ルールってなんだ?:日本のルールの作り方
今回は、我が国、日本のルールのつくり方。
知ってるよ、衆議院や参議院の話でしょ?
いえ、違います。ルールがつくられる現場は、国会よりも、ずっと手前にあります。
国会前のルール形成プロセス
ご存じの通り、日本のルールは立法機関である「国会」で決められます。
国会にルール案を提出できるのは・・・国会議員だけ。ですが、実質的には(内閣総理大臣のもとに)「内閣」も法案を提出しています。要するに霞が関の官僚が書いた法案が審議されているんですね。
議員が書く法案と官僚が書く法案の数を見てみましょう。
日本にはざっくり、2000程度の既存法があり、年間100件程度が追加・更新されます。内閣から提出された法案を閣法といい、国会議員から提出される場合を議員立法といいます。
直近2年の状況をまとめたのが下の表です。霞が関からの提案は良く通り、議員立法は厳しい状況です。野党の議員立法は、ほぼ採択されません。産業に関連するものは閣法で、生活に密着している法律を議員立法で提案されているイメージです。
つまり、善し悪しはさておき、閣法に関しては、国会に提出された時点で、ほぼ勝負はついている、という事が出来ます。
では、国会に提出される前には、何が起きているのでしょうか。
下記に、概要把握のため、フローをシンプルに記載してみました。(実際は野党は別のフローを通りますが、通過する法案もほぼゼロなので)与党内フェーズを通過する過程のみ示しています。
端的に言うと、法案というのは、官僚と自民党の中で決まっていきます。自民党の各部会で重要法案と認めさせ、いかに、自民党の政調審議会を突破するかが大事。その後、閣議決定され、党としての正式法案として決定されます。ここまで来たら、かなり成立の光明が見えてきます。
ちなみにこの与党内フェーズのところまでは、情報公開の義務はありません。一定レベルで公開されています(自民党会議情報)が、個人的には、議事録まで公開してほしいところです。
霞が関のルール形成プロセス
さて、この赤い部分「霞が関」の中で何が起きているのか、が後半のテーマです。あまり光が当たらない、ちょっと複雑な話。
日本は、政権が変わっても、事務レベルで政策を作る人たちは同じです。霞が関です。民主党は政治主導に切り替えようとしましたが、その試みも多くの教訓を残し、失敗に終わりました。
つまり、日本の事務レベルの法律は、善し悪しは別として、霞が関が作るのです。
さて、省庁によって多少の違いはありますが、政策の草案を作るプロセスは概ね似通っています。下の図を見てください。ここから順を追って解説します。
法案の卵は、「課長レベル」が生み出します。
各省庁には、国家公務員試験に合格した優秀な事務官と技官がおり、それぞれ、課や室に配属されています。彼らが、各種の政策を法務、技術の両面を鑑みて記述します。それを、課長級の名において起案します。
ちなみに省内の構造ですが、大臣、副大臣、大臣政務官、事務次官、この元に大臣官房(←部局名)と局と外局が設置されています。そして局の下部組織として部・課や室が設置され、そこが政策の立案の実務や執行を担当していきます。
課長レベルの起案が終わると、つぎに「法令審査委員会」と「技術審査委員会」に持ち込まれます。ここでは、課長~課長補佐級で構成されるメンバーが草案をもみ、その内容は大臣官房(省内の横串を担当する部局)に共有されます。
省内意見調整の際には、大臣官房総務課の課長~課長補佐級が、各課代表を集めた庶務課長会議を開催して取りまとめていきます。
そして、省幹部会で、事務次官、局長、審議官が集まり、官房長の進行で事務レベルの決定がなされます。
この後、担当省の政務三役の承認案が、他省との調整のため、全省庁の副大臣会議に諮られます。そして、全閣僚による閣議決定がなされます。
さらに、与党の政策調査会(政調審議会)にパスされ、国会提出に向かうという流れです。
日本では、残念ながら国会で大きく法案が修正されることは、欧米と比べ少ないです。なので、優れた技術を持つ企業が意見を政策に反映させたい場合、官僚がドラフトする前の勉強会等に参加することが大切で、それだけで良いと言われてきました。これを「役所対策」と呼んでいました。
OSINTechは、より多くの人がこのルール形成のプロセスに参加する社会を目指しています。是非、日本のルール作りの特徴を捉え、良い規制で良い技術を早く世に出し、社会の発展を阻害する行き過ぎた規制を早く是正して、日本をより良い社会にしていきましょう👏
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