オシンテックがB Corp認証を取得しました 〜O-s メンバーインタビュー〜
2022年3月24日、オシンテックはアメリカの非営利団体B Labが認定するB Corp認証を取得しました。今回、B Corp認証の取得に取り組んだ代表の小田真人さんと、兒玉恵太郎さんに、B Corp認証の目的やオシンテックのこれからについてお話をお聞きしました。
Z世代にとっての信頼の証明でもあるB Corp認証
– OSINTechが取得したB Corp認証について教えてください。
兒玉恵太郎さん(以下、ケイさん):B Corp(ビーコープ)認証は、アメリカの非営利団体B Labが行っている、環境や社会、働き方の面で一定の基準を満たし、良いとされる企業に与えられる認証です。B Corp認証を得るためには200の設問に答え合格する必要があり、結構難しくて狭き門だと言われていますが、同時に、消費者や企業に対して信頼の証明にもなります。
日本ではまだあまり知られていませんが、アメリカやヨーロッパを中心に4000以上の企業が取得し、アジア圏でもB Corpに認証されている企業が増えてきています。
– 実際、どのような企業がB Corp認証を取得しているのでしょうか?
ケイさん:衣料品メーカーや食品メーカー、BtoB企業、ベンチャーキャピタルなどさまざまな企業が取得しているのですが、日本でも馴染みのある企業だと、パタゴニアやダノンなどがあります。
パタゴニアは環境保全に取り組んでいる企業としても有名ですが、B Corp認証企業の1社です。オーガニックコットンやリサイクル素材を使用しているだけでなく、コットンの栽培から、ポリエステルやナイロンのリサイクル、製造、輸送までパタゴニアとパートナー企業が一緒になって、サプライチェーン全体で環境フットプリントの削減に取り組んでいます。
ダノンジャパンは、⽇本の大手消費財メーカーそして⾷品業界で初めてB Corp認証取得した企業です。企業目標の1つとしてB Corp認証の取得が掲げられていて、取り組みもB Corpのアセスメント項目に沿って紹介されています。例えば、コミュニティでいうと、子供たちの心身の健康と食育、多様性への理解を推進する為、小学生の国際サッカー大会「ダノンネーションズカップ」の日本大会を開催しています。その他にも、子供たちに健康の大切さを伝える工場見学を開催したり、フードバンクを作っていたりしています。
B Corp認証は「三方よし」に通じる
– B Corp認証を取得するにあたってどのようなことをしたのでしょうか?
ケイさん:まず、WEB上でB Impact Assesmentに回答したあと、オンラインでの面談がありました。それらに合格すると、契約書へのサイン、認証という流れです。
B Impact Assesmentでは、Governance、Workers、Community、Environment、Customers、そして、Disclosure Questionnaireの6つについて、200の設問に答えていきます。内容は自然環境や、働く環境、企業自身による管理方法と多岐に渡り、環境保全だけに注力していても、社内環境が良くなければ合格できない内容となってます。あらゆる面で透明性がある企業にしか与えられない仕組みでした。
小田真人さん(以下、真人さん):1つ1つ見ていくと、次のようになります。
Governance:ミッションや透明性など、企業のコントロールをどのように行なっているか
Workers;従業員の健康や安定、キャリア開発など、従業員の幸せを実現しているのか
Community:ローカルコミュニティへの貢献やサプライチェーン・マネジメントについて
Environment:地球環境について、害をなすことなく、良い経営をしているか
Customers:顧客について、関係が良好で、顧客とともに地球によい影響をなしているか
Disclosure Questionnaire:どのような企業と取引があるのか(例えば、環境を汚す・人権を大切に考えない企業を支援していたりしないか)
これらに回答し合格すると「B CORP DECLARATION OF INTERDEPENDENCE」というものにサインすることになります。以下のような内容です。
真人さん:これまで企業は株主や投資家の要請があって、ビジネスを推進してきました。ですが、その時代が終わり、「すべてのステークホルダーに利益をもたらす」ことが大切だと考えるようになったと。
実は、日本にとっては馴染みのある考え方です。売り手と買い手、そして社会に貢献できることをよしとする「三方良し」という考え方がありますが、それに近い考え方なんです。「三方良し」から進化した形で、このB Corp認証というものが設計されていると感じました。
– 日本ではB Corp認証はどの程度普及しているのでしょうか?
ケイさん:日本の企業としては、先ほど紹介したダノンジャパンを含め8社が認証を受けています(※2022年3月時点)。オシンテックが9社目として加わるわけですが、圧倒的に少ない印象です。日本ではまだ、B Corp認証という言葉を聞いたり、マークを見たりする機会が少ないですよね。
真人さん:B Corp認証の考え方は日本でも馴染みやすい一方で、それを明文化するのはハードルが高いだろうと思います。日本の企業は、暗黙のルールに沿って、みんなにとっていいことをしようとしています。でもB Corp認証では、それだけではよしとせず会社としてそれを明文化することを求める。明文化とは、ポエムではダメという事です。具体的な数値を伴って認定を受けなければならない。これを数値化するのも結構大変ですよね。そういうのもあって日本では大企業ではなく、社会や地域コミュニティとの関係を大事にしている、動きの早いコンパクトな企業の参加が増えていくと考えています。日本には、環境にとっても良いことを、という価値観の企業が多いので、この宣言にサインできる企業がどれだけ出てくるのか、とても興味がありますね。
– ハードルが高いということでしたが、オシンテックの場合はどうでしたか?
真人さん:オシンテックは元から新しい会社組織の形を目指していたので、B Corp認証のために何かしなければというのがほとんどありませんでした。例えば、本社はCO2を排出しない再生可能エネルギー100%の電力で運営されていますし、O-sの働き方も基本をリモートワークとし、移動にかかるエネルギーを削減しています。お取引先にもご理解いただきながら、紙の書類などを無くしているので、オフィスの廃棄物がとても少なかったことも良かったようです。会社の仕組みを無理にB Corp認証に合わせる必要もなく、今のままの状態で基準に達することができました。そういう意味では、一般的に言われるほど難しくはありませんでした。
ルールの力で社会をデザインする
– B Corp認証を取得しましたが、これから実現したいことを教えてください。
真人さん:B Corp認証を取得するにあたって、いろいろな人から「B Corpは、企業同士のコミュニティーなんだ」と聞かされてきました。コミュニティーに属することで、新たな繋がりを産み出し、チームとしてグローバルイシューを解決できればと考えています。
日本でも脱炭素や水問題に関心の高い企業が増えていますが、課題解決に貢献する製品を作っても「良い製品だけど高くてなかなか普及しません」となってしまう。そこに、ルールの力が加わると一気に前進するんです。例えば、その課題が国の目標になると助成金が出て開発を進めることができますし、規制がかかると課題解決につながる製品の導入が進みます。このようにルールは単なる制限ではなく、社会の姿をデザインするためのツールとなるんです。
B Corpのコミュニティーにはグローバルイシューを解決するための力を持った企業が数多く参加しています。それらの企業とチームとして動き、ルールをうまく使ってもらうことで、グローバルイシューが解決された社会をデザインしたいと思っています。
– 最後に、改めて感想を教えてください
ケイさん:英語での回答や面談を真人さんと一緒に乗り越えましたが、社員が会社を知り尽くしていないと、この認証は取得できなかったと思っていて。ビジョンやミッション、社員一人ひとりのやっていることがしっかり共有されて、透明化されていないと成し遂げれない認証だと思います。企業の一体感が試される認証だったと。
真人さん:B Corp認証を取得すると決めた理由にもつながりますが、B Corp認証を取得している企業は私たちと考えが近いと思っています。このコミュニティーには、脱炭素や水不足、人権問題といったグローバルイシューに立ち向かおうとしている企業が、理念を中心に集まっている。そこに私たちが参加することで、テクノロジーとルールの力で貢献できるんじゃないかと、ワクワクしています。
– ありがとうございました。
オシンテックは、B Corp認証の活動推進に力を入れています
ここまでお読みいただきありがとうございます!
オシンテック公式サイトでも、B Corp認証の取得についておよび、ニュースリリースを掲載しています。こちらもあわせて、ぜひご覧ください。
B corp認証について
Bcorp認証取得に関するプレスリリース