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大穢‐前編‐未解決事件簿の考察※ネタバレ注意
※本編及び初期設定資料集のネタバレがあります。ご注意ください。
大穢‐前編‐の推理考察をしました。
前編で起きた事件で未だ明かされていない謎の真相考察です。
前編で解明されていない事件簿
事件簿では謎が解明した事件の概要が記されていますが、前編を終えてもなお未解決の事件があります。
大崎の推理と犯人の供述、そのすべてが正しければ解放されるのでしょうか。すでに解放されている事件簿についても、違和感を覚える箇所があったので考察しています。
事件簿は時系列順に並んでいるものとして、黒塗りで伏せられているものは仮の題名をつけています。
?.船野殺害事件
9月23日、三回忌当日
この事件で、大崎は『汐留が船野の睡眠薬に毒を仕込んで殺害した』という推理をしました。しかし、事件簿が明かされていないということは推理に抜けがあるということです。
この事件において必要不可欠な情報は、犯行に使われた毒です。
船野は普段から心労により睡眠薬を常用しており、これが犯行に利用されました。
船野の罪状を持っていた汐留は、自分の罪状を持っているのは船野だと思い込んで、あらかじめ持ち込んでいた毒入りの錠剤で殺害しようと企み、レコードによる脅しを行います。
レコードを持ち込んだ犯人が汐留であることは事件簿からも明らかになっています。しかし、毒殺を行ったのが汐留だという推理は、汐留が指摘しているように「憶測」でしかありません。
では、いったい誰がどのようにして毒殺を実行したのでしょうか。
2.謎のレコード異音事件は船野殺害と別件で記されています。
このことから、汐留以外に犯人がいる可能性を考えます。
有明の動向
三回忌当日、大崎は真夜中に奇妙なことがあったと言います。
そして朝、有明に質問をします。
真夜中、
パチ、パチと、
変な音が聞こえたんだ。
「おかしな音を聞いたんです。
おそらく二階……多分、有明さんの部屋から」
有明の部屋からしたという異音。
有明はこの質問に対して何も知らないと返しましたが、ここで違和感を覚えます。
船野の死後、使用人部屋で汐留を追求する際に、大崎はこう言いました。
「既存の錠剤を割り、中にヒ素または青酸カリを仕込む。
カゼインでつなぎ合わせればそっくりに装えます」
大崎が聞いたパチパチという音は、錠剤を割る音だったのではないでしょうか。
電話破壊の検証の際に判明しますが、この日有明は深夜2時まで起きていたと証言しています。
有明が睡眠剤を所持している可能性を示すものは、彼の素性にあります。
有明は「死にたい」とする人に手を差し伸べてしまう性質です。
これはつまり『睡眠剤を常用するような人(不安定な人)』と深く関わっているのだと推測できます。これまでそういった人と親密になり、”手を差し伸べてきた”彼ならば、睡眠剤は身近なものです。所持していてもおかしくはありません。
三日月に居た有明は、船野殺害の犯人候補でした。しかしそれを否定する材料は動機しかありません。
船野殺害の犯人を指定する選択肢で有明を選んだ場合、大崎も決定的な動機がないことからその選択肢を否定します。
動機
有明が船野を殺害する動機は、大崎にあります。
そもそも有明が大江島に来た理由は「東京の浦竹桟橋で、黒潮丸に乗り込む大崎を見かけたから」だと本人から説明がありました。
「三回忌へ行こうか行くまいか迷っていた時に」とも。
有明は少年期の大崎との出会いをきっかけに、現在もなお大崎に対して並々ならぬ執着心を抱いています。
船に乗った理由、島へ来た理由、そのすべてが大崎に集約するのです。
有明は、台場(大崎)を一目見た時点で大崎であると気づいていました。
そして罪状の存在も当然知っています。
三日月へ訪れた際の、
台場(大崎)に対して酷く怯えた態度をとった船野を見て、
船野と台場(大崎)の罪状が入れ替わっている可能性に気付き、
大崎を護るために殺害したのではないでしょうか。
船野は罪状の入れ替わりの仕組みに気付く前の時点で殺されたため、相互入れ替わりだと思い込んで殺害した可能性が非常に高くなります。
仮に有明が相互ではないと気づいていたとしても、船野が気付けなければ大崎の身の保証はできません。
船野殺害事件が起きた後、送り火が行われる前に、玄関で大崎と有明が会話する場面があります。そこで有明はこう話します。
「だけど船野さんはいつも怯えていた…。
怯えるのは、誰かにおびやかされているからなんです」
「本当に死にたい人は恐怖心がなくなって、
何にも動じなくなる」
ここで有明の船野への印象が語られますが、船野の様子から彼もまた罪状を持っており、罪人の一人であると判断したのかもしれません。このままでは大崎に危害が加えられかねないと。
そして大崎が睡眠剤であるラボナの説明をした後に毒殺の可能性を提示します。そこで有明は「僕らの知らない犯人が、島のどこかに隠れている」のではないかと言います。
大崎がそれを否定すると、「犯人は新橋さんではないか」と続けます。
それすらも大崎が否定し、手がかりを探しにと船野の部屋へ向かうと、有明はその場で立ち尽くしてしまいます。
これは一見恐怖で怯えているようにも見えますが、実際には自分が犯人だから、どうにかして誤魔化したいと思っていたのではないでしょうか。
さらに有明が船野を毒殺した証拠として、汐留の動向に関する違和感があります。
汐留の動向
9.優しい投獄事件で「睡眠剤を飲んだつもりが、自身で用意した毒入りの錠剤だった」とあります。
事件簿に書かれていることから、これは事実だと断定します。
ここで疑問があります。
汐留が自身で用意した毒入りの錠剤をここで飲んだのなら、船野殺害に使われた毒はなんだったのか?という点です。
汐留拘束に関して、汐留が不眠症でありラボナを常用していることは各ルートでも語られています。
大崎の推理により、部屋からラボナが見つかればそれだけで言い逃れができません。そのため、あの状況では犯行をしていなくとも犯人だと断定されてしまいます。
どちらにせよ疑いから逃れることのできない汐留は、一旦大人しく拘留されることを選んだのでしょう。
各ルートで拘束後の汐留はラボナを携帯しておらず、不眠の症状を訴える場面があります。
この時も同様の状態で、汐留は有明に睡眠剤を所望したと思われます。
そこで有明に渡されたものが、自身で用意した毒入りの錠剤だったのです。
汐留が毒を未使用だった場合、部屋からはラボナと毒が見つかります。
大崎の推理を聞いていた有明なら、このことも知っているはずです。
つまり、船野殺害に使われた毒こそが有明の用意したものだったのです。
事件後のエピローグで、船野の遺体からは全ルート一貫して青酸カリが検出されます。
しかし、汐留の遺体は死因不明とされています。
事件簿では服毒死と書かれていますが、本編ではこの事実が語られません。
これはメタ的に考えると、もし汐留が用意した毒が青酸カリではなかった場合、船野殺害の犯人が汐留ではないとバレてしまうから伏せているのかもしれません。
ついでに、汐留を大浴場に拘留した後に最後尾を歩いていたはずの大崎の後ろに有明が居るという場面があります。
ふいに背を叩かれる。
自分は最後尾を歩いていたはず──
驚き、払うようにして振り返れば、
有明さんと鉢合わせた。
ここでも有明の動向に不審を覚えます。
この時すでに有明は汐留と何らかの意思疎通をしていた可能性があります。
?.電話破壊事件
犯行に使われた道具は斧です。
状況証拠から犯人は豊洲とされていますが、動機が明らかになっていません。
単純に考えれば、外部との通信を遮断することで参列者を島内に閉じ込める役割を果たしたので、大崎の指摘通り豊洲が施主あるいは内通者だからだと考えられます。
これについては豊洲の人物考察で考えたいと思います。
?.船野の遺体すり替え事件
犯人は汐留、動機は罪状の回収という点はあっていると思います。
犯行時刻は青海・竹芝・汐留が『本土に繋がる電話がないか探しに出た時間』から17時の間。
この時、青海らに付いていく選択肢を選ぶと汐留が月宗寺へ向かおうとしていることが分かります。そして寺側の捜索には汐留・竹芝・豊洲の三人で向かうことになります。すると、遺体のすり替えは行われません。
しかし捜索について行かなかった場合、遺体のすり替えが行われます。
この時、青海と竹芝は二人でボートを発見しています。一方で汐留は月宗寺に向かったのでしょう。
ここで遺体のすり替えを一人で行えるのか?という疑問が浮かびます。
実際に、船野の遺体を三日月から月宗寺まで運ぶ時には「上体を大崎が、足下を竹芝が持つ」ことで運んでいます。二人いなければ遺体を運ぶことは不可能だと言っていいでしょう。
さて、捜索の一行を見送った大崎と有明は八重垣の二階に戻ります。部屋には豊洲・日出・新橋が揃っていました。市場前は自室で休んでいると、竹芝からの説明があります。
生存者のうち、市場前だけアリバイがありません。
このことから、遺体のすり替えには市場前が協力していると思われます。
?.ボート沈没事件
前提として、「ボートに異常はなかった」と明言されています。
また新橋ルートでは新橋が同じボートに乗り、無事に本島まで渡っているため、事前にボートに細工が施された可能性はありません。
そのため、豊洲がボートを稼働させた後、海上で何らかの細工がされ沈んだものだと考えられます。
しかしどのようにしてボートを沈ませたのか、動機は何なのかが分かっていません。
ボートの走行中、最初は青海と日出が豊洲の背を見つめていました。
大崎と有明が話していると、新橋が青海に話しかけてきます。ボートの情報を隠していた青海に対する疑念をぶつけると青海に注目が集まります。
「市場前さんたちにも不穏を伝えるためだろう……」とある通り、これらの会話は市場前らも耳を傾けていたと考えられます。
やけに辺りが静まる。
人も、風も木も、
誰もが耳を傾けていた。
このとき、もしかすると誰もが豊洲から目を離していた時間があるかもしれません。
この隙に豊洲がボート沈没の仕掛けを実行したとしたら、怪しい動きをしていても気付けなかった可能性があります。
犯行に使われた道具として推測できるのは、『電話破壊に使われた斧』です。八重垣の電話室にあった斧は、豊洲ならば食糧を盗んだ時に一緒に盗むことが可能です。
これはボート沈没事件後に斧の描写が無いことから予想しました。電話破壊を行ったのも豊洲なのであれば、斧の扱いは問題ないでしょう。
「二名の重さでは五海里も持たない」のが事実だとして、食糧を持ち込んだから沈んだとは考えられません。
重量で沈んだ場合、船体がどちらか一方に傾きそこから浸水することで転覆するからです。転覆ではなく沈没であり、かつ足元を気にしていた描写から船底に異常があったのは確実でしょう。
11.巨大台風通過事件の影響で浸水した可能性も考えました。
豊洲がボートに乗るのは台風が通過した後です。しかし、これは新橋も同じ条件です。そのため、ただの浸水が原因とは考えづらいです。
偶然性を加味するのであれば、台風の影響で海中の岩石などが海面付近まで積みあがるなどし、その障害物に船底がぶつかり破損し浸水してしまったことが考えられるかもしれません。
新橋と豊洲の違いは食糧分の重さしかありませんが、これがボートの沈みを深くし上記の事態に陥ったくらいしか予想できませんでした。
あるいは運航ルートが違ったせいでしょうか。二人が全く同じ海路を進むとは思えません。
?.大江島放火事件
有明Bルートでは宿舎及び島全体に広がるほどの大火災が発生しました。
放火を行った人物について推理します。
まず実行には火をつけるための道具と燃料が必要です。
前者はマッチやライターなどが考えられます。喫煙者である大崎・有明・新橋は持っているでしょう。
後者の燃料は発動機に使う軽油があります。
この事件が発生するルートでは、停電が起きた日に大崎・有明・青海・豊洲の四人で発電機を探しに行く場面があります。
その際に有明と豊洲が燃料を探し、有明が軽油を発見します。
「満タンの一斗缶が3つ」発見されます。一斗缶は容量が約18リットルなので、合計54リットルほどあります。
しかし青海は「発動機の燃料系統が外されており、稼働できません」と言います。結局発電機は稼働しなかったのです。
翌日にはボートに燃料を使用しますが、ここですべてを使わず、燃料が残っていたものと思われます。
この余った燃料の在処を知っている人物、それが放火の犯人だと考えられます。最も有力な候補は有明です。
動機
有明が島に火をつけた動機は大きな狼煙を上げて警察を呼ぶためだと本人の発言から分かります。
有明
「警察の船です。
思った通り、漁船は買収できても
警察にまでは手を回せなかったようですね」
「大崎さんが作った狼煙は、
小さかったからいけなかったんです。
これはどう見ても火事ですから」
波止場で煙草を吸っていることから、火をつける道具を持っていることも分かります。
どのようにして行われたか
火災について「監視台のある森からここまで、点々と火が続いている。」という描写があります。
これは監視台を始点として軽油が撒かれたことを示しています。
軽油は大崎と有明が監視台に来る以前に、付近に持ち込まれていた可能性が高いです。(町からわざわざ監視台まで戻って撒く必要性はないため。青海ルートでは船番所を燃やすだけで警察が来たことから確定です。)
持ち込んだタイミングは27日、有明が発熱で倒れる前です。
軽油を発見したのが26日夜、27日に豊洲のボート沈没事件が起きた後に、
大崎が狼煙を上げに八重垣を離れていた時間があります。
この時、有明は八重垣を離れ裏小屋で汐留が入っている木箱に重しを載せていることが事件簿から分かります。
その後に、小屋にある軽油を運んだのだと思います。
豊洲のボートが沈没し、島から脱出する方法が潰えたことで、有明は上記の発想に至ったのかもしれません。
また、有明は島に来た当日の時点で監視台の存在に気付くことができます。
来島した日の夜、有明は大崎が書いた大江島のスケッチを見ています。
有明
「あれ、これは?」
「こんなところに家があったんですね、」
大崎
「灯台でしょう」
八重垣から逃亡した後に大崎を監視台まで誘導したのも有明です。
彼は”月島教授”の筆跡を真似てメモを残し、大崎を誘導していました。
以上の証拠から、放火の犯人は有明だと考えられます。
加えて後日の事件概要で放火の犯人が少年A(=日出)とされていることについて。
Bルートで有明が汐留殺害後に汐留を騙ったときのように、「生きているように見せかけられるのは死んだことを知っている人間だけ」論で考えると、最後に港で「警察にはうまく言っておく」と言った有明が、放火を日出のせいにしたのは、有明が日出の生死を知っているからだと思われます。
もし日出が生きていて事件に関与してなかった場合、有明の供述は破綻するため非常にリスクがあります。
これにより、日出は島で死亡している可能性が高いです。
?.新橋の遺体損壊事件
放火事件とは別に、新橋の遺体損壊事件があります。
これは大崎が新橋を刺殺した後に、何者かによって行われたものです。
大崎が三日月に侵入して新橋を裁く際の描写は
「刺されて死ぬのがいいと思った」
というものです。
大崎は直前に有明からナイフを渡されていますが、森に捨てているのでおそらく新橋の所持品からナイフを取り、寝ている隙に殺害したのでしょう。(新橋からの抵抗があった描写も無いため)
しかし事件概要では、新橋の遺体が損壊された形跡があります。
新橋と名乗っていたというこの男性は
とくに損傷が激しく、顔の骨が陥没していた。
さらには直接遺体に軽油を撒かれ、
火をつけられたと見られる。
大崎は三日月で新橋を刺殺した後、八重垣に移動して市場前を斧で殺害し、最上階に居る青海のもとへ向います。これらの描写の中に上記のような犯行の示唆はありません。
犯行が出来たのは軽油の在処を知っている人物です。
この時点で生存者の中に候補がいるとすれば、有明か日出です。
日出は有明か豊洲から軽油の場所を教えて貰える可能性があります。
まず、有明は監視台から港にかけて軽油を撒き、火をつけました。
大崎が三人の殺害を実行するのにかかった時間がどれほどか不明ですが、そこまでの時間的猶予があったとは考えにくいです。
有明が新橋を憎む動機はありますが、犯行は難しいかもしれません。
では日出が犯行していた場合です。
第一に、中学生の彼に一斗缶の軽油を持ち運べるか?という疑問があります。しかし有明が監視台から宿の前まで軽油を撒き、ある程度使用した一斗缶であれば持てるのではないでしょうか。
これが前述の有明が日出の生死について知っていた理由に繋がります。
ここでも、船野殺害直後の玄関での大崎と有明の会話が重要になります。
有明
「市場前さんは自殺だとおっしゃいますが…。
他殺だって、僕は思うんです。」
「自殺した人を知っているんです」
「彼女の黒目は最期まで
とても透き通っていました」
「本当に死にたい人は恐怖心がなくなって、
何にも動じなくなる」
有明は三日月付近で日出と出くわし、軽油を分け与えたのだと思います。
その際に、日出が死を覚悟していることを悟り、彼の”復讐”に助力したのです。
動機
このルートでは日出の、大崎と有明に対する信頼度がかなり高いことがうかがえます。
まず停電した日の夜に、日出は大崎を連れて厠へ付き添って貰います。
心細さを埋める相手として大崎が選ばれたのです。
さらに、階段上にパレイドリアを見て怯える場面では、大崎がキャラメルの包装紙で作った折り鶴を、有明が日出に渡すことで笑顔を見せてくれます。
豊洲の死後、疑心暗鬼に陥った大人たちの中で信頼に足る相手が大崎と有明だったのです。
その二人と敵対している新橋は日出の目にどう映ったでしょうか。
また、有明が発熱で倒れた際には有明を吊るし上げる多数決が行われました。これを提案したのは青海ですが、日出のもとに行き投票先を指示したのは新橋です。
上記のことから、日出には新橋に怒りをぶつける動機があったと考えられます。
青海と日出の動向
青海はなぜ火災が起きているのに八重垣の最上階にいたのでしょうか。
それは日出を探していたからだと思います。
青海の部屋は二階です。用もないのに最上階にいるはずがありません。彼は一階から順に部屋を回り、日出を探して逃げるように催促しに行ったのではないでしょうか。
しかし日出はどこにもいません。三日月に居るからです。
事件概要にて「八重垣の一階部分は瓦礫に埋もれ捜索が難航」とされていました。三階部分の焼け跡からは竹芝の遺体が発見されます。
暫く時間が経過した後に、青海は一階の玄関、市場前は一階の大浴場で発見されます。
日出の部屋は二階にあります。彼が部屋に居たのならここで描写されるはずです。そのため、日出が自室の外に出たことは確実だと思います。
しかし三日月からは新橋の遺体しか見つかっていません。
新橋の遺体を損壊した後、日出はどこに行ったのでしょうか。
これについては人物考察で考えたいと思います。
日出は作者ブログにて下記のような人物だと説明されています。
日出 /中学生/失語症 (忿=あて先の間違った怒り。やつあたり)
※名前/役職/性格 (十纏=煩悩)
普段は穏やかで純粋な中学生の彼ですが、怒りが発露すると手を付けられないほどの猛威を振るうのかもしれません。
その他の謎
船外機の付いたボート
ボートに取り付けられた船外機は国外から輸入されたものだと青海が推察しています。
青海はこれを船野が用意したものだと言っていました。船野が小型ボートに乗っていたことは新橋も証言しています。
しかし、船野がそのような船外機を入手できるでしょうか?
大穢には国外との繋がりを示唆する情報がある人物がいます。
台場静馬です。
彼は面談に碇国ホテルのロビーを指定します。
静馬はこうした場での打ち合わせに慣れているようでした。
宿泊するのは主に外国の要人で、
フロントからは流暢な英語が聞こえる。
碇国ホテルの碇という字は、船を留めるために海底に沈める重しを意味します。
現在判明している人物のなかで、国外産の船外機を入手することができる可能性が示されているのは台場しかいません。
台場が今回の事件と関わっていることを示唆しているように思えます。
有明のナイフ
大崎が森に捨てたはずの有明のナイフを、波止場で有明が所持していたことについて。
有明は監視台から大崎がナイフを捨てた様子を見ていたと思われます。
大崎が監視台で窓辺に立った際に、「眼前に広がったのは森だった」という描写があります。
敢えて森という描写をしているのは、この理由付けではないでしょうか。
有明Aルートの脱出方法
大崎が監視台に留まると、気を失い次に目覚めた時には新木場が救助に来ています。この時、有明を呼んでも返事はありません。
事件概要から分かるように、火災は起きていません。ボートも豊洲とともに沈んでいるため脱出できません。
ではなぜ救助が来たのでしょうか。
このルートでの生存者は大崎と有明、そして行方不明者が豊洲と日出、他は死亡しています。
・三日月の庭で死亡した三人
新橋、青海、市場前は三日月の庭で発見されます。
詳細は不明ですが、付近に銃が発見されていることから、犯人は青海ではないかと思います。
青海は生きる意志が軽薄です。また銃を所持しており、且つ正確に扱えるのは青海しかいません。二人を殺害した後に自害したのだと思われます。
上記のことから、救助を呼べたのは有明か日出しかいません。
現時点で明かされているルートにおいて救助が来る条件は
・ボートで脱出した人物が助けを呼ぶ(新橋)
・人為的な火災を起こして警察を呼ぶ(有明B・青海)
の二通りしかありません。
このどちらも潰されている以上、第三の条件があることを考えねばなりません。
島から脱出する第三の条件
事件概要で記されているように、大崎の大江島滞在期間は
Bルートでは9日間、Aルートでは10日間となっていることから、
Aルートの大崎は監視台で日を跨ぐまで気を失っていたようです。
現時点で一番長い期間、島に滞在していたことになります。
このことから予想できるのは、
この法要にはタイミリミットが存在した可能性があるということです。
10日経てば必ず救助が来るとしたら、島から救助を呼ぶ手段がなくとも迎えが来ます。
また、ほとんどのルートで新木場は大江島まで救助に来ますが、青海ルートのみ八丈島で迎えるような描写になっています。何故でしょうか。
他ルートと青海ルートの明確な差異は
・有明が死亡している
・青海、豊洲、日出、汐留、市場前が生存している
この二点です。
新木場が大江島まで来ない理由が上記のうち、誰かの生死に関わっているのかもしれません。
警察は火災が起きると救助に来ます。このことから、大崎や有明は「施主は警察にまでは手が回せない」と推理していました。
逆説的に考えると、警察まで制御できてしまったら施主が権力者であることがバレてしまいます。
どちらにせよ、警察を止めることは不可能のように思えます。
大江島脱出に際し、新木場が関わっている可能性については人物考察で話そうと思います。
前編で起こった事件の犯人と動機を考察した結果、
施主あるいは施主の協力者である可能性が高い人物は
有明、豊洲、新木場、台場
次いで汐留、日出、市場前
だと予想しています。
施主とその他人物についての考察はまた別の機会に。