。
「不足が人を育てる」は私の教育観の柱です。
恵まれた環境にあることはモチロン結構なことですが、一方で不足、不自由があることも大切です。
不足を受け入れることが人間の器を大きくし、不足を補うことで工夫する知恵が育まれ、不足を克服することで自信が生まれます。
そもそも教育は「自律し自立する人になる」ということが目標で、自律と自立は不足によって育つので、不足は教育に不可欠だと言えます。
モチロン、子どもに不足を与えないようにしようと思うのは親や先生の愛情であり、尊くありがたいものであることは言うまでもありません。が、一方で不足を与えないことに囚われ過ぎると親も子も窮屈になり、本来の教育の目標からずれてしまうこともあります。
子どもに不足を与えないように努力する。が、それでも起こる不足は、子にとって貴重な成長のチャンスと捉える、というのがちょうどいい塩梅かと思います。
さて、その不足が、今週の子ども塾にやって来ました。
他でもない私が、仕事が長引いて、子ども塾に戻る時間が大幅に遅れてしまったのです。
元々遅れる可能性があると分かっていたので、机の配置やパソコンの準備お菓子やおにぎりは所定の場所にセットして仕事に出発しました。
仕事から大急ぎで子ども塾に戻ったのは、午後3時50分でした。
子ども塾は4時30分開始ですが、毎週何人かは3時30分くらいから来てくれます。ただ、お菓子やおにぎりは4時までは食べてはいけないというルールになっています。
最初は4時30分まで食べてはいけないということにしていましたが、私がジャイアンと呼んでいる5年生の子とその仲間が「お腹がすいた!」と何度も言うので、「ここは子ども食堂も兼ねているのだから、食べさせてもいいかな。」とだんだん思うようになって30分時間を早めて4時解禁としました。
その時、実はジャイアンは「3時半からでええやん!」と強く3時半解禁を主張していて、やっとこさで4時解禁で決着したのですが、「ケチやなぁ!」と最後まで不満そうでした。
私が3時50分に愛知川の仕事から子ども塾に戻った時、ジャイアン一人だけが教室にいました。
ヤバい!
ジャイアン一人はちょっとヤバい!
いつもは、3時30分過ぎから5年生が4人か5人来てくれて、その中には、ジャイアンにも文句を言う女の子もいるので、うまく行けば、子どもらのパワーバランスで秩序が保たれているかもしれないという希望を持っていました。
それが、選りによってジャイアン一人!
これはヤバい!
ジャイアンは、ほんの数週間前に、空のリュックにお菓子をいっぱい詰めて半分くらい持って帰ろうとした張本人です。
慌てて私が教室に入り「ただいま!」と言うと、ニヤッと笑ったジャイアンが振り返って「遅いやん。」
「ごめん。ごめん。仕事やってん。」
「ふーん。どこ?」
「愛知川行っててん。」
「ふーん。」
お菓子を見ると、見た感じは減った風ではありません。
あれっ、食べてないのかな?とまじまじと見ていると、
別の5年生の男の子がやって来ました。
その子は「こんにちは!」と挨拶しそこそこに、お菓子のトレイに突進して、いくつかお菓子を取ろうとしました。
「まだ2分ある!」とジャイアンの声。
その子がビクッとしてお菓子をトレイに戻すと、ジャイアンはニヤッと笑って、机に向き直って鉛筆を動かしています。
えっ、今気づいたけど、ジャイアン宿題してるんちゃう。
ナント!ジャイアンは、一人でお菓子も食べずに宿題をしていたのでした。
ジャイアンやるやん!
そう思っていると、4時ピッタリにジャイアンは宿題を止めて、お菓子を取りに行き、その後はずっとYoutubeをかなりの音量で観て、5時前に低学年の子が増えてごった返し始めた教室から、「一番最初に来たので一番最初に帰る」と言って帰って行きました。