一億総活躍社会は危ない?働かないアリが集団の絶滅を救うとは?

こんにちは、サカモトです。

安倍総理が掲げる政策の一つである、「一億総活躍社会」
担当大臣まで、設定され走り出しています。

そんな中、「働かないアリが一定の割合で存在する必要がある」との研究結果が発表されました。

みんなが、働いたほうがいいのか?働かない人がいるほうがいいのか?
そこのところを、苫米地博士が解説していますので、掲載したいと思います。(出典:2016年2月18日 バラいろダンディより)


「まあ、元々、結論は、言われている通り『全員が働く社会は滅亡する』ということですよね。あと、不妊であるということが意外と重要なんですけども。

不妊の集団があるのと、働かない集団があるってことが重要です。
これ、元々は、最初にアリゾナ大学の論文があったんですよね。

その論文は、実際のアリを見て研究した結論なんですけども、それの中で、実際に常に一定の割合で働かないアリいることが分かったんですよね。

で、それで北海道大学の先生達も同じように生物学やっているんですけども実際にコンピュータでシミュレーションしてみたんですよね。アリの生態を。

そしたら、こういう結論が出たっていうので、それもアメリカのネイチャーの立派な論文として16日、採択されたばっかり。それで、ニュースになったんだと思うんですけども。

で、簡単に言うと、不妊であるってことは自分の遺伝子ではなくって
集団の存続のために働く階層が存在しているってことですよね。働きアリなんかまさにそうですけども、

『常に働かない階層が存在している。』

ということが、重要だっていうことがこの研究の成果なんですけども。で、そのために一つ、その真社会性生物っていう言い方をされるんですけども。

どういうものかっていうので、ハチとかアリとかシロアリとかアブラムシ
ですよね。あと、カブトムシの一部とか、虫の場合はその、Social Insects、社会性昆虫って言いますけど、エビとかねずみなど、そういったものも一部にはいます。

で、これどうやって定義されるかというと、まず階層的な社会構造ですよね女王蜂がいて、働き蜂がいてみたいな。

で、そういった階層性と同時に共同して、子供を育てる。そういうことを、やっている。

で、さらに不妊個体ですよね。働き蜂のような。そういったものが
必ず存在していて、それらが自分以外の子供を作らないわけですから
その個体の繁殖をお手伝いするっていう。

そういった、システムで成り立っている。さらに複数の世代が同居している。こういった、生物を『真社会性生物』って言うんですけども。

これがずっと、最近、生物学では定義され研究テーマになっているんですけども。

で、じゃあそういった中で、どうやって『働かないアリが生まれるのか』っていうのを、コンピュータシミュレーションでやったんですけども、閾値(しきいち)ですよね。

例えば、部屋が汚れている。そうすると、どのくらいの汚れで、掃除したくなるかっていうのは人によって違いますよね。

そうすると、そのどのくらいでっていうレベルが閾値って言いますね。

で、その閾値が違う人の集団がいっぱいいると、そうすると例えば
閾値が低い人はすぐに掃除するわけです。

ある程度高い人はあんまり掃除しないんで。そうすると、全く働かないのも出てきますよね。

ところが、急にすごく汚れて全員が、やっても足りなくなる。すると今度は閾値が変わってくるんで、働くのが出てくるっていうカラクリになりますよね。

そういった、閾値の多様性があるっていうことで、その環境に柔軟に対応できるんではないかという仮説ですよね。

で、その中でこのシミュレーションではどうやるかというと、実際にある程度動いていると、疲労して動けなくなる。

そして、とは言っても絶対にやらなければならない、24時間やり続かなければならないタスクがある。

例えば、アリの場合、シロアリなんかの場合は、卵はずっと舐めてないと、微生物でやられちゃうんで。舐めるの止めたら、すぐに腐っちゃうみたいな。

そういったタスクがある世界っていうので、実際シミュレーションしてみるわけですね。

そうすると、その結果なんですけども。ものすごい単純ですけども、不妊階層であっても遺伝子は同じであれば、別に自分の遺伝子を残せなくてもいいわけですよね。

ということで、個体が群全体のために働くというこういった要因がちゃんと出てくる。そして、そういった意味では不妊性そのものも役に立っているっていうことですよね。

で、それと短期的な生産性は全員が一斉に働いた方がいいことなんですけども、長期的に種が絶滅しないためには、全員が疲労して止まっている瞬間があったならば、卵が死んじゃうわけですから。

そういった意味では、『全く働かない集団がいる。階層がいるってことが、その種というか群ですよね、塊全体の存続のためには極めて重要だ』というのが、そのシミュレーションで分かってきたんですよね。

で、我々、これ見ると、神経回路だったり、人間だったり、我々は、超並列人工知能などでこういったシミュレーションずっとやってきているんですけども、そのときこの閾値っていうのは、このS字曲線を取るんで、シグモイド関数っていうんですけども、必ず、生物っていうのは、こういった閾値を取って反応するわけです。

ということは、シグモイド関数掛ける、アリだったらアリの生物の数だけの超次元的な偏微分空間の近似解を解くっていうのが我々コンピュータシミュレーションでやっていくんですけども、ただし我々が想定していなかったのは、その『疲れる』っていうのは、人工知能無いんで。

必ず、疲れることを要因に入れる。
さらに、絶対やらなきゃならないタスクというのを入れるっていうのをやると、当然こういう計算には私たちがいってもなるだろうなという風に思います。

ということで、今回は生物学の研究ですけど、これは人工知能の超並列人工知能の研究でも役に立つ。そして、もちろん人間の社会を見ていくときにも、役に立つ発想ですよ。

そういった意味では、『一億総活躍っていう考え方は、逆に真社会生物には通用しない』絶滅の道であるって思ってください。

『本当に働かない集団がいるっていうことが重要である。』

(日本も含めて、人間も一部働かない人間たちが『実は役に立っている?』の問いに)そうです。まさに、人間も明らかに真社会性生物ですね。

今の、定義でいうと、まったく働かない人間は働かないんではなく、いざ目の前に働く要因があれば働くんだけれども、自分の閾値が他の人より高いから、わざわざ働かない。

そういうことで、いつでも働けるんだけども働かない集団がいることによって種全体が滅亡から防がれているっていう重要な要因であると。

で、もちろん自分の子供ではない子孫であってもちゃんと、集団の中で子育てに参加することがある。そういった集団も絶対に必要。

仮にホームレスのような働けないような人であっても、おそらく、彼らの閾値は本当に高いんですけど本当に酸素が薄くなってきてどうしようみたいな時とかもしくは動き始めるわけですよね。

ですから、そういったものが種全体を保存していく中では、短期的な生産性、GDPマイナス1.4%をプラスにしなきゃみたいな所には、全員で一斉にやった方が良いわけですけれども。

その『全体が滅亡しないためには、そういった存在が絶対必要』だってことですよね。」

これは、現在いろいろな事情で働けない(働かない)人には非常に勇気付けられ、「自分は、社会の役に立っている」という視点が生まれるのではないでしょうか?


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