公共性の高いサービスのインタビュー設計(ユーザーの感情を理解する)
弁護士ドットコムという会社に転職して3ヶ月が過ぎました。
このサイトはKPIのひとつに「人々が法律トラブルを解決できた率」を掲げており、ミッションとして非常に公益的なサービスを目指しています。
そのため、今までやってきたECサイトや転職サイトなどの、アーリーアダプターを中心としたスタートアップ的なサイト設計とは違い、
より公共性の高い考え方でサイトを作る必要がありました。
「法律トラブルに合ったすべての人を解決に導きたい」というミッションの元
・「法律トラブルに合った人」は選べない
・「解決させなくてもいい」ユーザーはいない
という具体的な制約がありました。
そんな高い公共性を目指すサイトのユーザーインタビューを実施してみて、学びになった部分を以下に紹介します。
現状のデータでターゲットユーザーを絞りすぎない
「トラブルに合った人」を選べないサイトなので
思い込みでセグメンテーションしないように気をつけました。
特に「書き込みをしてくれている人」「お問い合わせをしてくれる人」達を中心にユーザーの仮説設計を行いインタビューの集客を行うと、より多くのユーザーが存在する氷山の深層部分を見落とす可能性があります。
NOTユーザーにもインタビューする
明確にユーザーではないと思っていても、実は潜在的なユーザーの可能性があります。
(例えば当サイトだと、「交通事故の加害者だと思いこんでいる被害者」など。)
そういった、見えざる対象ユーザーを取りこぼさないために、明らかにターゲットではない層も、一定数インタビューのセグメントに加え、
NOTユーザーであることを、明確に明らかにするためのインタビューを行いました。
サイトのシナリオ上で見落とされているユーザーが居ないかをチェック
インタビューが完了した後は、サイト設計と照らし合わせてメインターゲットとなるペルソナを設定することが主流だと思いますが、
「解決させなくてもいいユーザーは居ない」というサイトの性質上、逆の工程が必要になります。
Aさん、Bさん、Cさんという3種類のペルソナが居た場合、
その3名がつつがなくゴールまでたどり着けるかどうかを、3人の目線になってテスト・検証する必要があります。
属性ではなくインサイトで分類
例えば、交通事故に合うユーザーはどんな人か?男性女性?リテラシーは?という属性でユーザーを分類しペルソナを設定するのではなく。
「結果的に金銭的に損したくない」「加害者からの謝罪が欲しい」など本質的にユーザーが求めるインサイトでユーザーを分類しました。
インタビューでユーザーの「感情」を手に入れる
インタビューを実施してみて最も良かった点はユーザーに「感情移入」出来たという点です。
法律トラブルというものは、アマゾンやメルカリのように「試しにユーザーになってみる」ということが難しい分野です。
そうなってくると、どうしても「データ」や「事例」に知識が偏りがちで、
「感情」という重要なファクターが抜けたサイト設計になりがちです。
インタビューを通して、ユーザーの「感情」を理解した上で、データや事例を向き合い、最適なサイト設計を提供することが大切なのではないかと思っています。