人吉球磨探究紀行(1)~竹筋コンクリート施工試験現地下見の巻~
どうも、シビックテッカーの西谷です!今回は「竹筋コンクリート施工試験の現地下見で熊本県は人吉球磨に9月21日から2泊3日で行ってきたよ」のお話です。何を言ってるのか分からねーと思うが…安心してください、それが正しい反応です。
実は以前、こんな記事を書きました。と言ってもオシンテックではなく個人のnoteで書いてしまったのですが。
経緯は上記リンクを参照…というのもぶっきらぼうなので簡単に書くと、2021年の多分春頃から始めたX-Bridge(クロスブリッジ)という「大雨の時に洪水で流されてしまいそうな橋をオープンデータで予測する」取り組みから派生しているものになります。
どう派生しているのかと言うと、橋はまぁ流れてしまえば基本的には作り直す必要があるのですが、「そもそも全ての橋を元通りに作り直すってコストかかり過ぎません?」という問題意識があり。行き先には数軒しか家が無かったり、お墓しかなかったり…いやもちろん僅かであっても使われている方が困るのであれば何とかしてあげなきゃいけないのはその通りで、単純に数の問題だけで決めてしまうのもよろしくないデリケートな問題ではあります。
が、昨今の脱炭素といった国際課題も含めて考えれば、必ずしも二酸化炭素排出量の多い(鉄1トンで約2トンの二酸化炭素を排出するそうです)鉄筋コンクリートである必要はないのではないか?竹害といった課題も掛け合わせて考えて、竹筋コンクリートでも一部は対応可能なのではないか?それによって二酸化炭素排出量やコストの削減を図れないか?ということで、「流失しそうな橋を可視化する」ところから「作り直す際の素材を考える」ところに派生したのがこの記事の取り組みです。
初めて人吉球磨に訪れたのは一昨年で、その際は令和2年の豪雨で実に10本もの橋梁が流失した球磨川を視察しました。昨年は「緑の流域治水スタディツアー」で流域治水について学ぶ機会をいただき(冒頭に載せた記事の話ですね)、そこから自然発生的に「地域経済循環勉強会」なるものが毎月開催されるようになり、その中で具体的に竹筋コンクリートの施工試験を検討してきました。そこで人吉球磨にある「勇工務店」さんにご協力いただき、ついに施工試験の実施に至っている訳です。今回はその現地下見です。
何を作るのか色々検討する中で、駐車場の入口に竹筋コンクリートを使用する案や、庭園を作ってそこに竹筋コンクリートの橋を作ろう、という案が出てきております。で、昨年に引き続き「熊本県立南稜高校」さんにお邪魔して雨庭を見学してきました。また新たに比較用の雨庭が作られていて(言うなれば雨庭のオープンハウス!)、しかもちょうど雨だったので雨庭の効果を分かりやすく実感できました。
で、実際に雨庭も拝見した上で勇工務店さんも交えて作戦会議。あれを作ろうこれを作ろうとガンガン話が進みます。竹筋コンクリートはこれまで20年来研究してこられた近畿大学の寺井雅和先生、庭園作りに当たっては神戸の「お庭屋さん ほうき」さんの法貴弥貴さんにもお越しいただいていて、半端ない推進力で進んでいきます!!(タメ年なことに今気づきました…!)
ツアーの締めくくりは、「リュウキンカの郷」に泊まらせていただき「食の郷育」を体感しました。
「乾燥野菜」は長期保存に適していて栄養価も高く、普段から使えるのはもちろん、災害でライフラインが断たれてしまった時にはとても役に立ったそうです。いやそれにしても美味しかったです!!被災した時にレトルトの食事ばかり食べるのではなく、こういった優しいご飯が食べられたら心も安らぎますよね…。
そんな話を教わりながら竹筋コンクリートのお話もしていたら、何と200年以上ものの竹細工を見せていただくことに。災害の折には泥にまみれて捨てられてしまったものも多かったそうですが、ものすごく丁寧に作られていて、ものを大事に使うことも、長く使えるものを作ることも、作られたものを紡いでいくことも、とても大切なことではないかと、感じさせられました。
さて、そんなこんなで現地下見も終わり、次回は竹筋コンクリートの施工試験です!!乞うご期待!!!(≧▽≦)
(文筆・文責 西谷友彬)