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究極のアウトサイダーミュージシャン"Tonetta"

皆様、突然ですがTonetta(トネッタ)というミュージシャンをご存知でしょうか?

知らない方が大半だと思います。
僕が知ったのもここ数年です。
海外ではほんのり知名度があるらしいですが(最近だとFreddie Dreddがサンプリングして話題になった)
日本国内における知名度は低いです。

今回はそんな知る人ぞ知るミュージシャン"Tonetta"についてぽつりぽつり書いていこうと思います。

日本語で彼を1から言及しているサイトが見た感じ無かったのでこうして記事にさせていただきます。
僕も彼の全ての曲やパーソナルを把握しているわけではないし、海外サイトにて情報を収集しているので間違っている箇所があると思います。

あくまで紹介程度の記事です。
許してね、保険保険。。。

・プロフィール

Tonetta
本名はAnthony Jeffrey (アンソニー・ジェフリー)
1949年2月17日生まれのシンガーソングライター。
2024年3月現在75歳となります。意外に翁ちゃん。

カナダのトロントに生まれた彼は1980年初頭、30歳すぎごろに音楽活動を開始されたと言われています。
活動を始めたきっかけは妻との別居。
当時8歳と10歳のお子さんとも離れてしまいアルコールに溺れ、神経衰弱になってしまいました。
それにより隠遁生活に入り、同時に趣味だった音楽制作を開始。カセットに録音し始めたようです。

2008年に最初のYouTubeアカウントを作成。
これが好調だったようで後にレーベルとの契約にもつながります。
彼は複数のYouTubeアカウントを持っていたようですが、規約違反によりいくつも停止されてしまったようです(これについては後ほど言及します)
今までに作った楽曲は30年で800曲以上
2011年の時点で彼はトレントにてパートタイムの室内装飾職人を生業としているようです。


彼のサウンドを一言で表すとしたら"lofi"。

昨今のlofi(特にlofi hiphopのイメージ)における、
"あえて"チープにすることによって抜け感があって、オシャレでチル〜な感じのものではなく、マジでlofi。
ドラムマシーンのループとヘロヘロなギターサウンド。起き抜けのボーカル。録音状態もお世辞には良いものとは言えず、音割れや謎のノイズはもちろんのこと、はては音飛びも散聞(さんもん)されます。

とりあえず曲を聞いてみた方が絶対早いと思うので、よければこちらをお聞きください。

・はじめての Tonetta

Tonetta - Can't Wait To Make Love
こちらは彼の楽曲の中でも特に人気のある一曲です。2024年現在23万回再生されています。
良い曲ですよね、ベロベロに酔った帰り道に聞きたい。
ギターの弾き方、キモすぎるだろ。最高。
彼はビートルズ、エルヴィス・プレスリー、マイケル・ジャクソンが好きだと語っており、特にジョン・レノンから影響を受けたとのことです。

Tonetta - Amore
こちらは僕が特に好きな曲です。
例に漏れず、ふつうに音割れしてるし途中音飛び(?)してます。
爽やかな楽曲なのに歪さがあって心が掻き乱される(!?)
思い出したかのように入る、か細いコーラスがポイント高い。最高です。

Tonetta - I Love You
さっき思いつきで撮ったようなMV。VHS画質。
死ぬほど生活感むき出しの台所。どこのメーカーか分からない見たことないギター。キモキモ奏法。お気楽な楽曲。
全てが僕らのツボを痛気持ち良く押してくる。

と言った感じがTonettaです。
ほんの少しでも伝わったら嬉しい。


・Tonettaの影響力

さて、ここまで聞いてくださった音楽好きのあなたはこう思ったでしょう。


ちょっとMac Demarcoすぎない?



そうなんです。
あの一世を風靡したインディーロックヒーロー、マック・デマルコにそっくりなのです。出身国も同じだし。
マック自身がTonettaに対して何か言及したと確信を持って言える資料はないですが、絶対絶対聞いてるだろうし影響を受けたと思われます。
アウトサイダーミュージシャンがロックスターに影響を与えたと言うと、カート・コバーンとダニエル・ジョンストンのような関係を彷彿とさせられます。


Reddditにて信憑性は謎ですが、このような書き込みがありました。

ぐぐる翻訳: 彼は彼のことを知っています 昨夜のショーの後、私は尋ねました、そして彼らは一緒に演奏するつもりでしたが、それは単に失敗したようです。マスクもたくさん送るって言ってた


この話が本当だったとしたら、マックデマルコはTonettaに連絡する手段があるということでしょう。
しかも共演する予定だったなんて。 
しかし、マック自身は公表も言及もしていない。
それはなぜか

Tonettaから影響を受けたと言ったら"ネタ"すぎるから。


かなと僕は勝手に思っています。完全なる主観です。本当のところはわからない。

なぜ、"ネタすぎる"のか。それは次で解説します。


・アウトサイダーミュージシャン"Tonetta"



マジで突然ですがこちらをご覧ください。




Tonetta - Drugs Remake

深層webで発掘された犯罪動画....?
ではなく、Tonetta本人作成のMVです。
楽曲とMVのギャップが不気味さと歪さに拍車をかけてる。『時計じかけのオレンジ』の作家宅を襲撃するシーンみたいな。

実は彼のMVは基本的に、こう言った奇抜または不気味な格好(なぜか露出度も高い)で"ふしぎな踊り"をしているものが多いです。これらがYouTubeの規約違反として何度もアカウント停止処分をくらっているそうな。

さらには地元トレントにあったレンタルビデオ屋で適当に借りたビデオの最後にこういったMVをオーバーダブしていたそうです。

Tonetta - Yummy Yummy Pizza

これが借りたビデオの最後に流れたら、その後の人生にかかわるぐらいトラウマになっちゃうよ....

メディア露出が低いのも頷けますね。
こんなヤツは表に出しちゃ、ダメ。

彼がアウトサイダーミュージシャンと呼ばれる所以はここにあると思います。
アバンギャルドすぎる。大衆受けはしないし、そんな世の中は狂ってる。
Tonettaは地下深く、ひっそりと楽曲や映像を作り続けるからこそ輝いているのかもしれません。

もしかしたら10年後とかに再評価されるかも。そうなったら嬉しいね。


ちなみに1983年以来、元奥様とお子さんたちとは会っていないそう。
2008年に音楽投稿を始めた直後、お子さんの1人がメールにて連絡をくれたそうですが、奇抜なMVを上げ始めてからは連絡が途絶えたとのこと。
そりゃそうじゃ。かわいそう。泣いちゃう。 




泣いちゃう。



・終わりに

散々書きましたが、Tonettaは皮肉抜きに素晴らしいアーティストだと思っております。
記事にするにあたって、多少こき下ろした方が面白く書けそうと思いこういう記事になりました。本当はかなり好きです。

また、今回の記事はTonettaを紹介したかったというのももちろんですが、昨今のlofiブームへの彼の影響や、特にマック・デマルコとすげえ似てるってことを書きたかったのです。
でも上手くまとまらなかったのでおまけとしてここに書きたいと思います。

今一度MV込みで比較してみましょう。

Mac Demarco - Ode to Viceroy
マック・デマルコが2012年に発表した楽曲およびMVです。名曲。
汚い画質による独特な世界観のMV、そして何より当時マックにしか作れなかったオリジナリティ溢れる楽曲で現在2700万以上も再生されております。

Jack Stauber - Good Morning Blondie
ButtercupやTwo Timeといった楽曲がミームとして超絶ヒットをしたのは記憶に新しいですが、そんなジャックスタウバーももしかしたらTonettaから影響を受けたのかもしれません。世界観が似てる。

次に我らがTonettaを見てみましょうか。

Tonetta - Lady Gaga

似てる...
チープではあるものの、彼らの数年前にこういった世界観や楽曲を表現したのは先見の明があるのではないかと。才能って感じ。

そう言った所ではTonettaはlofiやインディー界の裏細野晴臣なのかもね。みんな公表しないだけで影響受けてるのかも。

なんかしちゃかちゃになってきたのでここで締めようと思います。駄文失礼いたしました。

彼の曲はホントに最高だから是非聞いてね。
それでは、また。

※最近Bandcampからほぼ全ての曲が消えてしまいました。
どうやら本人が"Bandcampは俺を騙している"という謎すぎる理由で消してしまったそうです。
現在1番多くの楽曲が聴けるのはYouTubeです。
楽曲数が膨大なので適当にザッピングしながらお気に入りを見つけてね。

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