がじゅまる
「がじゅまる」
なんていい響きだろうか。
「がじゅ」に「まる」だ。
「がじゅ」の優しい力強さ
「まる」の抱きしめたくなる愛しさ
いやもしかしたら「が」「じゅまる」とか「がじゅま」「る」なのかもしれないが、
が、じゅ、ま、る
この四音、文字数にして五文字、を用いてひとつの単語に仕立てあげたられたことにゾクゾクする。
しかも、沖縄を代表する樹木性植物にぴったりの名前だ。
みんなから愛され、しかし堂々とした立ち姿を、「がじゅまる」から安易に想像出来る。
自分だったら思いつかないだろう。
変に奇を衒いすぎたりしそうだ。
がじゅまるにがじゅまるという名をつけた人物(多分沖縄の役所に務めるおじさん、がじゅまるおじさんと呼ぶ)に金一封のひとつやふたつ送っても後悔しない。
こういうふうに、響きだけでなんとなく好きなった言葉がある。
少年時代、恐竜が大好きだったころは、「ヤンチュアノサウルス」という名前に惹かれた。
それは何となく、黄土色をしていて、きっとやんちゃなんだろうなと思っていた。
「ろれつ」も好きだ。
舌が回らずに、言っていることがはっきりしない事を「ろれつが回らない」という。
舌が上手く回らない状況を指すのに、「ろれつ」には1番舌を回さなければいけない「ら行」が2個も用いられている。
ろれつが回らない、という状況を「ろれつ」自身がなんとなく表現している感じがする。
こういう話をすると、すぐに語源を調べ出す人がいる。
「「がじゅまる」は「絡まる」が訛ったんだって」とか「「ヤンチュアノ」は地名なんだって」とか「「ろれつ」は雅楽の言葉が由来なんだって」とか。
そうか、がじゅまるおじさんは結構訛りキツいねんな。