写真撮影でパニックになる人の話し
写真に写ることが、心の底から嫌いです。
百歩譲って、10人くらいの集団写真までになれば、心にフタをして差し障りのない顔でいることもできますが、それでも、「写真、写真!」みたいなムードになってくると、できるだけ不自然じゃないようにその場を離れるようにしています。
学生時代は特に意識したことはなかったんですけどね。
ピースサインを掲げて屈託なく笑ってる写真がいくつもあります。
いつ頃からか定かでないですが、出来上がった写真を見た時に
「あれ?私、こんな顔してる?」って、自分の思ってたイメージと違う事に戸惑うことが増えて(見た目の美醜の話しではないです、念のため笑)
段々に、カメラを向けられた時どんな顔をしていれば良いのか分からなくなってしまって、いつしか写真撮影を苦痛に感じるようになりました。
そんな状態で写るせいもあって、出来上がりへの違和感と、更には嫌悪感がどんどん強くなっていき、余計に苦手意識が強くなっていったのかもしれません。
一回意識してしまうと、ハイポーズとかハイチーズの掛け声に合わせて表情を作るのはなかなかに難しいものがあります。
レンズに視線を合わせるのも、合わせた上で表情を作るのも、誰に向けての笑顔だよって自分のツッコむ声が聞こえてきて、居たたまれない思いがします。
撮り手の人が、レンズを覗きながら「どういうつもりで、その表情なわけ?」なんて考えてるんじゃないかなんて、被害妄想大爆発みたいな心境になってしまって、「勘弁してください!」となる感じです。
これは、こんなふうに写真を撮られることが大嫌いな人が、履歴書用の写真を準備するために、実働的にも心理的にも右往左往して消耗したお話しです。
常識外れなことは重々×重々承知の上でそれでも、履歴書用の写真に、3〜4年前にマイナンバーカードの申請用に撮ったスピード写真の残りじゃダメかしら…?なんて考えてました。
ただのスナップ写真でさえ可能な限り写りたくないのに、そんなかしこまった写真を撮らなくちゃならないなんて…別の意味で就活のハードルがグイッと上がります。
まぁ、どう考えても真面目に就活しようとするのなら、そんな常識外れのことはできない訳で、腹をくくるしかありません。
とは言え、どんなふうにして写れば良いのかしら…?
とりあえず髪の毛はカットして、頭周りはさっぱりさせといたほうが良いかもね…
化粧はしとくべき?
普段しないんだから別にしなくても、ねぇ
普段からノーメイクの人です的な感じで
服装はとりあえずジャケットと襟付きシャツで良いでしょ
写るのは首から上だけだし
そんなふうに考えてました┐(‘~`;)┌
撮影に人を介したくないので、撮影方法はスピード写真の一択
とは言え、このスピード写真のブースに入るのもなかなかに勇気が必要
絶対に誰も気にしてないのは分かってるけど、通りすがりの人に、写真撮ってる人がいるって思われるの嫌だなぁとか、何だか手間取ってるわって思われたら嫌だなとか、まず起こり得ないだろうけど後ろで待たれたりしたらどうしよう…とか、そんな事ばかり考えて、決行を延ばし延ばしにしてましたが、キリが無いので、意を決していざ出陣!
できるだけさり気なく、何でもない風を装ってブースに入ります。
家を出る直前に、顔周りは調えて来たつもりだけど、もう一度確認。
だけど、その確認をしようとしてる最中に、案内の声が色んな指示をしてくる。ペースが早くて、理解が追い付かない…
あ!コートを脱がなくちゃ
マスクも外さなくちゃ
メガネも取って
狭い箱の中で四方八方から追い立てられるように色々言われると、焦る💦
そして、そんなアナウンスの声が外に聞こえてるんじゃないか、外を通りかかってる人が、中の人は何を手間取ってるんだろうって不審に感じてるかもしれない、なんて余計な事まで気になる!
撮影を開始しろって何回もアナウンスが入るけど、メガネを外しちゃったから自分がフレームにどう収まってるのか見えない!
わぁ〜!!
どうしたらいいの…(;´Д`)ハァハァ
どうしようもこうしようもない!
取りあえず撮影してしまおう!!
これを終わらせなくちゃ!!!
ほんの1〜2分の間に、頭の中は大パニック🤯
そしてパニック状態のまま撮影ボタンをポチリ……
撮影ボタン押して3秒でシャッターって、早過ぎじゃないですか?
ボタンを押して、座り直して、正面見て、顔作ってって…
そんな短時間で無理でしょう!
3秒前までアタフタしてた人がそんな急に澄ました顔してどういうつもり?ってツッコむ声も聞こえてくるし…
撮り直しもしたけど、数秒単位で建て直しが出来るはずもなく…
プリントアウトされた6枚900円也の写真を確認して、頭の天辺に大きな鉄槌を振り下ろされた位の衝撃を受けました。
間に合わせのジャケットとシャツだから、襟元がよれてるし
髪の毛はアホ毛がテッペンだけじゃなくて耳周りからも盛大に出てる。これはマスクとメガネの付け外しで引っ張られたせい
そして何よりも顔!
くすんで生気の無い無表情の人が写ってる
こりゃダメだ┐(´д`)┌ヤレヤレ
こんな人と一緒に働きたいなんて、自分でも思わないよ…
想像以上のショックに打ちのめされました。
身の置き所がないとはこの事です。
間に合わせとやっつけで済ませようとしたことが、この写真に写し出されている訳です。何だかんだ言って、就活をナメてたな…と深く反省もしました。
写真の準備って、就活への心構えを問われるようなものなのかもしれないという、今更感のある気付きです。
「ちゃんとしないと」の、「ちゃんと」の意味をキチンと考えないとダメだって反省、そしていたたまれないほどの恥ずかしさと後悔を噛み締めながら帰宅しました。
数日落ち込みを引き摺った後、改めて写真撮影をどうするか考えました。
※選択肢の中にいっそ就活やめちゃうか、もあった😅
結果
大袈裟な事だと思ったし、人に撮られるとか避けたかったから選択肢から外してたけど、ちゃんと写真屋さんで撮ってもらおうと決心しました。
但し
決心はしても気後れは感じているので、出向くまでにはまた数日かかります。
面接用のスーツを着用し、普段は慶弔の際にしかしないメイクをし、髪の毛のアホ毛対策もヘアワックスでキチンとして、コンタクトレンズも装着。
そして、再びのいざ出陣!
着慣れない服に履き慣れない靴のせいで、道中頭の中はグチと文句のオンパレード
スカートなんていつ以来?
足元がスースーして落ち着かない
パンツスーツを買っておくんだった…
メイクした顔は、皮膚呼吸ができてない気がして息苦しい上に、マスクのスレと汗とで崩れが気になって仕方ない
履き慣れない靴は凶器になって全部の指が痛いし…
だから、一歩でも少ない歩数で辿り着きたいのに、店内の案内図が読めなくて若干の大回り
百貨店の中に出店している写真屋さんでしたが、お店の入口が分からなくて更にウロウロ
カウンターに二人のお姉さんが座っていて、そこが受付らしかったです。
いらっしゃいませ。
証明写真の撮影をお願いします。
では、そちらの撮影室にどうぞ。
くらいのやり取りだろうと思っていたら
椅子におかけください
お名前とご住所を頂戴します
ご使用用途はどういった事でしょう
写真の種類はデジタルデータと普通のプリントとどちらにしますか
背景のカラーは何色にしますかetc.etc.
予想もしていなかった質問をたくさんされて、面食らってしまったせいで若干挙動不審
思わずデジタルデータって何ですか?と聞き返したところで、面倒くさい客だなんて思われてないかしら…なんて余計な心配もしつつ、何とか必要なオーダーを済ませたところで、クローク的なスペースに案内されました。
用意ができたらおいでくださいですって。
ともかくコートを脱いで、マスクを外して、鏡で確認。
取りあえず、メイク直しはしなくても大丈夫そうだ。
アホ毛も大丈夫。
ここまでで、既に頭の8割位が機能停止している気分。
このことだけでも、これを人生最後の就活にしたい!と、心の底から切望しました。
採用面接のたびに繰り返してたら、これだけでも気持ちが保たない。
部屋を出たら、撮影スペースに案内されました。
浅めに腰掛けてくださいね、と言われ正面を向くと大きなカメラのレンズが!
照明のライトまで!
どこを見てどんな顔をしていたら良いのか分からなくて、再びのパニック。
どのタイミングでどんなふうに撮影するの?
私はここに座らされて、この後どんな顔をしてれば良いの?
い、い、居たたまれない!!!
パニックになってるこちらの事情を知ってか知らずか、撮影してくれるらしい自分より遥かに若い女性スタッフさんはとても丁寧でした。
最初にフレームの調整をしますね
お顔の色を確認するのにライトを調整させてください
最初の一枚はテストなので気にしないで、お顔の位置だけそのままで
なんて、ゆったりしたペースでお話ししながらパシャリ
PCの画面で何やら確認したところで
では、始めますね
何枚か撮っていきますので、お顔は段々に作っていければ良いですよ
真面目な感じと、少し笑顔になる感じとどちらでいきましょうか
履歴書用ということなら、最終的に柔らかい笑顔になるようにしていきましょうか
はい、はい、なんて返事を返しつつ
え?
笑顔?
履歴書の写真で笑顔ってありなの?
いや、そもそも笑顔で写るとか無理だし!
スタッフさんのゆったりペースのおかげでちょっと落ち着き始めていたけれども、再びのパニック
しどろもどろに、いや、あの、真面目な感じでお願いします、なんて返答したものの、とりあえず少しずつでも口角を上げた感じにしていきましょうなんて返されてしまった…
軽く顎を引きましょう
目線はもう少し上に
肩をもう少し落としましょう
なんて、そんなやり取りを間に挟みながら、2枚3枚と撮影されていて、こちらとしては、何とか言われた言葉通りにしようと必死
合ってる?
大丈夫?
私、あなたの意図した通りに出来てますか?
ぐるぐるグルグル🌀
お顔の位置はそのままで、少〜し口角をあげましょう
口角を上げる、口角を上げる、口角を上げる…
口の両脇に不自然に力が入るばかりで、口角が動く気配がまるでしない!
もう少〜し
あともうちょっと
スタッフさんは決して急かす感じは無くて、一貫してゆったりペースをキープして声をかけながら、更に1枚2枚シャッターが押されていく
口角を上げる、口角を上げる、口角を上げる…
真一文字に結んだ口の両脇が糊付けでもされたように、固まってる
無理に動かそうとすると、顎に梅干しができて、小鼻が膨らんでいく気配が…!
明らかに顔が引き攣ってるのが分かる!
こんな表情を、このスタッフさんはどういう気持ちで見てるの?
無理!無理!!無理!!!
「ごめんなさい!無理です、限界です!」
思わず口に出てしまいました。
一瞬間が空いた後
今までと同じトーンで
はい、じゃあ最後で〜す
大丈夫です、そのまま〜
で最後の1枚を撮って撮影終了。
ごめんなさい、すみません、ありがとうございましたと繰り返しながら席を立った所で、お疲れさまでしたと返してくれました。
終わった…ヘトヘトだぁ…
ではこちらへどうぞと、PCの前に案内されて画面を見ると、はっ!自分の顔がたくさん💦
まだ終わりじゃなかった
この中から1枚を選ぶために確認する作業もまた過酷…
スタッフさんが、一枚ずつ丁寧に説明しながら比較してくれるのですが、それも居たたまれない。
客観的に判断するエネルギーが残ってない。
でも、これを済ませないことには終わらない!
普段からたくさん見慣れてる方の目で、常識的に大丈夫なヤツを選んでください、とお願いしました。
最後まで面倒くさい客…ごめんなさい
多分そう言われたからと言ってお店的にはじゃあこれでいきましょうとはならないんでしょうね、きっと。
最終的に、スタッフさんが2枚を選んでくれてその中から1枚を選びました。
今度こそ、本当に終わり。
出来上がった写真を受け取り、帰宅の途に付きました。
こうやって書き出してみると、我ながらこの人大丈夫?って問い質したくなる有り様…
せめてこれを読んでくれてる方が、あらあら┐(‘~`;)┌と呆れながらも笑ってくれると救われる気がします。
時間にすると10分程度の事ですが、本当に消耗しました。
何より、仕事とはいえスタッフさんに変な客でごめんなさいとも思いましたし。
何はともあれ、何とか写真は準備できました。今回の4枚を使い切る前に、就活を終えられると良いんだけどな〜。
またあの消耗戦を繰り返すのは、本当に避けたい!
そんなことを思いながら、自分の気持ちの頃合いを見て、就活ミッションの次のステップを踏もうと思います。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?